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【番外編:雅人くんには分からない】
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佐伯穂乃香、見た目にも天使のように可愛い妹は、素直に雅人に懐いていた。
穂乃香はとにかく可愛い。そして素直だ。にこにこしていて明るくて前向きでみんなに好かれる。
穂乃香がなんとも思っていなくても、一方的に好意を寄せられることもあった。
穂乃香と付き合ってもいいのは、雅人が認めることのできるほどの人物だけだ。
残念ながら高校まではそんな人物はいなかったので、すべて撃沈させてやった。別に喧嘩などしたわけではない。呼び出して、その頭脳で徹底的に論破しただけのことだ。
それだけで近づけなくなるような奴は、穂乃香に近づく権利なんてないと思っていた。
それほどまでに可愛い妹の結婚……。
自宅にいても落ち着かないので、友人と会うことにして、メールで待ち合わせを決めたカフェに向かう。
先日まで雅人はロンドンの投資銀行のトレーダーとして活躍していた。常勝と言われていた雅人だったが、日本で起業している友人に声をかけられ帰国し、今後は日本で仕事をすることに決めていた。
正直、仕事をしなくても困らないほどの資産ならある。
──金ならもう十分稼いだだろう。人のために働くのも悪くないぞ。
そんな風に言う友人は、いつも他人のためにばかり動いているような人物だった。
だからこうして落ち込んでいる雅人のために、カフェにも来てくれる。
カフェに入ると友人である谷川はすでに先に来ており、カウンターの端の席で雅人に向かって軽く片手を挙げた。谷川を見つけた雅人はその隣の席に座る。
谷川は大学の時に知り合った友人で、雅人に『お前には分からない』などとは一度も言わなかった人物だった。
その谷川に呼び出された店は、落ち着いた雰囲気の黒をベースにしたモダンな内装の店内で、雅人の好みにぴったりだ。
「いい店だな」
「だろう?」
店の内装やコーヒーに満足しているのに、雅人の口からはため息のような言葉が漏れるばかりだった。
「娘を嫁に出すような気分だな」
「妹だろう」
谷川の呆れたような顔に雅人は冷ややかな視線を飛ばす。雅人は妹の結婚式を控えてナーバスになっているのだ。
そんな憂い顔すらカフェの中で非常に目立っていて、女性達にちらちらと見られているのだが、雅人はそんな視線にはまったく微動だにしていなかった。
どこにいても目立つ雅人は見られることこそ当然で、他人の視線など完全にスルーするスキルを持っているのだ。
そんなことよりも今は重要なことがあった。
(あの、穂乃香が……)
小さい頃は『穂乃香はお兄ちゃんと結婚するのー』と言っていたのに。
天使のように可愛い妹だ。
「昔から思っていたけど、雅人は本当に穂乃香ちゃんが可愛いんだな……」
谷川には男兄弟はいるが、妹はいないのでその可愛さがいまいちよく分からない。
「天使だろ」
キッパリと雅人は谷川に返す。
「まぁ、可愛いのは認めるけど」
「ふわっとした笑顔とか、愛くるしい顔立ちとか、穂乃香は声まで可愛い。しかも最近は俺に対してちょっと塩対応なんだぞ。そんなところもちょっと可愛い」
穂乃香はとにかく可愛い。そして素直だ。にこにこしていて明るくて前向きでみんなに好かれる。
穂乃香がなんとも思っていなくても、一方的に好意を寄せられることもあった。
穂乃香と付き合ってもいいのは、雅人が認めることのできるほどの人物だけだ。
残念ながら高校まではそんな人物はいなかったので、すべて撃沈させてやった。別に喧嘩などしたわけではない。呼び出して、その頭脳で徹底的に論破しただけのことだ。
それだけで近づけなくなるような奴は、穂乃香に近づく権利なんてないと思っていた。
それほどまでに可愛い妹の結婚……。
自宅にいても落ち着かないので、友人と会うことにして、メールで待ち合わせを決めたカフェに向かう。
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そんなことよりも今は重要なことがあった。
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天使のように可愛い妹だ。
「昔から思っていたけど、雅人は本当に穂乃香ちゃんが可愛いんだな……」
谷川には男兄弟はいるが、妹はいないのでその可愛さがいまいちよく分からない。
「天使だろ」
キッパリと雅人は谷川に返す。
「まぁ、可愛いのは認めるけど」
「ふわっとした笑顔とか、愛くるしい顔立ちとか、穂乃香は声まで可愛い。しかも最近は俺に対してちょっと塩対応なんだぞ。そんなところもちょっと可愛い」
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