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19.カ、カチコミ…?
カ、カチコミ…?③
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亜由美の様子を見て、奥村は微笑む。
「旦那さんになる人を紹介してくれるの?」
「はいっ!」
「じゃあ、喜んでご一緒します。でも、ごちそうとかしなくていいからね」
「それは鷹條さんと相談します」
ふふっと笑った奥村に笑顔を向けられる。
「亜由美ちゃんて、本当に可愛い」
亜由美の外見から『キツそう。澄ましてる。冷たそう』と言われることはあっても、可愛いと言われることの少ない亜由美は照れてしまう。
「そんな風に言われたことないです」
「外見だけじゃない、本当の亜由美ちゃんはとても可愛い。きっと、鷹條さんもそういうところに惹かれたんでしょうね」
本当にどうやって返事したらいいのか分からない。
そんな亜由美に奥村は笑顔を向けた。
「じゃあ、お仕事しよっか」
「はい!」
その日の夜、亜由美は鷹條と動画通話をしていた。リビングに座って、パソコン画面で通話する。鷹條も通常勤務に戻っているので、国会の会期中の今はシフト勤務で忙しいようだった。
「奥村さんは来てくださるってことでした。ごちそうしなくていいって言うんですけど、困るわ……」
『まぁ、それはこっちでなんとかしよう。久木さんもオッケーだ。あらかじめお互い上司が来るってことは店を決める前に打ち合わせておいたほうがいいな』
「分かった」
その時割り込みで着信の通知が入る。
「千智さん! お父さんから連絡だわ」
『ん、分かった。出てあげて。こっちはまた改めて』
「ありがとう」
亜由美は通話を切り替える。
『亜由美!』
両親の元気な姿には亜由美も嬉しくなった。両親には事件が解決したのちにすべてのことを話してある。
『どう? 大丈夫?』
画面の向こうには両親とも揃っていた。画面に向かって亜由美は微笑む。
「うん。千智さんもいるし大丈夫」
心配をかけて申し訳ないと思うけれど、鷹條との経緯を説明するのにもそこを端折るわけにはいかなかった。
『そこのマンションはそのまま二人で住んでもいいからね』
「ありがとう。千智さんのお仕事のこともあるし、相談してみるね。お父さんの気持ちは伝えておく」
婚約のことを説明したら、両親はとても喜んでくれた。
亜由美がずっと住み続けているマンションは元々家族で住んでいたものだ。そこに亜由美は一人でそのまま住んでいた。
結婚するのであれば二人で住んでも構わないと言われている。鷹條の官舎も同じ駅にあるので、引っ越しについては上司と相談して、というところのようだった。
申請は必要であるものの現在地から大きく離れるわけではないし問題はないだろうとのことだ。
『こちらでの仕事が落ち着いたら帰国してご挨拶もしないとな』
「顔合わせ? そうね、千智さんのご両親もお忙しいからあらかじめ日にちを決めておいた方がいいでしょうね」
『分かった。検討しよう』
近況報告では鷹條の家族のことを話した。
鷹條の母がいろんな覚悟を持って、父の側にいることを聞いた両親は微妙な顔をする。
『それでも、亜由美ちゃんはその人と一緒にいたいのよね?』
「うん。護られるだけじゃなくて、私も支えたいの」
『じゃあ、もう言うことはないだろう。今後は二人で決めていきなさい』
両親にもきっと不安はあるだろうと思うのだが、認めてくれたのは、とても嬉しいことだった。
『日本のニュースを見ながらね、たまにSPさんが映ると、亜由美ちゃんの彼かなってすごく探しちゃうの。お会いするのが楽しみだわ。おめでとう、亜由美ちゃん』
「ありがとう」
両親におめでとうと言ってもらえたことが、亜由美には本当に心から嬉しいことだった。
周りの人達の温かい気持ちにいつも支えられていると、亜由美は幸せな気持ちでベッドに入ったのだった。
「旦那さんになる人を紹介してくれるの?」
「はいっ!」
「じゃあ、喜んでご一緒します。でも、ごちそうとかしなくていいからね」
「それは鷹條さんと相談します」
ふふっと笑った奥村に笑顔を向けられる。
「亜由美ちゃんて、本当に可愛い」
亜由美の外見から『キツそう。澄ましてる。冷たそう』と言われることはあっても、可愛いと言われることの少ない亜由美は照れてしまう。
「そんな風に言われたことないです」
「外見だけじゃない、本当の亜由美ちゃんはとても可愛い。きっと、鷹條さんもそういうところに惹かれたんでしょうね」
本当にどうやって返事したらいいのか分からない。
そんな亜由美に奥村は笑顔を向けた。
「じゃあ、お仕事しよっか」
「はい!」
その日の夜、亜由美は鷹條と動画通話をしていた。リビングに座って、パソコン画面で通話する。鷹條も通常勤務に戻っているので、国会の会期中の今はシフト勤務で忙しいようだった。
「奥村さんは来てくださるってことでした。ごちそうしなくていいって言うんですけど、困るわ……」
『まぁ、それはこっちでなんとかしよう。久木さんもオッケーだ。あらかじめお互い上司が来るってことは店を決める前に打ち合わせておいたほうがいいな』
「分かった」
その時割り込みで着信の通知が入る。
「千智さん! お父さんから連絡だわ」
『ん、分かった。出てあげて。こっちはまた改めて』
「ありがとう」
亜由美は通話を切り替える。
『亜由美!』
両親の元気な姿には亜由美も嬉しくなった。両親には事件が解決したのちにすべてのことを話してある。
『どう? 大丈夫?』
画面の向こうには両親とも揃っていた。画面に向かって亜由美は微笑む。
「うん。千智さんもいるし大丈夫」
心配をかけて申し訳ないと思うけれど、鷹條との経緯を説明するのにもそこを端折るわけにはいかなかった。
『そこのマンションはそのまま二人で住んでもいいからね』
「ありがとう。千智さんのお仕事のこともあるし、相談してみるね。お父さんの気持ちは伝えておく」
婚約のことを説明したら、両親はとても喜んでくれた。
亜由美がずっと住み続けているマンションは元々家族で住んでいたものだ。そこに亜由美は一人でそのまま住んでいた。
結婚するのであれば二人で住んでも構わないと言われている。鷹條の官舎も同じ駅にあるので、引っ越しについては上司と相談して、というところのようだった。
申請は必要であるものの現在地から大きく離れるわけではないし問題はないだろうとのことだ。
『こちらでの仕事が落ち着いたら帰国してご挨拶もしないとな』
「顔合わせ? そうね、千智さんのご両親もお忙しいからあらかじめ日にちを決めておいた方がいいでしょうね」
『分かった。検討しよう』
近況報告では鷹條の家族のことを話した。
鷹條の母がいろんな覚悟を持って、父の側にいることを聞いた両親は微妙な顔をする。
『それでも、亜由美ちゃんはその人と一緒にいたいのよね?』
「うん。護られるだけじゃなくて、私も支えたいの」
『じゃあ、もう言うことはないだろう。今後は二人で決めていきなさい』
両親にもきっと不安はあるだろうと思うのだが、認めてくれたのは、とても嬉しいことだった。
『日本のニュースを見ながらね、たまにSPさんが映ると、亜由美ちゃんの彼かなってすごく探しちゃうの。お会いするのが楽しみだわ。おめでとう、亜由美ちゃん』
「ありがとう」
両親におめでとうと言ってもらえたことが、亜由美には本当に心から嬉しいことだった。
周りの人達の温かい気持ちにいつも支えられていると、亜由美は幸せな気持ちでベッドに入ったのだった。
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