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別視点一。
別視点
しおりを挟む月明かりのない新月
蝋燭の灯りだけが 足元を照らす
白一色の 装束をきた幼き子
覚束無い足取りながら 一心不乱に 舞う
無音の中 迷うことのない形を 紡ぐ
観衆は 数人
伏したまま 流れ行くものを 視る
音のない 調べを 聴く
幼子の脚が 止まると
虫の音が
風音が
息吹く
生きた音が 戻ってきた。
幼子は 滂沱の涙のまま 倒れていた。
何を視たというのだろうか。
新月の夜
里は新しき時代を迎えた。
しかし あまりにも か弱い時かもしれぬ。
慶びにみちるはずの場で
不安のみが 支配した。
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