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8.有罪です
有罪です②
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女性は先日飲み会で翠咲と一緒にいた、高槻結衣と名乗っていた女性で、その横にいる男性はなかなかに雰囲気のある顔立ちの整った人物だった。
背が高く、紺色の浴衣の着こなしも粋だ。
営業社員がすぐに駆け寄り「蓮根先生!」と呼んでいる。
──先生……士業だろうか?
「今年もお邪魔します」
「涼真さん、受付してきますね」
「ん、結衣さん、よろしく」
蓮根と呼ばれた人物はこちらでも上客のようで、その男性社員の他も部長クラスが何人も挨拶に行っているのが見える。
高槻結衣も綺麗な浴衣姿で、本当にお似合いの2人だった。
「結衣ちゃん、今年も蓮根先生とご一緒なのね?」
「はい。あ、受付お願いいたします」
「はあい。相変わらず、仲良しで素敵ね」
「あははー、ありがとうございます」
「浴衣も可愛い」
「涼真さんがどうしても、と言うので」
「結衣さん」
蓮根が少し離れたところで結衣を呼んでいる。
「あ、ご挨拶かな。ちょっと行ってきますね」
結衣は蓮根の隣で、別の部署の社員に挨拶している。
なんとなく倉橋もその姿を見送っていた。
「宝条さんは、浴衣は着ないのか?」
「え!? あはは、そんな結衣ちゃんみたいに若くて可愛い子ならいいけど私じゃ恥ずかしいです。なに、はしゃいでるんだって言われそうだし」
「似合うと思うがな。僕は見たい」
「もう……何言ってるんですよ……」
「僕は本当のことしか言わない。知ってるだろう」
「困ります。えっと、エレベーターを上がって屋上に行って下さい。飲み物は飲み放題ですので」
顔を赤くした翠咲が、ぐいぐい倉橋をエレベーターの方へ押しやる。
その姿を、結衣が見ていたのには気づいていなかった。
受付も2時間ほどが経過した頃、一緒に受付作業をしていた社員と受付はもういいかな、と翠咲が話をしていると、そこへ結衣がやってきたのだ。
「結衣ちゃん、蓮根先生はいいの?」
「はい。捕まってますから置いてきちゃいました。それより……宝条さん、浴衣着ませんか?」
「えー? だって持ってきてないもの。それにはしゃいでるって感じしない?」
「私、はしゃいで見えます?」
結衣の浴衣は落ち着いていて大人びていて、はしゃいでいるというよりも大人の色気のある浴衣姿だった。
これならば、蓮根も連れて歩きたくて仕方ないだろうなぁというものだ。
「そんなことないわね。けど誰に見せるわけでもないし」
翠咲は苦笑して返す。
「見たい人、いると思うんですけど」
とても小さな結衣のその声は、翠咲には聞こえない。
「あのですね、私今日は涼真さんの車で来ているんです。本当は私、自分の浴衣を着てきたんです。そうしたら涼真さんも用意してくれていて、今着てるのは涼真さんの用意してくれたものです。なので、もう1着浴衣があるんです。せっかくなので、着ちゃいましょう」
「え?」
「涼真さんに車の鍵借りてきましたし」
流れるようにそんな説明をされる。
「え? そんな、結衣ちゃん!?」
「お祭りです」
結衣の感じの良い交渉力を、こんなところで発揮して欲しくない!!
聞いたことはあったけれど、超絶に感じいいのに、逆らえないのはなんなの!?
「結衣ちゃん!?」
有無を言わせず駐車場に翠咲を連れてきた結衣は、車から浴衣を取り出した。
背が高く、紺色の浴衣の着こなしも粋だ。
営業社員がすぐに駆け寄り「蓮根先生!」と呼んでいる。
──先生……士業だろうか?
「今年もお邪魔します」
「涼真さん、受付してきますね」
「ん、結衣さん、よろしく」
蓮根と呼ばれた人物はこちらでも上客のようで、その男性社員の他も部長クラスが何人も挨拶に行っているのが見える。
高槻結衣も綺麗な浴衣姿で、本当にお似合いの2人だった。
「結衣ちゃん、今年も蓮根先生とご一緒なのね?」
「はい。あ、受付お願いいたします」
「はあい。相変わらず、仲良しで素敵ね」
「あははー、ありがとうございます」
「浴衣も可愛い」
「涼真さんがどうしても、と言うので」
「結衣さん」
蓮根が少し離れたところで結衣を呼んでいる。
「あ、ご挨拶かな。ちょっと行ってきますね」
結衣は蓮根の隣で、別の部署の社員に挨拶している。
なんとなく倉橋もその姿を見送っていた。
「宝条さんは、浴衣は着ないのか?」
「え!? あはは、そんな結衣ちゃんみたいに若くて可愛い子ならいいけど私じゃ恥ずかしいです。なに、はしゃいでるんだって言われそうだし」
「似合うと思うがな。僕は見たい」
「もう……何言ってるんですよ……」
「僕は本当のことしか言わない。知ってるだろう」
「困ります。えっと、エレベーターを上がって屋上に行って下さい。飲み物は飲み放題ですので」
顔を赤くした翠咲が、ぐいぐい倉橋をエレベーターの方へ押しやる。
その姿を、結衣が見ていたのには気づいていなかった。
受付も2時間ほどが経過した頃、一緒に受付作業をしていた社員と受付はもういいかな、と翠咲が話をしていると、そこへ結衣がやってきたのだ。
「結衣ちゃん、蓮根先生はいいの?」
「はい。捕まってますから置いてきちゃいました。それより……宝条さん、浴衣着ませんか?」
「えー? だって持ってきてないもの。それにはしゃいでるって感じしない?」
「私、はしゃいで見えます?」
結衣の浴衣は落ち着いていて大人びていて、はしゃいでいるというよりも大人の色気のある浴衣姿だった。
これならば、蓮根も連れて歩きたくて仕方ないだろうなぁというものだ。
「そんなことないわね。けど誰に見せるわけでもないし」
翠咲は苦笑して返す。
「見たい人、いると思うんですけど」
とても小さな結衣のその声は、翠咲には聞こえない。
「あのですね、私今日は涼真さんの車で来ているんです。本当は私、自分の浴衣を着てきたんです。そうしたら涼真さんも用意してくれていて、今着てるのは涼真さんの用意してくれたものです。なので、もう1着浴衣があるんです。せっかくなので、着ちゃいましょう」
「え?」
「涼真さんに車の鍵借りてきましたし」
流れるようにそんな説明をされる。
「え? そんな、結衣ちゃん!?」
「お祭りです」
結衣の感じの良い交渉力を、こんなところで発揮して欲しくない!!
聞いたことはあったけれど、超絶に感じいいのに、逆らえないのはなんなの!?
「結衣ちゃん!?」
有無を言わせず駐車場に翠咲を連れてきた結衣は、車から浴衣を取り出した。
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