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15.フォンダンショコラな恋人
フォンダンショコラな恋人①
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「わあ!」
廊下を進んでドアを開けたら、開放的なリビングダイニングが目に入った。
お洒落な家具の配置されている部屋は、開放的で広いベランダまで見渡せるのだ。
白い壁とオフホワイトの床材が部屋を広く見せている。
「良くないか?」
以前住んでいた部屋よりも駅近で、かなり広い。
「うん!すごく素敵!」
マンションを買おうと思っているので内覧に行くから意見を聞かせてほしい。
そんな風に聞いて、今日はなんだか高級そうなマンションの内覧に陽平と一緒に来ている翠咲なのだ。
「この間取りですと、まだ上層階の方も空室がございますよ」
案内の営業担当者はそんな風に陽平に説明している。
「僕はそんなに上層階にはこだわらない方なんだが、翠咲は?」
「私もそこにはこだわらないかな」
ん?参考意見だよね?
なんで聞かれた?今……。
「階層より、奥の部屋が空いているなら奥の方がいいかな。手前の部屋だと人がうろうろするのが気になるかもしれないし」
「玄関は奥まっているので、さほど気にならないとは思いますが、まあ、確かにそうですね」
陽平が気になったことに、営業担当者がなるほど、と頷いている。
「翠咲は?少し歩くことになるけど、構わない?」
「はあ……」
生返事を返す翠咲をちらりと見て、陽平は真後ろに立って、後ろから囁いた。
「君もこの部屋に住む前提で話をしているんだけど?」
「はっ?!」
ぐりん!と翠咲は振り返る。陽平の表情は相変わらずだ。
だから!!表情っ!!
全然分かんないから!
それでもほんの少しだけ、いつもより顔が赤いような気もする。
それは翠咲でなければ分からないくらいの変化だ。
「それって、ルームシェア……的な……」
「僕は恋人とルームシェアするような趣味はない。こういう場合なら、結婚前提の同棲というところが妥当だろう」
憮然として陽平は翠咲を見返す。
妥当……って。
ふと気になった翠咲が営業担当者の方を見ると、そーっと営業担当者は目を逸らせた。
「あのー、15分くらい外しますので、ごゆっくりご観覧くださいね……」
そう言い残して、そそそーと彼は出て行った。
あ、ちょ……。
「気を使ったか……」
「使わせたのよ!」
「なあ、翠咲……」
後ろからきゅうーっと抱きしめてくる陽平の顔が近い。
しかも滅多に見せないような甘えるような表情なのだ。
顔が……顔がいいのよ!
それでも翠咲にはもう分かっている。
陽平はこんな表情は二人きりの時にしか見せないし、翠咲にしか見せないのだ。
「結婚前提の同棲……ねえ……」
「結婚してもいいけど」
そんなつぶやきが聞こえてきて、翠咲がゴホッ!と思わず咳き込んでしまうと、陽平はなでなで、と背中をさすってくれる。
「それって、プロポーズ……?」
「いや、単なる事実。翠咲とならいいかなって思ったんだ。うーん、それも的確ではないな。そうだな、翠咲とならしたいって思ったんだ」
笑わないで!可愛すぎる!!
翠咲の気も知らないで陽平はそんな風に言うから。
「そうか、プロポーズならそれなりに何かしないといけなかったな。サプライズとか、薔薇の花束とか」
「いや、充分驚いたから、もういい……けど」
「本当?じゃあ、明日役所行く?」
極端っ!!
「陽平さん、私はあなたのことが大好き。それにあなたが合理性を何より重視していることも理解しているし、私もどうもその方が心地いいみたいなの」
「だから、翠咲は好きなんだ。あーもう、無理。翠咲しかいらない」
えーと、この人はとても優秀な弁護士なのよね?
翠咲をきゅうっとしている陽平を翠咲もなでなで、と撫でる。
廊下を進んでドアを開けたら、開放的なリビングダイニングが目に入った。
お洒落な家具の配置されている部屋は、開放的で広いベランダまで見渡せるのだ。
白い壁とオフホワイトの床材が部屋を広く見せている。
「良くないか?」
以前住んでいた部屋よりも駅近で、かなり広い。
「うん!すごく素敵!」
マンションを買おうと思っているので内覧に行くから意見を聞かせてほしい。
そんな風に聞いて、今日はなんだか高級そうなマンションの内覧に陽平と一緒に来ている翠咲なのだ。
「この間取りですと、まだ上層階の方も空室がございますよ」
案内の営業担当者はそんな風に陽平に説明している。
「僕はそんなに上層階にはこだわらない方なんだが、翠咲は?」
「私もそこにはこだわらないかな」
ん?参考意見だよね?
なんで聞かれた?今……。
「階層より、奥の部屋が空いているなら奥の方がいいかな。手前の部屋だと人がうろうろするのが気になるかもしれないし」
「玄関は奥まっているので、さほど気にならないとは思いますが、まあ、確かにそうですね」
陽平が気になったことに、営業担当者がなるほど、と頷いている。
「翠咲は?少し歩くことになるけど、構わない?」
「はあ……」
生返事を返す翠咲をちらりと見て、陽平は真後ろに立って、後ろから囁いた。
「君もこの部屋に住む前提で話をしているんだけど?」
「はっ?!」
ぐりん!と翠咲は振り返る。陽平の表情は相変わらずだ。
だから!!表情っ!!
全然分かんないから!
それでもほんの少しだけ、いつもより顔が赤いような気もする。
それは翠咲でなければ分からないくらいの変化だ。
「それって、ルームシェア……的な……」
「僕は恋人とルームシェアするような趣味はない。こういう場合なら、結婚前提の同棲というところが妥当だろう」
憮然として陽平は翠咲を見返す。
妥当……って。
ふと気になった翠咲が営業担当者の方を見ると、そーっと営業担当者は目を逸らせた。
「あのー、15分くらい外しますので、ごゆっくりご観覧くださいね……」
そう言い残して、そそそーと彼は出て行った。
あ、ちょ……。
「気を使ったか……」
「使わせたのよ!」
「なあ、翠咲……」
後ろからきゅうーっと抱きしめてくる陽平の顔が近い。
しかも滅多に見せないような甘えるような表情なのだ。
顔が……顔がいいのよ!
それでも翠咲にはもう分かっている。
陽平はこんな表情は二人きりの時にしか見せないし、翠咲にしか見せないのだ。
「結婚前提の同棲……ねえ……」
「結婚してもいいけど」
そんなつぶやきが聞こえてきて、翠咲がゴホッ!と思わず咳き込んでしまうと、陽平はなでなで、と背中をさすってくれる。
「それって、プロポーズ……?」
「いや、単なる事実。翠咲とならいいかなって思ったんだ。うーん、それも的確ではないな。そうだな、翠咲とならしたいって思ったんだ」
笑わないで!可愛すぎる!!
翠咲の気も知らないで陽平はそんな風に言うから。
「そうか、プロポーズならそれなりに何かしないといけなかったな。サプライズとか、薔薇の花束とか」
「いや、充分驚いたから、もういい……けど」
「本当?じゃあ、明日役所行く?」
極端っ!!
「陽平さん、私はあなたのことが大好き。それにあなたが合理性を何より重視していることも理解しているし、私もどうもその方が心地いいみたいなの」
「だから、翠咲は好きなんだ。あーもう、無理。翠咲しかいらない」
えーと、この人はとても優秀な弁護士なのよね?
翠咲をきゅうっとしている陽平を翠咲もなでなで、と撫でる。
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