フォンダンショコラな恋人

如月 そら

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10. ごめんで済めば弁護士はいらない

ごめんで済めば弁護士はいらない ④

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そうして泡に包まれた手が優しく翠咲の肌の上を滑っていく。
リラックスは本当かもしれない。
本当にいい香りで、抵抗なく身を委ねたくなってしまうから。

「ん……気持ちいい……」
「ほらもっと、気持ちよくなって」

包み込むように胸に触れていたその手が胸の先を掠める。その感覚に翠咲の身体がピクッと揺れてしまった。
陽平は翠咲の後ろに立って、身体全体を抱きしめる。
翠咲の背中には思ったよりもたくましい陽平の胸が当たっていて、ドキドキするのだ。

身体が密着すると、何だかその包み込まれるような感じにも、密着する親近感にも逆らい難い快感への期待感にも鼓動が高くなるのを抑えることができない。

陽平の大きな手の平で身体を撫でられると、とても気持ちがいい。

その手が時折、胸の先端に意図をもって触れてくる。
「尖ってきた……」

そんな風に囁かれると、ますますそっちに意識が向いてしまう。

「すごく綺麗だな。この白い肌もすぐに赤くなってしまうところも、あと意外と感じやすくてこんな風に反応してしまうところも、全部全部とても愛おしいと思うよ」

「……っあ……」
そんなことを囁くから、つい、甘えたような声が漏れてしまう。翠咲だって陽平には絶大な信頼を置いているのだから、そんな風に言われたら、ますます甘えたくなってしまう。

でも……甘えてもいいんだ、この人には。
そんなことを思えるのも陽平だけだから。
ふわりと翠咲が身体をもたれかける。
ん……?

「あの……腰に……」
「大好きで、可愛いくて愛おしいなあって思う人とお風呂でじゃれあってたら、誰だってこうなると思うぞ。ていうか、今のは翠咲がもたれてきたからだろう。意識しないようにしていたのに」

翠咲が意識しないよう、下半身が密着しないように注意してくれていたようだ。
ふと見上げたその顔はふわりと赤い。

翠咲に黙って汗とか舐めようとしたり、シャワーを一緒に浴びるのに淡々と理論攻めしてきたりするのに、時折こんな風に陽平の気持ちが漏れてくるのは、何だかとても嬉しい。

翠咲もそっとその固くなったものに触れてみた。
「こら。いたずらするんじゃない」
「でも……おっきくなりましたけど」

陽平じゃなかったら自分から触れたい、なんて思わない。
この人だから、こんな風にしてくれるから、翠咲も素顔を暴いてしまいたくなる。

「……襲われたいの?」
にっこり笑った陽平が少しだけ獰猛な顔になっていて、翠咲は慌てて謝った。

「えーと、ごめんなさい」
「ごめんで済んだら、弁護士はいらないよな」

さらに、にこりと笑った陽平に、バスルームでのぼせる直前まで、責められてしまった翠咲なのだった。


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