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11.言葉の選び方は気をつけましょう
言葉の選び方は気をつけましょう②
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「ふ……ぁん……」
「……ふ」
ふふっと翠咲の耳元で陽平の笑い声が聞こえる。
「な、なんですか?」
「あなたのそういうところが嫌いなのよ。だったか?」
いや……あの、もうそれはすでに黒歴史というか、触れないでほしい。
「本当にごめんなさい」
「いや、実に正しい日本語だったなと思い返して笑っていたんだ」
「正しい日本語?」
「嫌いなのはそういうところ、で他は別に嫌いではないんだと認識している」
そう言われて、翠咲は真っ赤になってしまった。
確かにその通りなのだ。
顔が良いことは認めていた。
「僕は翠咲をすごく真面目で好ましいと思っていたけれど、それが一切伝わっていなくて、自分は上手くないんだと落ち込んだよ」
落ち込んだ?
「誰がですか?」
「入れてやろうか?」
完全に言葉の選び方がおかしいんですけど⁉︎
けれど陽平の不埒な手は翠咲の無防備なシャツの下から、直接肌に触れてくる。
陽平の触り方は、決して強くはない。
むしろ探るような優しいその触れ方は、なぜかとても背中がぞくぞくとしてしまうのだ。
焦らすように唆すように触れられて、つい翠咲は声が漏れてしまう。
「欲しくないの?」
「……ん」
もどかしくてたまらないけれど、これが欲しいということなのかどうかは、翠咲には分からない。
「分……かんないよ。でも、もどかしい……」
「素直になりなさい。そうだな、可愛いから今日は許してあげる」
甘くて蕩けそうな声が耳を掠めて、きゅっと指を絡めるように手を握られた。
そして陽平の熱は、昨日の夜に引き続き翠咲を甘く翻弄したのだ。
翠咲がシャワーを浴びて陽平の気配がするキッチンに向かうと、カウンターにかわいらしいホットプレートが置かれていた。
「ホットプレート?」
つくづくイメージに合わない人だ。
「そう」
そこにちょうど、ピピピ……とキッチンタイマーの音がした。
一体何を作っているのだろうか?
陽平がホットプレートのフタを開けると、中にベージュの小山がいくつかある。
フタが開いたときに翠咲はその香りで分かった。
「ホットケーキだ!」
「正解。うちの妹が時々作って欲しいとねだるから、作っているうちそこそこの出来になったんだ」
陽平は慎重にヘラを使って丁寧にひっくり返していく。
綺麗な黄金色で、ツヤのある面が上になった。
陽平はそこに大匙で軽く水を入れると、またフタをする。
「こんなに丁寧にホットケーキ作る人、初めて見たわ」
「手をかけると、その分上手い」
陽平が少しだけ得意気に見えるのが翠咲にはかわいらしく見えた。
こんな人だったんだな、と改めて思う。
綺麗な顔立ちで、はしゃぐように楽しそうな陽平はとてもいい。
陽平のホットケーキは蒸し焼きにするのがポイントのようで、翠咲にはどんな仕上がりになるのか、とても楽しみだった。
確かに、こんな休日は贅沢で楽しい。
真っ白くて大きなお皿にふわりとしたパンケーキをのせ、冷蔵庫からホイップを取り出して、ふわんとかけてくれる。
「どうぞ」
休日の陽平は、ラフなシャツにデニム地のエプロンがとても似合っていて、スマートにテーブルにお皿を置いてくれる姿はカフェ店員のようだ。
「……ふ」
ふふっと翠咲の耳元で陽平の笑い声が聞こえる。
「な、なんですか?」
「あなたのそういうところが嫌いなのよ。だったか?」
いや……あの、もうそれはすでに黒歴史というか、触れないでほしい。
「本当にごめんなさい」
「いや、実に正しい日本語だったなと思い返して笑っていたんだ」
「正しい日本語?」
「嫌いなのはそういうところ、で他は別に嫌いではないんだと認識している」
そう言われて、翠咲は真っ赤になってしまった。
確かにその通りなのだ。
顔が良いことは認めていた。
「僕は翠咲をすごく真面目で好ましいと思っていたけれど、それが一切伝わっていなくて、自分は上手くないんだと落ち込んだよ」
落ち込んだ?
「誰がですか?」
「入れてやろうか?」
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けれど陽平の不埒な手は翠咲の無防備なシャツの下から、直接肌に触れてくる。
陽平の触り方は、決して強くはない。
むしろ探るような優しいその触れ方は、なぜかとても背中がぞくぞくとしてしまうのだ。
焦らすように唆すように触れられて、つい翠咲は声が漏れてしまう。
「欲しくないの?」
「……ん」
もどかしくてたまらないけれど、これが欲しいということなのかどうかは、翠咲には分からない。
「分……かんないよ。でも、もどかしい……」
「素直になりなさい。そうだな、可愛いから今日は許してあげる」
甘くて蕩けそうな声が耳を掠めて、きゅっと指を絡めるように手を握られた。
そして陽平の熱は、昨日の夜に引き続き翠咲を甘く翻弄したのだ。
翠咲がシャワーを浴びて陽平の気配がするキッチンに向かうと、カウンターにかわいらしいホットプレートが置かれていた。
「ホットプレート?」
つくづくイメージに合わない人だ。
「そう」
そこにちょうど、ピピピ……とキッチンタイマーの音がした。
一体何を作っているのだろうか?
陽平がホットプレートのフタを開けると、中にベージュの小山がいくつかある。
フタが開いたときに翠咲はその香りで分かった。
「ホットケーキだ!」
「正解。うちの妹が時々作って欲しいとねだるから、作っているうちそこそこの出来になったんだ」
陽平は慎重にヘラを使って丁寧にひっくり返していく。
綺麗な黄金色で、ツヤのある面が上になった。
陽平はそこに大匙で軽く水を入れると、またフタをする。
「こんなに丁寧にホットケーキ作る人、初めて見たわ」
「手をかけると、その分上手い」
陽平が少しだけ得意気に見えるのが翠咲にはかわいらしく見えた。
こんな人だったんだな、と改めて思う。
綺麗な顔立ちで、はしゃぐように楽しそうな陽平はとてもいい。
陽平のホットケーキは蒸し焼きにするのがポイントのようで、翠咲にはどんな仕上がりになるのか、とても楽しみだった。
確かに、こんな休日は贅沢で楽しい。
真っ白くて大きなお皿にふわりとしたパンケーキをのせ、冷蔵庫からホイップを取り出して、ふわんとかけてくれる。
「どうぞ」
休日の陽平は、ラフなシャツにデニム地のエプロンがとても似合っていて、スマートにテーブルにお皿を置いてくれる姿はカフェ店員のようだ。
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