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2章 森に引きこもってもいいかしら?
19. ルミナス神のもとへ
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「ばあちゃんっ!」
そんなイーヴァの声が聞こえた気がするのですけれども……
私は倒れていたのでしょうか。上半身を起こして周囲を見回して気づきました。ここはあの神様と出会った真っ白な部屋ではないでしょうか。
そしてそこにはあのひょろりとした彼が佇んでいます。怒っているような、でもどこか悲しそうな表情をした彼は私のそばに来て怒鳴りました。
「コーユさん。貴女は何を考えていたんです? 死にたいのですか?」
怒れる神の勢いにびっくりして声が出ませんでした。
あなた、怒鳴る事も出来るんですねぇ。いつも謝ったり慌てたところしか見たことが無かったのでびっくりしましたわ。
けれども死にたいのですかと言う言葉には反論をしたいところですわ。
死にたい? そんな事があるわけないじゃないですか!
生きていたいからこうやって頑張ってるんですよ!
私はのんびり過ごしていたいだけなのよ。
神様は何も無かったところにテーブルと椅子を出すと私に座るよう言いました。
そして何故ここまで大掛かりな魔法を使ったのか、王都に見つかるのが嫌だったのではないのかなどと聞いてきました。
そういえば、神様と練習したのは『断罪』だけでしたのもね。
それから私は自分がやったことの状況と思いを神様に伝えました。
主人が亡くなって子供と取り残された時も、一人息子が亡くなって取り残された時も、何時だって引きちぎられた心を癒す間もなく頑張ったわ。
息子を孫を育て上げるまではと。
頑張ったのよ。
やっとやりたい事を出来る時に、この世界に無理矢理拐われた時だって。
自分を楽しむことを目標に、今を頑張っていますわ。
死にたいわけないじゃない。
私は私が可愛く思っている子を育てたいだけ。自分で生きていく事ができるように。
私は自分が年寄りだという事は十分承知しています。
だからこそ、イーヴァやイリス、タッツゥ、ミクリンを自分自身で生活して行けるようにしたいの。
これ以上悪い人たちに利用されたり搾取された生活は送ってほしく無いの。
だからこのティユルの街から数キロは守られるようにしたのよ。
何が悪い事で何が良い事かは、場所や人や状況によって違うけれども。
人殺しや泥棒、意味のない暴力、騙すこと。これはどの世界でも悪い事だと思うの。
だからティユルは私の薄い膜のような壁で守られるようにしました。私が贖罪と名付けたスキルです。
この壁は結界のように悪い人を弾くような事は出来ません。
ですがこれに触れれば悪事を働いたことが有る場合にだけ腕や首筋に徴が現れるようになっています。
そしてそれは隠してもステータスに刻み込まれるようになっています。
消えていく事も有れば、一生消えない人もいるでしょうね。
それはその人の罪状によるもの。
罪が見えれば信用はしないでしょう?
どんなに悪意を隠して微笑っても、この人は罪人だとわかれば対処は出来るはずです。
怒りで頭が弾けそうになりながら、考え創りあげました。
まずティユルの街で住む人を考えました。
首に赤い環が浮かべば、その人は生涯神から許されることが無いという徴です。悪意を思い浮かべただけで、身体に電流のような衝撃が走ります。
首に黒い太い環が浮かび上がっている人は、断罪により生涯街の為だけに尽くす人生を歩ませられるの。
役人となり人々の生活の為に生きる事は出来るけれど、街の外には出られずただひたすら民の為に尽くすのです。嫌だと思おうが、身体と精神は街の安全と繁栄にのみ動くことを許されます。
役人ですから、衣食住は保証されています。しかし結婚も飲酒も身体が拒否するようになっています。
黒い細い環だけの人は冒険者の方もやっている害獣、魔獣の討伐をやって貰いましょう。荒事に慣れている方ならちょうどいいのではないかしら。
このティユルの住人で無ければ、街の外に出る事が出来るでしょう。
でも見ただけで分かる徴を持ち、ステータスに刻み込まれた罪人の文字を持つ者を誰が自分の街に入れようと思うでしょうか。
ああ、罪人ばかりの街ならそういう事もあるでしょうね。
ティユルには二度ときてほしくないですわ。
そこまで一気に言ってから、ふぅーと息をはきだしました。
でもね、私だって人様を裁けるような資格なんてないのよ。いうなれば私の我儘なのだもの。
だからこそ、自分の魔力がある限りでこの街に魔法をかけたのです。
そう、私も裁かれるように。
そこまで話すと神様は何処からかポットを取り出しお茶を入れ勧めてくれました。
ふぅ。
あら、美味しいお紅茶です事。このお茶の葉を少しだけ分けては下さらないかしら?
そんなイーヴァの声が聞こえた気がするのですけれども……
私は倒れていたのでしょうか。上半身を起こして周囲を見回して気づきました。ここはあの神様と出会った真っ白な部屋ではないでしょうか。
そしてそこにはあのひょろりとした彼が佇んでいます。怒っているような、でもどこか悲しそうな表情をした彼は私のそばに来て怒鳴りました。
「コーユさん。貴女は何を考えていたんです? 死にたいのですか?」
怒れる神の勢いにびっくりして声が出ませんでした。
あなた、怒鳴る事も出来るんですねぇ。いつも謝ったり慌てたところしか見たことが無かったのでびっくりしましたわ。
けれども死にたいのですかと言う言葉には反論をしたいところですわ。
死にたい? そんな事があるわけないじゃないですか!
生きていたいからこうやって頑張ってるんですよ!
私はのんびり過ごしていたいだけなのよ。
神様は何も無かったところにテーブルと椅子を出すと私に座るよう言いました。
そして何故ここまで大掛かりな魔法を使ったのか、王都に見つかるのが嫌だったのではないのかなどと聞いてきました。
そういえば、神様と練習したのは『断罪』だけでしたのもね。
それから私は自分がやったことの状況と思いを神様に伝えました。
主人が亡くなって子供と取り残された時も、一人息子が亡くなって取り残された時も、何時だって引きちぎられた心を癒す間もなく頑張ったわ。
息子を孫を育て上げるまではと。
頑張ったのよ。
やっとやりたい事を出来る時に、この世界に無理矢理拐われた時だって。
自分を楽しむことを目標に、今を頑張っていますわ。
死にたいわけないじゃない。
私は私が可愛く思っている子を育てたいだけ。自分で生きていく事ができるように。
私は自分が年寄りだという事は十分承知しています。
だからこそ、イーヴァやイリス、タッツゥ、ミクリンを自分自身で生活して行けるようにしたいの。
これ以上悪い人たちに利用されたり搾取された生活は送ってほしく無いの。
だからこのティユルの街から数キロは守られるようにしたのよ。
何が悪い事で何が良い事かは、場所や人や状況によって違うけれども。
人殺しや泥棒、意味のない暴力、騙すこと。これはどの世界でも悪い事だと思うの。
だからティユルは私の薄い膜のような壁で守られるようにしました。私が贖罪と名付けたスキルです。
この壁は結界のように悪い人を弾くような事は出来ません。
ですがこれに触れれば悪事を働いたことが有る場合にだけ腕や首筋に徴が現れるようになっています。
そしてそれは隠してもステータスに刻み込まれるようになっています。
消えていく事も有れば、一生消えない人もいるでしょうね。
それはその人の罪状によるもの。
罪が見えれば信用はしないでしょう?
どんなに悪意を隠して微笑っても、この人は罪人だとわかれば対処は出来るはずです。
怒りで頭が弾けそうになりながら、考え創りあげました。
まずティユルの街で住む人を考えました。
首に赤い環が浮かべば、その人は生涯神から許されることが無いという徴です。悪意を思い浮かべただけで、身体に電流のような衝撃が走ります。
首に黒い太い環が浮かび上がっている人は、断罪により生涯街の為だけに尽くす人生を歩ませられるの。
役人となり人々の生活の為に生きる事は出来るけれど、街の外には出られずただひたすら民の為に尽くすのです。嫌だと思おうが、身体と精神は街の安全と繁栄にのみ動くことを許されます。
役人ですから、衣食住は保証されています。しかし結婚も飲酒も身体が拒否するようになっています。
黒い細い環だけの人は冒険者の方もやっている害獣、魔獣の討伐をやって貰いましょう。荒事に慣れている方ならちょうどいいのではないかしら。
このティユルの住人で無ければ、街の外に出る事が出来るでしょう。
でも見ただけで分かる徴を持ち、ステータスに刻み込まれた罪人の文字を持つ者を誰が自分の街に入れようと思うでしょうか。
ああ、罪人ばかりの街ならそういう事もあるでしょうね。
ティユルには二度ときてほしくないですわ。
そこまで一気に言ってから、ふぅーと息をはきだしました。
でもね、私だって人様を裁けるような資格なんてないのよ。いうなれば私の我儘なのだもの。
だからこそ、自分の魔力がある限りでこの街に魔法をかけたのです。
そう、私も裁かれるように。
そこまで話すと神様は何処からかポットを取り出しお茶を入れ勧めてくれました。
ふぅ。
あら、美味しいお紅茶です事。このお茶の葉を少しだけ分けては下さらないかしら?
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