フォンダンショコラな恋人

如月 そら

文字の大きさ
上 下
70 / 74
おまけのお話:その1

似た者同士③

しおりを挟む
「愛梨沙ちゃん、晃希はeスポーツのチームに入っているんですって」

愛梨沙は驚いている様子ではあったけれど、その顔に嫌悪感などはなくて、晃希は好感を持った。

ただし、その表情はほとんど動いていないのだけれど。
「私、ゲームも好きなの。何やってるの?」
「あ、FPSなんですけど」

FPSというのはファーストパーソン・シューティングゲームの略で、操作するキャラクターが本人視点のゲームのことを言い、武器や素手などで戦うコンピューターゲームのことだ。

『一人称視点シューティングゲーム』と言われるものである。
eスポーツの中でも割とメインで華やかな分野なのだ。

「そうよね、チームに所属してるんだから……」
「でも他のもやりますけど」

「配信してないの?」
「一応してます。聞き専で」
「聞き専なのに配信できるの?」
「チームのメンバーが喋ってくれるんで」

eスポーツチームに入っているのならば、全員ではないにしても、多くの選手がライブストリーミング配信をしている。
プロ選手の場合は特に、スポンサーとの兼ね合いもあり、配信しているというケースがほとんどだ。

通常のゲーム配信ならば、話をしながら配信するものだけれど、中には『聞き専』と言って、声を発することなく、チームに貢献する選手もいる。
晃希は声出しはしない選手、ということだ。

「私、モデルもしているんだけど、インフルエンサーなの」
「マジすか!?」
今日一で晃希が食いついたような気がする。

「配信もしたいんだけど、機材周りとかよく分からなくて。お兄ちゃんに聞いてもそこまで詳しくはないし」
「良かったら見ますけど」
「本当!? 嬉しい!」

愛梨沙の心からの笑顔も珍しい気がする。
「ね?」
と翠咲は陽平に笑顔を向けた。

その後は機材の話や、ゲームの話、フォロワーについてなど2人が仲良く喋っているのを、翠咲と陽平も引っ越しや陽平の家に挨拶に行く打ち合わせをしながら、見ていた。

「お兄ちゃん」
「なんだ?」
「今度、翠咲さん、うちにご挨拶にきてくれるんでしょう? 一緒に晃希くんに来てもらったらダメ?」

「構わないが……晃希くん、いいのか?」
「はい。機材見るにも回線回りとかPCとか確認しておきたいので」

まさかそこまで気が合うとは思っていなかったけれど、翠咲はそれもありなのかもしれない、と笑ってしまった。

「楽しそうだな」
「うん。晃希にもいいお友達ができたし、私も陽平さんのお宅に行くのに緊張しなくて済むんだもの。愛梨沙ちゃんも、晃希も一緒なら一安心だわ」

「結局、僕だけが緊張して何だか損した気分だな」
「そうなの?」
「言うほどには思っていないけどな」

翠咲の家にお邪魔して、翠咲の子供の頃写真など見せてもらって、高校の時のチアリーディングの写真は可愛かったし、自宅には不在だった晃希ともこうして、愛梨沙を通じてだけれど、親しくなれた。

家族ぐるみでの付き合いも翠咲となら悪くない。

だから翠咲を選んで正解だったのだ、と陽平は翠咲をきゅっと抱きしめたのだった。


     ✽+†+✽―END―✽+†+✽


(。>ㅅ<。)💦本当はね、ここで完結にしようと思ったのですが、もう1本、ストーリーを続けても良いですか?
(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)💕お付き合いいただけると、とてもとても嬉しいです。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

タイプではありませんが

雪本 風香
恋愛
彼氏に振られたばかりの山下楓に告白してきた男性は同期の星野だった。 顔もいい、性格もいい星野。 だけど楓は断る。 「タイプじゃない」と。 「タイプじゃないかもしれんけどさ。少しだけ俺のことをみてよ。……な、頼むよ」 懇願する星野に、楓はしぶしぶ付き合うことにしたのだ。 星野の3カ月間の恋愛アピールに。 好きよ、好きよと言われる男性に少しずつ心を動かされる女の子の焦れったい恋愛の話です。 ※体の関係は10章以降になります。 ※ムーンライトノベルズ様、エブリスタ様にも投稿しています。

あまやかしても、いいですか?

藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。 「俺ね、ダメなんだ」 「あーもう、キスしたい」 「それこそだめです」  甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の 契約結婚生活とはこれいかに。

【完結】誰にも知られては、いけない私の好きな人。

真守 輪
恋愛
年下の恋人を持つ図書館司書のわたし。 地味でメンヘラなわたしに対して、高校生の恋人は顔も頭もイイが、嫉妬深くて性格と愛情表現が歪みまくっている。 ドSな彼に振り回されるわたしの日常。でも、そんな関係も長くは続かない。わたしたちの関係が、彼の学校に知られた時、わたしは断罪されるから……。 イラスト提供 千里さま

隠れドS上司の過剰な溺愛には逆らえません

如月 そら
恋愛
旧題:隠れドS上司はTL作家を所望する! 【書籍化】 2023/5/17 『隠れドS上司の過剰な溺愛には逆らえません』としてエタニティブックス様より書籍化❤️ たくさんの応援のお陰です❣️✨感謝です(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) 🍀WEB小説作家の小島陽菜乃はいわゆるTL作家だ。  けれど、最近はある理由から評価が低迷していた。それは未経験ゆえのリアリティのなさ。  さまざまな資料を駆使し執筆してきたものの、評価が辛いのは否定できない。 そんな時、陽菜乃は会社の倉庫で上司が同僚といたしているのを見てしまう。 「隠れて覗き見なんてしてたら、興奮しないか?」  真面目そうな上司だと思っていたのに︎!! ……でもちょっと待って。 こんなに慣れているのなら教えてもらえばいいんじゃないの!?  けれど上司の森野英は慣れているなんてもんじゃなくて……!? ※普段より、ややえちえち多めです。苦手な方は避けてくださいね。(えちえち多めなんですけど、可愛くてきゅんなえちを目指しました✨) ※くれぐれも!くれぐれもフィクションです‼️( •̀ω•́ )✧ ※感想欄がネタバレありとなっておりますので注意⚠️です。感想は大歓迎です❣️ありがとうございます(*ᴗˬᴗ)💕

シンデレラは王子様と離婚することになりました。

及川 桜
恋愛
シンデレラは王子様と結婚して幸せになり・・・ なりませんでした!! 【現代版 シンデレラストーリー】 貧乏OLは、ひょんなことから会社の社長と出会い結婚することになりました。 はたから見れば、王子様に見初められたシンデレラストーリー。 しかしながら、その実態は? 離婚前提の結婚生活。 果たして、シンデレラは無事に王子様と離婚できるのでしょうか。

恋とキスは背伸びして

葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員 成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長 年齢差 9歳 身長差 22㎝ 役職 雲泥の差 この違い、恋愛には大きな壁? そして同期の卓の存在 異性の親友は成立する? 数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの 二人の恋の物語

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

処理中です...