遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました

如月 そら

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12.必ず護る

必ず護る②

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 その端正な顔が近くて、亜由美のことをとても愛おしいと思ってくれることが伝わって、思わずきゅっと亜由美は抱きついてしまう。

「今日の亜由美は甘えんぼなんだな」
 鷹條は甘えたい亜由美のことも理解してくれていて、こんな時はたっぷり甘やかしてくれるのだ。

 笑った顔が近づいて唇が重なり、舌で口の中を緩く蹂躙される。二人の舌が絡みあって、その感触にも亜由美は蕩けそうな心地になる。

 亜由美の手に鷹條の指がしっかりと絡みついて、二人の下半身がぴったりと密着する。

 太ももには鷹條の昂ったものが何度も擦り合わされて、それでもキスを止めることはできなかった。

 ──私で興奮してくれている。
 それすらも亜由美を敏感にさせていた。
 キスをしながら、亜由美も緩く腰が揺れていたことなど気づいてはいなかった。

「亜由美、腰揺れてる」
 ぱっと亜由美の顔が赤くなる。

「たまらない……」
 見蕩れそうなほど綺麗な顔に少しだけ浮かんでいる余裕のなさが亜由美の胸をきゅんと締め付けた。

 唇を亜由美の首や胸に落としながら、鷹條は指先で頬や顎をくすぐるように撫でる。その優しい仕草に亜由美はそっと頬を擦りよせた。

「挿れて……いいか?」
 こくっと亜由美は頷く。
「余裕なくて、ごめん……」
 その切羽詰まったような声に亜由美は胸も、それから別のところまで切なくなる。

 ゆるゆると蜜口の入り口を熱くなった杭が触れる。欲しくて、つい下肢を擦りつけてしまった。
「欲しいの?」
「ん……」

 蕩けそうな表情で鷹條を見つめる瞳にごくっと喉を鳴らした音が大きく聞こえて、亜由美の胸がますます鼓動を大きく響かせる。自分だけが欲しがっているんじゃないと分かるからだ。
 濡れた音をさせる狭間を分け入って熱杭で奥に穿たれる。

「……あぁっ!」
 びくびくっと腰が自然に跳ねてしまう。そして圧迫感と共に亜由美が感じたのは鷹條が中にいるという安心感だった。

 貫くときも鷹條は亜由美の身体をしっかりと抱きしめてくれていた。後に続く律動も、包み込まれるような気持ちよさの中で亜由美は達していた。

  * * *
  
 窓から朝の光が部屋の中に降り注いでいる。
「まだ、眠い?」

 ベッドの中で亜由美を見つめる鷹條はとびきり甘い。こんなに素敵な人が自分の彼氏だなんて戸惑ってしまう。
 亜由美は鷹條をじっと見つめた。

「ん? どうした?」
「こんなに素敵な人が彼氏なんだなぁって……」
 ふっと鷹條は微笑んで亜由美の頭を撫でた。

「それは俺も思ってる。こんなに綺麗な人が俺の彼女なんだなぁって。なに、亜由美? 朝からむちゃくちゃにされたいの?」
 昨日は結局一回では終わらなくて、あの後も何度もされてしまったのだ。

 ──そ、それは無理……。
 亜由美は布団で顔を隠してふるふるっと首を横に振る。

 その布団ごと鷹條がぎゅっと抱きしめたのが分かった。
「ちょっと走ってくる。このままじゃまた抱いてしまいそうだから。亜由美は寝ていていいから」

 布団越しに鷹條の囁く声が聞こえて、亜由美はそっと顔を出した。亜由美に向かって微笑みかけて、鷹條はポンポンと布団をたたき、ベッドから立ち上がる。

 その後ろ姿を半分寝ぼけながら布団の中から見て、亜由美は幸せを噛みしめていた。

  ◇◇◇

 鷹條は持ってきた荷物の中からジャージを出し、着替えてジョギングに向かった。
 亜由美の家の近所を軽く走って帰ってくる。息を整えてマンションの前まで来ると亜由美が青ざめた顔をして待っていた。

 何が起こったのか分からず、鷹條は駆け寄る。

「どうした? 何かあったのか?」
「ポストに……」

 亜由美がマンションの集合ポストを指差す。集合ポストから郵便物がはみ出しているのが見えた。亜由美の部屋のポストだ。
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