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13.インフルエンサー

インフルエンサー④

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記憶力の良すぎる彼氏ってどうなんだろうか。
「試してみる?」

とても綺麗な顔で首を傾げて顔を覗き込まれた。
それに翠咲も笑顔を返す。

「何をかな?」
「吹いたら折れそうかどうか」

いたずらっぽい顔、むっちゃ可愛いんだけど。

陽平とのキスは気持ちいい。
唇の触れ合う感触も、舌が甘く吸われる時の感じも、時折、ちゅ……と聞こえる音も。

すごくすごく気持ちよくて、頭がどんどん真っ白になってゆく感じも、陽平だけが翠咲をいつもこんな気持ちにさせる。

そうしてキスだけに夢中になってしまって、いつも気づいたら肌に触れられている。

「翠咲……」
誰にも聞かせたくない陽平の甘い声。

誰もいなくて2人きりだと陽平はいつもこんな風になってしまって、甘くて熱くなるのだ。
陽平の指が翠咲の胸の先端をそっと撫でる。
翠咲は堪えられない声を漏らした。

「気持ちいい?」
「ん……」

「翠咲って、結構敏感だよね」

そんなことは言われたことがない。可愛げがない、とは言われたことがあるけれど。

「そ、んなこと言われたことないよ……」
「そう?じゃあ、今までの男は知らないんだ?翠咲がこんなに感じやすくて可愛いって」

さっき、翠咲が可愛い、とちょっと思ってしまったいたずらっぽいような、誰にも見せないような得意げな顔で陽平は翠咲を覗き込んでくる。

──あー!もう、可愛いってば!
こんな人に抵抗なんてできるわけがない。

「いつもはシャキシャキ仕事してて、頼り甲斐もあるんだろう翠咲が、僕の腕の中でこんなエッチな顔してんの、すげー興奮する」

陽平だって普段と全然違う顔をしているのに、気づいてないんだろうか?
そのギャップに、翠咲は抵抗できないでいるのに。

「目、潤んでて、ほっぺた赤くして、切なそうな顔して、本当に可愛い。ねえ、乳首固くなってきたけどこれでもまだ敏感じゃないって?」

翠咲に見えるように陽平が指先が胸の先端を弄ぶ。それだけで、翠咲は腰が浮きそうになるのを堪えたけれど、狭間からは暖かいものが溢れたような気がした。

翠咲が見ていることを知りながら、陽平は翠咲の胸を優しく撫でたり、指先でつまんだりする。

そんな風に触れ方が違うだけで感じ方が違うなんてこと、翠咲は知らなかった。
抑えようとしても声が漏れてしまうことも。

「舐めてあげるよ。それとも……吸われたい?」
「陽平……っさんの、エッチ!」

「んー、エロいよ僕は。翠咲限定でね。そんなの褒め言葉でしかない。この人しか欲しくないくらい愛おしい人にエッチって言われるのって、たまらないな」
だめだもう……何言っても勝てる気がしない……。

「だって、指で触ってもつまんでも、舐めても、吸っても全部に身体びくびくさせちゃってるの、すごく可愛いし、感じすぎ」
そんなことを口にしながら、まだ脱いでもいない下半身をぐいぐいと翠咲に押し付けてくる。

「ん……あ……の、擦れて……」
「うん。当ててる。翠咲、本当に敏感。胸だけでもイケそうだな」

こんな時の陽平は本当に心から楽しそうだ。
だから、翠咲もそんな陽平が好きで、何も言えなくなってしまう。

「そんなの……っむり」
「無理じゃないよ。これだけ感じるなら大丈夫。でもそれは今度にしようか。今日はほら、僕の彼女だって思い知らせないといけないからね」

そう言って陽平は翠咲に向かって、それはそれは綺麗は笑顔を向けたのだった。

ほんっとうに記憶力のいい彼氏ってどうなの?!

そして記憶力のいい彼氏は、吹けば飛ぶどころか、思いがけない体力もあって、翌朝翠咲は危うく寝坊するところだったのだ。
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