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8.大事なことは言いましょう
大事なことは言いましょう③
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背中をぞくっとするものが走って、つい目の前の鷹條の身体に縋りついてしまうと、今度は亜由美の固くなってしまった胸の先端が鷹條の身体に直に擦られて、その刺激でまた身体を震わせる羽目になるのだ。
キスをしている間も肩や腰のラインをなぞるように鷹條は触れていて、直接的ではないその触れ方に亜由美は秘部からとろりと温かいものが零れたことを自覚した。
「亜由美はすごく綺麗だ……あの時……」
あの時……?
気持ちよさで頭がおかしくなりそうな中、鷹條の静かな声が薄暗い部屋に響く。
「男にぶつかったと因縁つけられていただろ? あの時、綺麗な人だから絡まれてしまうんだと妙に納得したものがあったよ」
「わ……たしは怖かった……」
「うん。亜由美は悪くない。ただ、俺もきっとあの時一目見て惹かれていた」
そう言って鷹條は亜由美の耳元に唇をつける。
「一目惚れだよ」
ぞくぞくっとした。その深い声の直後に鷹條が亜由美の耳朶に舌を差し入れて濡れた音をさせたからだ。
「ふ……あ、あぁんっ……」
きっと鷹條は亜由美なんかには興味なかったのだろうと思っていたのに、一目惚れなんて言われて耳や首筋に柔らかく舌を這わされたら、声もこらえきれないし下半身がむずむずして、つい太ももを擦りあわせたくなってしまう。
「でもっ……千智さん、は私に興味ないかと……」
「ん。立場があったから。自制してた。こんなことしちゃいけない。連絡先なんてきいちゃいけない。なのに亜由美は何度も俺の目の前で困ってくれるし」
好きで困っていたわけではないけれど、こうやってお互いの気持ちが通じ合うことができたのなら、それも良かったのかも? と少しだけ思う。
「立場なんて気にしなくていいな?」
耳元にあった唇は緩やかに移動して、首や鎖骨を甘くくすぐる。
立場なんて気にしないでほしい。
柔い感触とぬめりを伴った熱は亜由美も昂らせた。
だんだん何を言われているのか分からなくなってくる。
「もう自制なんて、できなさそうなんだけど」
胸元から覗き込んでくるその上聞いたことのない色香を含んだ声にくらりとする。
「しない……で」
「了解」
その時、鷹條の手が亜由美の濡れた部分に触れた。くちゅっという聞いたことのない湿った音に亜由美は戸惑う。
「あっ……や、だ……め」
戸惑ってつい漏れてしまった声に応じて、鷹條がその手を止める。
「いや? ダメ? なら止める?」
「あ……」
──きっと分かっている。
緩く唇を舐めて、口の端をきゅっと引き上げているその表情は亜由美がいやとか、ダメなんて思っていないなんてこと分かっている。
「ズル……いっ、分かってるくせに……」
「亜由美、可愛いな。本当に綺麗だ。感じてても、乱れてても可愛い。全部欲しい」
一瞬だけ止められていた指が、今度はぐちゃりと音をさせながら、奥にまで入ってきた。
「んっ……いっ……」
「え?」
今度は戸惑った鷹條が慌てて、その指を引き抜く。
「狭い……。亜由美、初めて……か?」
こくり、と亜由美は頷く。途端に、鷹條は表情を強ばらせた。
(どうしよう、面倒だって思われたのかも)
さっきまで、我を忘れるほどに気持ちよかった。亜由美のことを大事にしてくれる鷹條とすることは、自然なことだった。
けれど、男性の中には初めての女性は面倒だからと嫌がる人もいるという。
(それに私がいやとかダメとか言うから……っ)
キスをしている間も肩や腰のラインをなぞるように鷹條は触れていて、直接的ではないその触れ方に亜由美は秘部からとろりと温かいものが零れたことを自覚した。
「亜由美はすごく綺麗だ……あの時……」
あの時……?
気持ちよさで頭がおかしくなりそうな中、鷹條の静かな声が薄暗い部屋に響く。
「男にぶつかったと因縁つけられていただろ? あの時、綺麗な人だから絡まれてしまうんだと妙に納得したものがあったよ」
「わ……たしは怖かった……」
「うん。亜由美は悪くない。ただ、俺もきっとあの時一目見て惹かれていた」
そう言って鷹條は亜由美の耳元に唇をつける。
「一目惚れだよ」
ぞくぞくっとした。その深い声の直後に鷹條が亜由美の耳朶に舌を差し入れて濡れた音をさせたからだ。
「ふ……あ、あぁんっ……」
きっと鷹條は亜由美なんかには興味なかったのだろうと思っていたのに、一目惚れなんて言われて耳や首筋に柔らかく舌を這わされたら、声もこらえきれないし下半身がむずむずして、つい太ももを擦りあわせたくなってしまう。
「でもっ……千智さん、は私に興味ないかと……」
「ん。立場があったから。自制してた。こんなことしちゃいけない。連絡先なんてきいちゃいけない。なのに亜由美は何度も俺の目の前で困ってくれるし」
好きで困っていたわけではないけれど、こうやってお互いの気持ちが通じ合うことができたのなら、それも良かったのかも? と少しだけ思う。
「立場なんて気にしなくていいな?」
耳元にあった唇は緩やかに移動して、首や鎖骨を甘くくすぐる。
立場なんて気にしないでほしい。
柔い感触とぬめりを伴った熱は亜由美も昂らせた。
だんだん何を言われているのか分からなくなってくる。
「もう自制なんて、できなさそうなんだけど」
胸元から覗き込んでくるその上聞いたことのない色香を含んだ声にくらりとする。
「しない……で」
「了解」
その時、鷹條の手が亜由美の濡れた部分に触れた。くちゅっという聞いたことのない湿った音に亜由美は戸惑う。
「あっ……や、だ……め」
戸惑ってつい漏れてしまった声に応じて、鷹條がその手を止める。
「いや? ダメ? なら止める?」
「あ……」
──きっと分かっている。
緩く唇を舐めて、口の端をきゅっと引き上げているその表情は亜由美がいやとか、ダメなんて思っていないなんてこと分かっている。
「ズル……いっ、分かってるくせに……」
「亜由美、可愛いな。本当に綺麗だ。感じてても、乱れてても可愛い。全部欲しい」
一瞬だけ止められていた指が、今度はぐちゃりと音をさせながら、奥にまで入ってきた。
「んっ……いっ……」
「え?」
今度は戸惑った鷹條が慌てて、その指を引き抜く。
「狭い……。亜由美、初めて……か?」
こくり、と亜由美は頷く。途端に、鷹條は表情を強ばらせた。
(どうしよう、面倒だって思われたのかも)
さっきまで、我を忘れるほどに気持ちよかった。亜由美のことを大事にしてくれる鷹條とすることは、自然なことだった。
けれど、男性の中には初めての女性は面倒だからと嫌がる人もいるという。
(それに私がいやとかダメとか言うから……っ)
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