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おまけのお話:その1
似た者同士②
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その部活が活動出来なくなったのは、晃希のせいだと思わないのは、翠咲が晃希の顔に慣れ切った身内だからだ。
しかし、確か部活は晃希が好きで入学してまもなく自分で立ち上げたと翠咲は聞いていた。
「でも、部活って自分で立ち上げたんじゃないの?」
「まあ、継いでくれる部長もいるし、本格的にやろうと思うと部活では難しいかなって」
「ゲームだっけ?」
「eスポーツ。今はチームに入ってる」
eスポーツとは、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉えるものだ。
中学生くらいからゲームが好きだと聞いてはいたけれど、そこまでだとは思わなかった翠咲である。
晃希も最初は部活でやっていたけれども、今はチームに所属しているということらしい。
野球にしても、サッカーにしても、チームに所属できる選手など、ひと握りだ。
晃希はその中のひと握りなのだろう。
しかし、当の本人はアイスココアフロートなどという、甘さの極みみたいなメニューを頼みながらズボンのポケットからスマホを出し、写真を撮っている。
とても、そんなすごい選手には見えない。
「インスタとかいうやつかな?」
「俺はツイッターだけど。チームからたまにはプライベートもツイートしろと言われていて。でも俺そういうの苦手だからさ」
なるほどー。んんー?なんか最近そういう話あったな……。
「ごめん、愛梨沙が新規の契約が入ったみたいで、また契約書を確認して欲しいとかで」
そう言って戻ってきた陽平を見て、翠咲は気づいたのだ。
「あ、愛梨沙ちゃんだ!」
──何のこと?
男子2人は首を傾げていた。
「愛梨沙ちゃん、家に来る?」
「あ……うん」
「晃希は? この後予定入っているの?」
「いや……試合は今日は21時かららしいから平気、けど……?」
「陽平さん、愛梨沙ちゃんに晃希を紹介してもいい?」
どうせいつの日か紹介しなくてはいけないのだ。
「それはもちろん構わないけれど」
席を外していた陽平には何が何だか分からない。
けれど、翠咲は少し浮かれていたのだ。
──この2人、すっごく似てる気がするんだよね!
引きずるようにして、家に晃希を連れてきた翠咲は、愛梨沙と晃希を会わせるのが楽しみだった。
「晃希くん……だっけ?」
「はい」
「予定、大丈夫だったのかな」
「時間までに自宅に帰ればいいので、問題はないです」
戸惑った様子の晃希は、居場所なさげにソファに座っていた。
何だか話している途中で、翠咲のテンションが上がって、急にマンションに連れてこられたのだ。
そうこうしているうちに、インターフォンが鳴る。
部屋に入ってきたのは超絶美少女で、まるでフィギュアのお人形のような女性だったのだ。
「だれ?」
棒読みのような愛想のなさも、晃希は全く気にならなかった。
「私の弟なの」
「翠咲さんの?」
そこで始めて愛梨沙の表情が動く。
それで晃希も愛梨沙は翠咲に悪い感情を抱いていないのだということが分かった。
「初めまして。倉橋陽平の妹の倉橋愛梨沙です」
「あ、宝条晃希です」
表情の薄い、美形同士の挨拶。
翠咲はそれをにこにこして見ていた。
「陽平さん、なんか似てない?あの2人」
「言われてみれば。会わせたいという翠咲の気持ちが分かったような気がする」
でしょー?と翠咲が首を傾げる。
しかし、確か部活は晃希が好きで入学してまもなく自分で立ち上げたと翠咲は聞いていた。
「でも、部活って自分で立ち上げたんじゃないの?」
「まあ、継いでくれる部長もいるし、本格的にやろうと思うと部活では難しいかなって」
「ゲームだっけ?」
「eスポーツ。今はチームに入ってる」
eスポーツとは、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉えるものだ。
中学生くらいからゲームが好きだと聞いてはいたけれど、そこまでだとは思わなかった翠咲である。
晃希も最初は部活でやっていたけれども、今はチームに所属しているということらしい。
野球にしても、サッカーにしても、チームに所属できる選手など、ひと握りだ。
晃希はその中のひと握りなのだろう。
しかし、当の本人はアイスココアフロートなどという、甘さの極みみたいなメニューを頼みながらズボンのポケットからスマホを出し、写真を撮っている。
とても、そんなすごい選手には見えない。
「インスタとかいうやつかな?」
「俺はツイッターだけど。チームからたまにはプライベートもツイートしろと言われていて。でも俺そういうの苦手だからさ」
なるほどー。んんー?なんか最近そういう話あったな……。
「ごめん、愛梨沙が新規の契約が入ったみたいで、また契約書を確認して欲しいとかで」
そう言って戻ってきた陽平を見て、翠咲は気づいたのだ。
「あ、愛梨沙ちゃんだ!」
──何のこと?
男子2人は首を傾げていた。
「愛梨沙ちゃん、家に来る?」
「あ……うん」
「晃希は? この後予定入っているの?」
「いや……試合は今日は21時かららしいから平気、けど……?」
「陽平さん、愛梨沙ちゃんに晃希を紹介してもいい?」
どうせいつの日か紹介しなくてはいけないのだ。
「それはもちろん構わないけれど」
席を外していた陽平には何が何だか分からない。
けれど、翠咲は少し浮かれていたのだ。
──この2人、すっごく似てる気がするんだよね!
引きずるようにして、家に晃希を連れてきた翠咲は、愛梨沙と晃希を会わせるのが楽しみだった。
「晃希くん……だっけ?」
「はい」
「予定、大丈夫だったのかな」
「時間までに自宅に帰ればいいので、問題はないです」
戸惑った様子の晃希は、居場所なさげにソファに座っていた。
何だか話している途中で、翠咲のテンションが上がって、急にマンションに連れてこられたのだ。
そうこうしているうちに、インターフォンが鳴る。
部屋に入ってきたのは超絶美少女で、まるでフィギュアのお人形のような女性だったのだ。
「だれ?」
棒読みのような愛想のなさも、晃希は全く気にならなかった。
「私の弟なの」
「翠咲さんの?」
そこで始めて愛梨沙の表情が動く。
それで晃希も愛梨沙は翠咲に悪い感情を抱いていないのだということが分かった。
「初めまして。倉橋陽平の妹の倉橋愛梨沙です」
「あ、宝条晃希です」
表情の薄い、美形同士の挨拶。
翠咲はそれをにこにこして見ていた。
「陽平さん、なんか似てない?あの2人」
「言われてみれば。会わせたいという翠咲の気持ちが分かったような気がする」
でしょー?と翠咲が首を傾げる。
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