フォンダンショコラな恋人

如月 そら

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10. ごめんで済めば弁護士はいらない

ごめんで済めば弁護士はいらない ②

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舌先で軽く唇をつつかれて、翠咲は唇を開ける。その中に、熱を持った舌が侵入してきて、翠咲の舌先を軽く舐める。

目を閉じたい。
けれど……陽平さんもキスで感じている。

その顔があまりにも色気を孕んでいて、見たことのない顔でつい見たくなってしまう。
そんな顔を見たら、自分だって昂ってしまうのに。

視線を合わせてキスをするって、そういうこと?

お互い感じているのだと、相手に伝わるような行為?

くちゅ……という音まで聞こえて、恥ずかしくて、目を伏せたら、
「翠咲……だめ」
と耳元を指で撫でられた。

「ん……っ」
口の中をまるで探るような、どこにも逃げることは許さないようなキスをして、陽平が感じているところまでつぶさに目にして、翠咲は自分も熱を持つのが分かった。

ちゅ……と音を立てて、緩やかに唇が離れる。
「どうだった……?」
「ん?」

「視線が絡むキスって、エロくないか?」
「うん……」

「嫌?」
翠咲は顔を赤くして首を横に振る。

嫌ではなかった。
むしろ、今まで感じたことがないくらい気持ち良かったし、すごく良かった。

そういえば、前にも同じようなことを思った気がする。
あの時はよかったとは認めたくなかったけれど。

「陽平さんて……」
「ん?」
「キス、上手くないですか?」
陽平が苦笑する。

「そんな風に言うの、本当に君くらいだよ。それは、僕が本当に翠咲のことが好きだからだと思う」

「そっか……気持ちがあると、とてもいいんですね、キスって」
「キスだけじゃないと思うな?」

そう翠咲の耳元でささやいた陽平だ。
そのまま、耳の下に軽く唇をつけた。
翠咲の耳元でちゅ、とあまく濡れた音がする。

「ん……っ」
「声が甘くなった」

緩く首元にも唇が落とされる。すでに昂らされていた身体は反応してしまって、ぴくんと揺れてしまう。

その時、胸の横あたりの素肌に、陽平の手が触れた感覚があって、翠咲は動きを止めた。

「……え……」
「浴衣ってここが空いているのは、なぜなんだろうね?」

……っ知らなかった!

それは『身八つ口』と呼ばれる着物の脇にある隙間だ。

通常は体温調節や、着物の着付けのズレを直したりするためのもので、決してそこから手を入れて素肌に触れるためのものではない。

「ん、んっ……」
「髪をアップにしているから、首元も堪能できるし、こんな風に着衣のまま肌に触れて翠咲が息を乱すところが見られるしね、いいな、浴衣って」

「や……もう、陽平さんっ……」
「んー? うん、何かな」
そんなことを言いながら、不埒な手が翠咲の胸にそっと触れた。

翠咲から、ふ……と吐息が漏れて陽平は嬉しそうだ。

胸元の先端の敏感なところをつん、と指でひっかかれて、翠咲の口から甘い声が漏れる。

「陽平さん、待って……私、汗かいてて……」
「うん。首元、汗かいていたね」

「あの、恥ずかしいんですけど」
「もう舐めちゃったよ」
けろりと陽平はそんなことを言う。

「っ……信じられないっ……」
「シャンプーみたいな爽やかな香りと、翠咲の匂いが混じって、すごく興奮するんだけど」
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