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16.絆を深めること

絆を深めること③

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 抱かれるとは、こんなにも官能的なものだと浅緋は知らなかった。
 囁かれる声も、触れる指もその言葉にすら反応してしまう。

 それは覚悟していた以上に未知のものだ。
 それでもそれすら共有したいと言ってくれる片倉に全てを委ねたいと思うのはおかしいだろうか。

「声、出ちゃいそうなら、出て大丈夫。むしろ、聞かせてくれたら嬉しいよ」

「はい……」
「それに……」

 そう言って、片倉は言葉を止める。
 浅緋は首を傾げた。
 それに?

「浅緋の声、すごくいい」
 何か言葉を呑み込んだように見えた。
 本当は何を言おうとしたのだろうか?

 そんなことが気になった浅緋の首に片倉が手を触れる。

「何考えてるの?」
「んんっ……」

 は……と熱い息が漏れてしまう。
「な、にか声以外にも言いたいことがあったのではないかなって、思ったんです」

 片倉の唇がゆるりと浅緋の首元を這う。
 その初めての感覚に浅緋の背中がぞくん、として震える。

 その感覚がすると足元が心許なくて、つい膝の内側にぎゅうっと力が入ってしまうのだ。

 唇に続いて先程の宣言通り、片倉は今度は唇で辿ったところを緩やかに舐めたりする。
 濡れた舌が首を這うその感触と、見た事のない片倉の表情。

 時折、ちゅ……と音を立てて吸われたりして、浅緋はなんだか腰のあたりが落ち着かなくなってきていた。

「どうしたの? 浅緋?」
「あ……あの、なんだかさっきから……足元が、心許ないんです……」

 もう膝はぎゅっと閉じているのに、まだお腹の下がキュンとする。

「そう。それ、すごく我慢できなくなったら、教えてくれる?」
 こくこくっと浅緋は頷いた。

 片倉が今度は浅緋のネグリジェの上から胸のあたりに手を乗せる。
 また、浅緋は身体が揺れてしまった。

「すごく、ドキドキしているね」
「は……い」

 先程から、呼吸すらもままならない。たくさん息を吸っても足りなくて、すごく息が乱れてしまうから。

「肌に、直に触れたい。いいかな、浅緋」
 服すらまだ脱いでいないことに初めて気づいた浅緋だ。

「恥ずかしい……まだ、何もしてない、ですよね……?」
「いや? 何もしていないことはないよ。ベッドに入って浅緋を抱きしめて、キスをして……いっぱいキスしたから、足元が心許ないんだよね?」

「はい……おかしいですか?」
「至って結構な反応で嬉しい。我慢できなくなることをしていくから、また足元がふわふわしたら、教えてね」

 そう言って、にこりと片倉は笑った。
 こくこくっと浅緋は頷く。

 おかしくはないらしいけれど、どうやらあのお腹の下がキュンとするような感じになったら、片倉に言えばいいらしいということが浅緋には分かった。

──慎也さんは大人なのだもの、きっとその治し方も分かっているのね。

 そんな風に浅緋は考えていたのだ。
 今度はネグリジェの下の浅緋の肌に、片倉の手が直に触れた。

 脇腹は少しくすぐったくて、身を捩ってしまう。
「くすぐったい?」
「はい。少し……」

 けれど、その手が胸の横に触れた時、くすぐったいのとは違う感覚が浅緋の身体を走った。
 繊細な指がそうっと動いて、胸の先端の方に動いていく。

「……あ」
 先の敏感なところにその指が触れたのが分かった。

 そっと、撫でるようにされて、つん、とそこが尖るのが分かる。
 形を変えたそれを殊更分かるようにやんわりと摘まれた。

「や……」
「いや……?」
「いえ……でも、あの先程からどうしてもその……」
「ああ、足元が心許ない? それはね、感じているってこと。だから足をそんな風にぎゅっとしているんだな。それでも切ないだろう?」
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