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5.今度こそ運命の出逢い
今度こそ運命の出逢い④
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そうして亜由美ににっこりと笑いかけた。
「この人も逮捕しますか?」
慌てて亜由美は鷹條の服の袖をきゅっと掴む。
「ダメですっ!」
久木はそれを見て笑った。
「では鷹條くん、会議には間に合うように」
「はい」
久木にそう返事をした鷹條は亜由美の方を見た。
「なにがあったんだ?」
亜由美は会社内でのトラブルが原因で一条を怒らせてしまったこと。
怒らせたはずなのに、気を引きたいのかと言われて押し問答になってしまっていたことを伝える。
鷹條は髪を軽くかき上げた。
「まさか、俺は邪魔したんじゃないよな?」
亜由美は慌てて首を横に振る。誤解されてはたまらない。
「そんな訳ないです! 助けてくださってありがとうございました。……いつも、本当にありがとうございます」
「まあ、杉原さんが危ない目に合うことは本意じゃないけど、助けられてよかったよ」
ふっと微笑む鷹條はまぶしいくらいにカッコいい。
「食事に行くところじゃなかったのか?」
「そうですけど……」
正直に言えば、そんな気分ではなくなってしまった。
「いいから、何か食おう」
あそこでいいか? と鷹條は外に椅子とテーブルを出しているカフェを指さした。
食事をする気分ではない亜由美に気をつかってくれたのだろう。
「はい」
思いがけず鷹條と一緒に食事をすることになって、亜由美は嬉しさと戸惑いで急に胸がどきどきしてきてしまった。
鷹條は外の席を選んでくれた。
天気の良い日、通りに面したテラスは心地よくて、先程の怖かった気持ちや、不快だった気持ちを和らげてくれる。
けどそれだけじゃなくて何となく、鷹條は人目のある開放的な場所を亜由美のために選んでくれたのではないだろうかと亜由美は感じた。
「誘ってしまったけど、大丈夫だったか?」
そんな風に声をかけてくれる鷹條は、やっぱり優しい。
「嬉しいです。あ、お食事ごちそうさせてください」
「だから、それは無理なんだ」
「鷹條さん、警察官なんですものね」
「え!?」
今日も身分を明かしたのは久木で、もちろん久木の部下なのだから、鷹條も警察官なのだと察することはできる。
けれど鷹條が警察官であると亜由美が知ったのは、今日のことがあったからではない。
亜由美は頬を赤くして、軽く俯く。
「ニュースで見ました」
「ニュース?」
「国会のニュース……。鷹條さん映ってましたから」
鷹條も一瞬赤くなって、微妙な表情になる。
「あ、あー……そうだな。最近はSPにはあまり配慮はされないからな。捜査員なんかは捜査に支障が出るといけないから、モザイクかけてくれたりするんだが」
「素敵でしたよ?」
「そんなの見なくていい」
照れている鷹條は今までと違って、亜由美は嬉しくなってしまった。
先ほどまでの沈んだ気持ちは徐々に晴れてきていた。
メニューを聞きに来た店員に亜由美はホットサンドとカフェラテを注文する。鷹條もコーヒーを注文していた。
「鷹條さん、お食事は?」
「さっき一緒にいた人、上司なんだけど一緒に食べに行ってきたところだったんだ」
食事も終わっていたのに亜由美に付き合ってくれているのだ。
「いいんですか?」
「今、杉原さんのこと一人にしたくないからな。午後一番の会議に間に合えば構わない。さっきの上司もそう言っていただろう」
一緒にいられることはとても嬉しいし、一人にしたくないと思っていてくれることも嬉しかった。
(誤解しちゃいそうです、鷹條さん……)
「この人も逮捕しますか?」
慌てて亜由美は鷹條の服の袖をきゅっと掴む。
「ダメですっ!」
久木はそれを見て笑った。
「では鷹條くん、会議には間に合うように」
「はい」
久木にそう返事をした鷹條は亜由美の方を見た。
「なにがあったんだ?」
亜由美は会社内でのトラブルが原因で一条を怒らせてしまったこと。
怒らせたはずなのに、気を引きたいのかと言われて押し問答になってしまっていたことを伝える。
鷹條は髪を軽くかき上げた。
「まさか、俺は邪魔したんじゃないよな?」
亜由美は慌てて首を横に振る。誤解されてはたまらない。
「そんな訳ないです! 助けてくださってありがとうございました。……いつも、本当にありがとうございます」
「まあ、杉原さんが危ない目に合うことは本意じゃないけど、助けられてよかったよ」
ふっと微笑む鷹條はまぶしいくらいにカッコいい。
「食事に行くところじゃなかったのか?」
「そうですけど……」
正直に言えば、そんな気分ではなくなってしまった。
「いいから、何か食おう」
あそこでいいか? と鷹條は外に椅子とテーブルを出しているカフェを指さした。
食事をする気分ではない亜由美に気をつかってくれたのだろう。
「はい」
思いがけず鷹條と一緒に食事をすることになって、亜由美は嬉しさと戸惑いで急に胸がどきどきしてきてしまった。
鷹條は外の席を選んでくれた。
天気の良い日、通りに面したテラスは心地よくて、先程の怖かった気持ちや、不快だった気持ちを和らげてくれる。
けどそれだけじゃなくて何となく、鷹條は人目のある開放的な場所を亜由美のために選んでくれたのではないだろうかと亜由美は感じた。
「誘ってしまったけど、大丈夫だったか?」
そんな風に声をかけてくれる鷹條は、やっぱり優しい。
「嬉しいです。あ、お食事ごちそうさせてください」
「だから、それは無理なんだ」
「鷹條さん、警察官なんですものね」
「え!?」
今日も身分を明かしたのは久木で、もちろん久木の部下なのだから、鷹條も警察官なのだと察することはできる。
けれど鷹條が警察官であると亜由美が知ったのは、今日のことがあったからではない。
亜由美は頬を赤くして、軽く俯く。
「ニュースで見ました」
「ニュース?」
「国会のニュース……。鷹條さん映ってましたから」
鷹條も一瞬赤くなって、微妙な表情になる。
「あ、あー……そうだな。最近はSPにはあまり配慮はされないからな。捜査員なんかは捜査に支障が出るといけないから、モザイクかけてくれたりするんだが」
「素敵でしたよ?」
「そんなの見なくていい」
照れている鷹條は今までと違って、亜由美は嬉しくなってしまった。
先ほどまでの沈んだ気持ちは徐々に晴れてきていた。
メニューを聞きに来た店員に亜由美はホットサンドとカフェラテを注文する。鷹條もコーヒーを注文していた。
「鷹條さん、お食事は?」
「さっき一緒にいた人、上司なんだけど一緒に食べに行ってきたところだったんだ」
食事も終わっていたのに亜由美に付き合ってくれているのだ。
「いいんですか?」
「今、杉原さんのこと一人にしたくないからな。午後一番の会議に間に合えば構わない。さっきの上司もそう言っていただろう」
一緒にいられることはとても嬉しいし、一人にしたくないと思っていてくれることも嬉しかった。
(誤解しちゃいそうです、鷹條さん……)
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