東美晴の怪奇録 第二巻 〜桜散る緑の季節に〜

箱天天音/hakoten amane

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番外 <それはいつもの日常?>

添の誕生日

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ある日の夜、もう人間達はとっくに寝ているというのに琥珀川は突然目覚める。そしてそのまま琥珀川はこの日のために用意しておいた酒を取りそのまま縁側の方へ向かう。
 どっとあぐらをかいて琥珀川は酒を飲み始める。何杯か口にして左側に話しかける。
「どうした、添。なんか用か」
 と言う。
 さわやかな風が吹きそこに出てきたのは添だった。
「どうしたじゃないですよ。琥珀川様。覚えててくれたのですね。私の誕生日」
 と添が言う。
 そう言われると琥珀川は
「ふん、そうだったかの」
 と言う。それに対して添は
「そんなこと言って、きちんと覚えてるじゃないですか。覚えてないのなら、じゃあなんで酒器が二つもあるんですか」
 と言う。
「……忘れるものか。今日はお前の誕生日なんて」
 そう琥珀川が言うと添は『お隣、失礼しますね』と言って琥珀川の隣に座る。
 そして琥珀川の隣に座るなり添が
「いやー、良かったです。結構人の誕生日とかをよく忘れる琥珀川様が私の誕生日覚えててくださるなんて」
 と言う。それに対して琥珀川は
「添と鈴と華と白蘭の誕生日は完全に記憶してる。美晴と優馬、桜狐の誕生日は覚えてないしそもそも聞いてない」
 と言う。
 それから少し添と酒を飲み交わし、程よく酔いが回ってきた頃、添がこんな事を言ってきた。
「琥珀川様~。久しぶりにあの呼び名で呼んでいいですか~。でも眠くなっちゃいましたよ~」
「添、お前は本当に酒に弱いな」
 そう琥珀川が言うと添はえへへと笑いながら琥珀川に寄りかかる。
「んー。おやすみなさーい。
 そう言って添はそのまま寝てしまった。
 『添にお父さんなんて呼ばれるのはいつぶりだろうか』そんな事を琥珀川は思っていた。添を含め鈴と華にも普段はあまり言うなと言っているが、たまにそう言われるのも良いものだと琥珀川は感じた。
 さて、と琥珀川は思い、もう寝る事にした。琥珀川は布団に入る瞬間、星を読むのを忘れたと思ったがそんなことお構いなしで寝るという結論に辿り着いた。
 その日の夜空は晴れていて星々がキラキラと輝いてとても幻想的な夜空だった。
 ――だが一つ、妙に輝いていた星があったのを琥珀川は気づいてなかった。
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