フォンダンショコラな恋人

如月 そら

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3.帰ります

帰ります③

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「あの……え? 先生……?」
先ほど宝条が座っていた席の横には後輩らしき女性がいて、彼女もきょとんとしてこちらを見ていた。

「こんにちは。顧問弁護士の倉橋です」
「あ、お世話になります! 宝条さんの後輩で今はコールセンター勤務しています。高槻結衣です」

ハキハキとした話し方は、なるほどコールセンター向きなのかもしれないと感じた。
長い髪と大きなくりんとした瞳が印象的な人だ。

「打ち合わせしたいんですけど、帰りは送りますから宝条さんをお借りしてもいいですか?」

そう言うと、高槻と名乗った彼女は、一瞬じいっと倉橋を見る。
倉橋は真っ直ぐ見つめ返した。

話し合いたいことがあるのは本当だ。
打ち合わせかと言われると、厳密には微妙かも知れないが。

高槻は目を伏せた。
ふっと口元に手を持ってくる。
くすっと笑ったようだった。

「分かりました。上司には宝条さんは酔ったので帰ったと言っておきます」

「え⁉︎ 結衣ちゃん! そんな……」
「宝条さん、確かに一度お話し合いをされてもいいんじゃないですか?」

察しのいい後輩で助かった。
高槻はさっさと、宝条のバッグを持ってきて彼女に渡す。

「わだかまりはない方が仕事しやすいですから!」
グッドラック!そう言って、宴席に戻って行った。面白い子だ。

「あの……なんで私が……」
往生際の悪い。

宝条はまだぐずぐず言っていたけれど、外へ連れ出してタクシーに手をあげた。

行きつけのラウンジのあるホテルの名前を告げる。
ホテルの名前を聞いて、一瞬怯えた顔をした宝条は可愛かったけれど淡々と告げた。

そう言うと、高槻と名乗った彼女は、一瞬じいっと倉橋を見る。
倉橋は真っ直ぐ見つめ返した。

話し合いたいことがあるのは本当だ。
打ち合わせかと言われると、厳密には微妙かも知れないが。

高槻は目を伏せた。
ふっと口元に手を持ってくる。
くすっと笑ったようだった。

「分かりました。上司には宝条さんは酔ったので帰ったと言っておきます」

「え⁉︎ 結衣ちゃん! そんな……」
「宝条さん、確かに一度お話し合いをされてもいいんじゃないですか?」

察しのいい後輩で助かった。
高槻はさっさと、宝条のバッグを持ってきて彼女に渡す。

「わだかまりはない方が仕事しやすいですから!」
グッドラック!そう言って、宴席に戻って行った。面白い子だ。

「あの……なんで私が……」
往生際の悪い。

宝条はまだぐずぐず言っていたけれど、外へ連れ出してタクシーに手をあげた。

行きつけのラウンジのあるホテルの名前を告げる。
ホテルの名前を聞いて、一瞬怯えた顔をした宝条は可愛かったけれど淡々と告げた。

「行きつけのラウンジがあるんですよ」
「ラウンジ……はぁ……」

「連れ込まれたかったんですか?」
「っ……‼︎ そんな訳ないですっ!」
そんな事はないと分かっているから、言える事だ。

宝条もあわあわと慌てている。
全く、仕事の時と全然違うじゃないか。

いつもなら、きりりとしていて隙がなくて納得いくまで食い下がる。
こんな、怯えたり、慌てたり……。

つい、横に座っている宝条を見てしまう。
「……なんです?」
やはり、キリリっと返される。

けれどお酒が入っているせいか、顔はふわりと上気して頬はピンクだし、目も潤んで外のライトが反射するせいか目の中がきらきらしている。

もともと顔立ちは綺麗な人だ。

「いや、冗談です」
「倉橋先生も冗談なんて仰るんですね」

真顔で言うから、お前のは分かりにくいんだよ!とはよく言われるけれど。
「冗談くらいは言いますよ」
そう返した。
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