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18.両親へのご挨拶
両親へのご挨拶③
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亜由美がぺこりと頭を下げると、お日様のような明るい笑顔で部屋の中に招かれる。
「可愛い! すごく素敵な方ね」
にこにこととても素直に褒められて、亜由美は照れくさくなってしまう。
部屋の中に入って気づいたのだけれど、奥の方がなにやら騒がしい。複数の人がいる気配がした。
その奥の部屋から鷹條の父らしき人がひょいっとこちらに顔を出す。
「おー、来たか! 彼女もいらっしゃい」
おいでおいでと手招きされていた。
とてもフレンドリーな一家のようだ。
鷹條を見ると苦笑している。
「騒がしくてごめん。多分人が来ているんだ」
ガヤガヤと騒がしい雰囲気が廊下にまで漏れている。
「息子なんだ。今日は嫁さんになる人と一緒に来てくれて」
父は部屋の中にいる人に向かって話しかけているようだった。
「えー、じゃあ帰りますよー」
そんな声が聞こえてくるのに、鷹條が声をかける。
「かまいませんよ。僕らは後でいいので、どうぞごゆっくり」
すると奥の部屋から苦笑いの表情の父が出てくる。それを見て(あ、千智さんのお父さんだ)と亜由美は確信した。
笑った顔がすごく似ている。
「落ち着かなくて、すみません。千智の父です」
亜由美は丁寧に頭を下げる。
「お忙しいところ、こちらこそ申し訳ございません。杉原亜由美です」
「はい。千智から聞いています。この度はいろいろと捜査にご協力も頂いたそうで。本当にありがとうございます」
「あ……いえ」
そんなことまで聞いているとは思わなくて一瞬驚いたけれど、そう言えば鷹條の父も警察官なのだったと亜由美は思い至る。
「警察官というとやはりちょっと特殊な環境になるけれど、亜由美さんは大丈夫そうですか?」
そう言って、鷹條の父は奥の部屋に目をやる。
「はい。あの……お客様がいらっしゃっているのなら、私はまた日を改めます」
「いいえ。良かったら、亜由美さんもどうぞ」
そう言われて、亜由美は鷹條を見る。鷹條はこくりと頷いた。
奥の部屋を鷹條が開けると、中には若い男性が七、八人ほどいて、庭へのサッシも開け放たれている。
「すみません! すぐ帰ります!」
部屋の中のテーブルの上には山盛りの唐揚げとか、卵焼きなどのおかずや豚汁とか、山積みされたおにぎりなんかが載っていた。
それを部屋の中にいたみんなで食べていたようだ。
「あ、構わない。僕の婚約者だ。ゆっくりしていってくれ」
「あ……れ? 確か鷹條署長のご子息って本庁にお勤めの……?」
「そうだ。今は警備課にいる」
疑問の声にも鷹條は返事をしていた。
「お疲れ様です!」
一人が鷹條にそう声をかけると、何人もがお疲れ様です!とこだまのように声が響く。
中にはあれが警備課の……という声も聞こえたが、その表情には尊敬の念が含まれていて、亜由美は少し誇らしい気持ちになってしまった。
しかし、人がたくさんいる客間のこの状況がどういう状況なのか、亜由美には全く分からなかった。
そんな亜由美を鷹條がサッシの開いている庭に手招きする。
「亜由美、こっち」
「はい。あ……すみません、お邪魔します」
「お疲れ様です!」
大きな声で挨拶されながら、亜由美は鷹條のいる庭に出てみた。
庭の横には小さな道があり、それもてくてく歩いて行くと門がある。鷹條はその門を開けた。すると、門の先にパトカーが停まっていたのだ。
「え? え? パトカー?」
くすくす笑って鷹條は亜由美を手招きしている。
なんと、庭の小道は警察署の裏と繋がっていたのだ。庭の小道はちょうど警察署の駐車場の脇に当たる部分にひょこっと出るようになっていて、その駐車場を通り抜けると隣には『守家警察署』と書かれた大きな建物が立っている。
パッと見は分からないが、先ほどの鷹條家と同じ敷地のようだ。
亜由美は唖然とした。
「ど、どういうこと?」
「今、父はここの署長をしてる。あの家は官舎なんだ。家にいたのは多分、寮の若い部下達だと思うよ。俺も所轄署にいた時は署長の官舎で休日にご馳走様になったりした」
「可愛い! すごく素敵な方ね」
にこにこととても素直に褒められて、亜由美は照れくさくなってしまう。
部屋の中に入って気づいたのだけれど、奥の方がなにやら騒がしい。複数の人がいる気配がした。
その奥の部屋から鷹條の父らしき人がひょいっとこちらに顔を出す。
「おー、来たか! 彼女もいらっしゃい」
おいでおいでと手招きされていた。
とてもフレンドリーな一家のようだ。
鷹條を見ると苦笑している。
「騒がしくてごめん。多分人が来ているんだ」
ガヤガヤと騒がしい雰囲気が廊下にまで漏れている。
「息子なんだ。今日は嫁さんになる人と一緒に来てくれて」
父は部屋の中にいる人に向かって話しかけているようだった。
「えー、じゃあ帰りますよー」
そんな声が聞こえてくるのに、鷹條が声をかける。
「かまいませんよ。僕らは後でいいので、どうぞごゆっくり」
すると奥の部屋から苦笑いの表情の父が出てくる。それを見て(あ、千智さんのお父さんだ)と亜由美は確信した。
笑った顔がすごく似ている。
「落ち着かなくて、すみません。千智の父です」
亜由美は丁寧に頭を下げる。
「お忙しいところ、こちらこそ申し訳ございません。杉原亜由美です」
「はい。千智から聞いています。この度はいろいろと捜査にご協力も頂いたそうで。本当にありがとうございます」
「あ……いえ」
そんなことまで聞いているとは思わなくて一瞬驚いたけれど、そう言えば鷹條の父も警察官なのだったと亜由美は思い至る。
「警察官というとやはりちょっと特殊な環境になるけれど、亜由美さんは大丈夫そうですか?」
そう言って、鷹條の父は奥の部屋に目をやる。
「はい。あの……お客様がいらっしゃっているのなら、私はまた日を改めます」
「いいえ。良かったら、亜由美さんもどうぞ」
そう言われて、亜由美は鷹條を見る。鷹條はこくりと頷いた。
奥の部屋を鷹條が開けると、中には若い男性が七、八人ほどいて、庭へのサッシも開け放たれている。
「すみません! すぐ帰ります!」
部屋の中のテーブルの上には山盛りの唐揚げとか、卵焼きなどのおかずや豚汁とか、山積みされたおにぎりなんかが載っていた。
それを部屋の中にいたみんなで食べていたようだ。
「あ、構わない。僕の婚約者だ。ゆっくりしていってくれ」
「あ……れ? 確か鷹條署長のご子息って本庁にお勤めの……?」
「そうだ。今は警備課にいる」
疑問の声にも鷹條は返事をしていた。
「お疲れ様です!」
一人が鷹條にそう声をかけると、何人もがお疲れ様です!とこだまのように声が響く。
中にはあれが警備課の……という声も聞こえたが、その表情には尊敬の念が含まれていて、亜由美は少し誇らしい気持ちになってしまった。
しかし、人がたくさんいる客間のこの状況がどういう状況なのか、亜由美には全く分からなかった。
そんな亜由美を鷹條がサッシの開いている庭に手招きする。
「亜由美、こっち」
「はい。あ……すみません、お邪魔します」
「お疲れ様です!」
大きな声で挨拶されながら、亜由美は鷹條のいる庭に出てみた。
庭の横には小さな道があり、それもてくてく歩いて行くと門がある。鷹條はその門を開けた。すると、門の先にパトカーが停まっていたのだ。
「え? え? パトカー?」
くすくす笑って鷹條は亜由美を手招きしている。
なんと、庭の小道は警察署の裏と繋がっていたのだ。庭の小道はちょうど警察署の駐車場の脇に当たる部分にひょこっと出るようになっていて、その駐車場を通り抜けると隣には『守家警察署』と書かれた大きな建物が立っている。
パッと見は分からないが、先ほどの鷹條家と同じ敷地のようだ。
亜由美は唖然とした。
「ど、どういうこと?」
「今、父はここの署長をしてる。あの家は官舎なんだ。家にいたのは多分、寮の若い部下達だと思うよ。俺も所轄署にいた時は署長の官舎で休日にご馳走様になったりした」
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