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11.言葉の選び方は気をつけましょう
言葉の選び方は気をつけましょう③
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「いただきます」
さくっとして、ふんわりとした生地は口の中でほろりと溶けるようだった。
「美味しー‼︎」
「そうか。良かった」
妹にホットケーキを作ってあげる陽平を想像すると微笑ましい気持ちになる翠咲だった。
「午後はどうしようか?」
陽平の声に、翠咲は一瞬言い淀んだ。
陽平はそれにも敏感に気づく。
「どうした? 何か用事? 無理はしなくていいよ」
「少しだけお仕事をしなくてはいけなくて。でも、パソコンさえあればいいから、出勤はしなくていいの」
「へえ? ああ、翠咲は役付きなんだったな。よかったらそこのパソコンを使えば?」
そう言って陽平が指差したのはリビングダイニングの端に置かれているデスクトップだ。
「あの……いいの?」
「一応それなりのものを使っているので、デバイスがなんでも構わないというのなら使って」
ウイルススキャンなんかも問題ないと思うといつものように淡々と言われた……のだけれど。
翠咲が言ったのは、そういう意味ではなかった。
今までお付き合いした人は翠咲が休日に仕事をする、というと割と嫌な顔をされてしまうことが多かったのだ。
『休日くらい休めないの?』と言われたこともある。
嫌な顔一つしないで、パソコンを使ってもいいと言ってくれるような人はいなかったから。
とても、とても嬉しくなってしまって、翠咲は陽平の服をきゅうっと掴んだ。
「ん? なに? どうした?」
「だって、お仕事されるの嫌じゃないの?」
「んー……?」
陽平は少しだけ首を傾げる。
「だって翠咲は責任ある立場なんだろう。僕だって休日に仕事することは多いし、お互い様と思いこそすれ嫌なんて言わないよ。それに仕事と君を切り離すことなんて、出来るのか?」
「泣きそうー」
「なんでだよ。変なことは言っていないだろ。ちょうどいいから僕も資料を整理するから、気にしなくていい」
「ん。ありがとう」
そうして、翠咲は陽平のパソコンを借りて仕事を始める。
最初こそ翠咲は陽平が何をしているのか気になって、ちらちら見てみたりした。
陽平の方も真面目に資料を確認したり、時折手元のノートパソコンに入力したりしているようなので、本当に気にしなくていいんだと思うと仕事に集中できたのだ。
翠咲を認めて責任ある立場なのだから、と理解してくれる人はなかなかいない。
それは陽平自身も仕事に対してそういうスタンスだから理解出来ることなのだろうと思うと、気が楽なのも間違いないし、それに仕事をする陽平を初めて見たけれど。
──文句なしに、本当に顔がいいんだよなぁ……。
「翠咲、仕事いいのか?」
つい、ちらちらと陽平を見てしまっていた翠咲に目線も向けずに陽平はそう声をかける。
わあ!見られていたよ。
けれど、仕事自体は目処がついていて、むしろそろそろ終わろうと思っているけれど、陽平はどうなんだろうかと思っていたから。
「私はそろそろ終わりそう。陽平さんは?」
「んー、もうちょっとかな」
さくっとして、ふんわりとした生地は口の中でほろりと溶けるようだった。
「美味しー‼︎」
「そうか。良かった」
妹にホットケーキを作ってあげる陽平を想像すると微笑ましい気持ちになる翠咲だった。
「午後はどうしようか?」
陽平の声に、翠咲は一瞬言い淀んだ。
陽平はそれにも敏感に気づく。
「どうした? 何か用事? 無理はしなくていいよ」
「少しだけお仕事をしなくてはいけなくて。でも、パソコンさえあればいいから、出勤はしなくていいの」
「へえ? ああ、翠咲は役付きなんだったな。よかったらそこのパソコンを使えば?」
そう言って陽平が指差したのはリビングダイニングの端に置かれているデスクトップだ。
「あの……いいの?」
「一応それなりのものを使っているので、デバイスがなんでも構わないというのなら使って」
ウイルススキャンなんかも問題ないと思うといつものように淡々と言われた……のだけれど。
翠咲が言ったのは、そういう意味ではなかった。
今までお付き合いした人は翠咲が休日に仕事をする、というと割と嫌な顔をされてしまうことが多かったのだ。
『休日くらい休めないの?』と言われたこともある。
嫌な顔一つしないで、パソコンを使ってもいいと言ってくれるような人はいなかったから。
とても、とても嬉しくなってしまって、翠咲は陽平の服をきゅうっと掴んだ。
「ん? なに? どうした?」
「だって、お仕事されるの嫌じゃないの?」
「んー……?」
陽平は少しだけ首を傾げる。
「だって翠咲は責任ある立場なんだろう。僕だって休日に仕事することは多いし、お互い様と思いこそすれ嫌なんて言わないよ。それに仕事と君を切り離すことなんて、出来るのか?」
「泣きそうー」
「なんでだよ。変なことは言っていないだろ。ちょうどいいから僕も資料を整理するから、気にしなくていい」
「ん。ありがとう」
そうして、翠咲は陽平のパソコンを借りて仕事を始める。
最初こそ翠咲は陽平が何をしているのか気になって、ちらちら見てみたりした。
陽平の方も真面目に資料を確認したり、時折手元のノートパソコンに入力したりしているようなので、本当に気にしなくていいんだと思うと仕事に集中できたのだ。
翠咲を認めて責任ある立場なのだから、と理解してくれる人はなかなかいない。
それは陽平自身も仕事に対してそういうスタンスだから理解出来ることなのだろうと思うと、気が楽なのも間違いないし、それに仕事をする陽平を初めて見たけれど。
──文句なしに、本当に顔がいいんだよなぁ……。
「翠咲、仕事いいのか?」
つい、ちらちらと陽平を見てしまっていた翠咲に目線も向けずに陽平はそう声をかける。
わあ!見られていたよ。
けれど、仕事自体は目処がついていて、むしろそろそろ終わろうと思っているけれど、陽平はどうなんだろうかと思っていたから。
「私はそろそろ終わりそう。陽平さんは?」
「んー、もうちょっとかな」
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