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10. ごめんで済めば弁護士はいらない
ごめんで済めば弁護士はいらない ③
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「やだやだっ!」
翠咲は真っ赤になって抵抗した。
「やだって……夏なんだし、こんな浴衣なんて着ていたら、汗をかくに決まっているだろ」
けろりと舐めちゃったなんて言われて翠咲は動揺しまくっているのに、倉橋は平然としている。
もう!この人のこういうところ!!
「シャワー浴びたいですっ!」
「浴びなくてもいいよ」
「ぜっっったい、やだからっ!」
「僕も汗かいてるし」
「シャワー浴びてください」
翠咲は真顔で返した。
「一緒なら浴びてもいい」
倉橋からも真顔でそんなセリフが返ってくる。
意味がわからない。
「あの……私、そもそも泊まるつもりで来てないんですよね」
「着替えなら持っているよな? あれ、今洗濯しておけば明日までには乾くと思う。下着もついでに洗ってしまえば?」
何だろう、淡々と論理的に言われると、それでいいのかなって気持ちになってしまうのだが。
「明日まで私、下着なしってことですか?」
「いらないだろ」
う……。もう言葉に詰まるしかない。
意味なんて逆に聞きたくない。
説明されたら、絶対に恥ずかしい答えしか返ってこないような気がする。
「浴衣もすごく可愛くていいけれど、もっと翠咲のことが知りたいな」
ふ……と笑った陽平は、翠咲の浴衣の帯を解いていく。
シュルッと音がして、帯が外れ、紐を一つづつ解いていく。
「やっぱりシャワー、浴びる?」
そこなの?!
「浴びますからっ!!」
シャワーを浴びる浴びないで一悶着あった後、一緒に入る入らないで、口論になったのだが、大体翠咲が陽平に口論で勝てるわけもなく、つまり……一緒にシャワーをすることになったのだった。
勝訴で一気に機嫌が良くなった陽平は、たっぷり泡立てたバススポンジで緩く翠咲の身体を撫でる。
いいボディソープなのか、きめ細かい泡と爽やかな香りでいたく気持ちがいい。
「ん……すごくいい香り……」
草のような青っぽさとレモンのような爽やかさが混じった香りで、そういえば陽平からはいつもこんな香りがしていた。
初めてキスをした倉庫でも、この香りがしていたはずだ。
香りに引き込まれるように急にあの時のキスを思い出してしまった翠咲は手で顔を覆ってしまう。
「何で急に顔を隠す?」
「ちが……っあの、倉庫のこと思い出しちゃって……」
「倉庫? ああ、キスした時?」
こくこくっと翠咲は頷く。
「香りって五感の中でも記憶に訴えかける力が強いらしいからな。なるほど、この香りが翠咲の中の僕のイメージなんだな」
陽平はさらにボディソープを追加してわしゃわしゃとスポンジで泡立てた。
バスルームいっぱいに、香りが広がる。
「これはね、レモンバーベナっていうんだ。リラックス効果や疲労回復効果があるらしいよ。僕も好きな香りなんだ」
けど……と陽平はたっぷり立てたその泡を手の平にとる。
「今度からは、そのイメージに別のイメージがついてしまうかもね。なあ、この香りを嗅ぐたびに思い出せよ。気持ちよく、体に触れられている時のこと」
ふわりと泡で包み込むように、翠咲の身体を包んだ。
翠咲は真っ赤になって抵抗した。
「やだって……夏なんだし、こんな浴衣なんて着ていたら、汗をかくに決まっているだろ」
けろりと舐めちゃったなんて言われて翠咲は動揺しまくっているのに、倉橋は平然としている。
もう!この人のこういうところ!!
「シャワー浴びたいですっ!」
「浴びなくてもいいよ」
「ぜっっったい、やだからっ!」
「僕も汗かいてるし」
「シャワー浴びてください」
翠咲は真顔で返した。
「一緒なら浴びてもいい」
倉橋からも真顔でそんなセリフが返ってくる。
意味がわからない。
「あの……私、そもそも泊まるつもりで来てないんですよね」
「着替えなら持っているよな? あれ、今洗濯しておけば明日までには乾くと思う。下着もついでに洗ってしまえば?」
何だろう、淡々と論理的に言われると、それでいいのかなって気持ちになってしまうのだが。
「明日まで私、下着なしってことですか?」
「いらないだろ」
う……。もう言葉に詰まるしかない。
意味なんて逆に聞きたくない。
説明されたら、絶対に恥ずかしい答えしか返ってこないような気がする。
「浴衣もすごく可愛くていいけれど、もっと翠咲のことが知りたいな」
ふ……と笑った陽平は、翠咲の浴衣の帯を解いていく。
シュルッと音がして、帯が外れ、紐を一つづつ解いていく。
「やっぱりシャワー、浴びる?」
そこなの?!
「浴びますからっ!!」
シャワーを浴びる浴びないで一悶着あった後、一緒に入る入らないで、口論になったのだが、大体翠咲が陽平に口論で勝てるわけもなく、つまり……一緒にシャワーをすることになったのだった。
勝訴で一気に機嫌が良くなった陽平は、たっぷり泡立てたバススポンジで緩く翠咲の身体を撫でる。
いいボディソープなのか、きめ細かい泡と爽やかな香りでいたく気持ちがいい。
「ん……すごくいい香り……」
草のような青っぽさとレモンのような爽やかさが混じった香りで、そういえば陽平からはいつもこんな香りがしていた。
初めてキスをした倉庫でも、この香りがしていたはずだ。
香りに引き込まれるように急にあの時のキスを思い出してしまった翠咲は手で顔を覆ってしまう。
「何で急に顔を隠す?」
「ちが……っあの、倉庫のこと思い出しちゃって……」
「倉庫? ああ、キスした時?」
こくこくっと翠咲は頷く。
「香りって五感の中でも記憶に訴えかける力が強いらしいからな。なるほど、この香りが翠咲の中の僕のイメージなんだな」
陽平はさらにボディソープを追加してわしゃわしゃとスポンジで泡立てた。
バスルームいっぱいに、香りが広がる。
「これはね、レモンバーベナっていうんだ。リラックス効果や疲労回復効果があるらしいよ。僕も好きな香りなんだ」
けど……と陽平はたっぷり立てたその泡を手の平にとる。
「今度からは、そのイメージに別のイメージがついてしまうかもね。なあ、この香りを嗅ぐたびに思い出せよ。気持ちよく、体に触れられている時のこと」
ふわりと泡で包み込むように、翠咲の身体を包んだ。
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