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詳しく話しを聞いてみると、概ね俺の想像した通り、屋敷の皆の態度が俺に対するそれだった。
しかも、次期侯爵夫人になる教育みたいなものも一切ないらしい。
呼べば来てくれるし、必要な時には手を貸してくれるけど、決して尊重はされなくて、馬鹿にされている感じ。
表では一緒に魔物討伐頑張って領土の皆を守るぞーオーとか言い合ってたのに、裏ではバケモノ呼ばわりとかさ、そんな感じだよな……。
確実に好かれてはいない。
無視したところで、見くびられていくだけなんだなーって。
なら、屋敷でジョーが嫌な思いをしているのは、屋敷の皆からの態度を“親近感があるってことだ”といって許すばかりで怒らなかった俺のせいだ。
もう確実に次期侯爵は兄さんだし、兄さんの妻になる侯爵夫人は別にいるんだな。
えっと、じゃあ俺の役目ってのは本当に森に出る魔物を倒すことのみ?
「ジョーは、結婚しなかったら島の国に帰るの?」
帰るなら引き留める理由はないよな……不自由な生活を強いられる侯爵家より、末端だとしても、自炊をしていたとしても、王族の一人として暮らしている方がきっと有意義な筈だ。
「いや……少し、説明が必要になる……」
あ、なんか政治的な難しい話?
学校行ってないから理解できるか分からないけど、しっかり聞かないとな……。
「詳しく説明するには、こちらの内情を詳しく話す必要がある。だから、ホーンドオウル侯爵家の者には……侯爵本人にすら伝えていない」
父さんにも話してないなにか重大なことがあんの!?
「そんなこと俺に言って良いの?」
「信じられると判断したから……これで裏切ったらレッドドラゴンに高速で突っ込ませる」
怖っ。
「嘴と合わせたら、俺の胴体に穴が開くだろうな」
特に幼体のドラゴンの嘴は鋭い上に小さいから貫通攻撃と相性が物凄く良い。
突進と突き刺しは、野生ドラゴンの基本攻撃だからな。
もう少し大きくなって爪と指が発達すれば抉り出すような引っかき攻撃、尻尾が強靭になってきたら尻尾によるブン回し打撃、羽が大きくなれば羽ばたき攻撃と、多種多様な攻撃を繰り出してくる強敵だ。
更に魔力まで持っていたりすると……。
「え、そんなに?」
「ジョーには加減してるみたいだぞ」
「え……あれで?」
穴が開く程だとは思っていないけど、それでも結構痛いんだな。
チビの奴……ジョーには危ないから突っ込んでないとか言ってなかったか?
次チビに会ったら、お前のご主人痛がってるぞーって教えといてやろう。
「話しの腰折ったな……悪い。話してくれ」
どんなに難しいことを言われても、後からちゃんと調べて理解する!
学校には行ってないけどこれでも字は読めるから、本を読んで調べてみよう。
侯爵家の書庫は広いからな、きっと答えになるような本はあるはずだ。
「第15王女は、俺ではない」
うん。
知ってますけども?
王子だよな?そもそも始めの自己紹介の時間違って王子って言ってたじゃん。
「第15王子、だよな?知ってるけど……」
「いや、俺は第15王女の弟だ」
あ、全くの別人って意味……って、え?
「馬車にはジョーとトリシュしか……まさか!」
場所を襲った盗人は、第15王女を連れ去った?
「……あの魔法使いは王女を攫い、言ったんだ。ホーンドオウル侯爵家にいる限り俺達の命の保証はする……侯爵家にいるには、妻になるのが確実だと思って……」
命の保証ってのは、王女の命のことか。それなら下手には動けなかっただろうけど、それを父さんに言わなかった理由はなんだ?
信用に値しないといっても、兄さんの妻が、未来の侯爵夫人が得体のしれない魔法使いに攫われのなら騎士総員で捜索するはずだ。
「父さんに今からでも……」
「この話しは侯爵にも言ったことだ。だけど、王女が攫われたとなれば、父は大陸からの攻撃を受けたとして攻撃を開始させるはずだ。ホーンドオウル侯爵は、無事に王女が着いたとして処理するしかなかったんだろう。大々的な捜索が行われないのも、島の国に悟られないためなのだと思う」
えぇ……。
「なら俺が動くよ。王女様の特徴は?逃げた魔法使いの声ってどんなのか覚えてる?あ、侯爵家の騎士達の声は全員聞いてみた?使用人とかも集める?」
俺は使用人からも馬鹿にされてるけど、魔物を倒す力があるから一応恐れられてもいるんだ。だからきっと徴集かけたら集まってくれると思う。
たぶんね!
「フフッ……騎士と使用人の声はトリシュが確認してくれた。王女の特徴……俺と同じダークブルーの髪と瞳で、頬にホクロが1つある」
頬のホクロが分かりやすいな。
魔力を持った魔法使いで王女を人質にしているのなら、ますます侯爵領を出るのは難しい。となれば身を隠すのに適した場所は……女性を連れて野営ってこともないだろうし、街か?それとも、商人に扮し、王女を荷物に紛れさせて侯爵領を出たか。
そうなると捜索は難しいな……。
「ジョーが今王女様の身代わりで侯爵家にいるってことは、島の王にはバレてない感じ?」
「バレていたら戦いを挑んでいると思う」
怖いな……。
でもなんでバレなんだろう?
3人送り出したのに2人になってるってことも気がつかれないもの?
王女以外の1人が負傷したと解釈されたとしても、王女はもちろんジョーもトリシュも王族じゃないか。
そんな好戦的な王なら、誰が欠けても激怒して襲いかかってきそうなものじゃない?
「俺は王女の護衛騎士の1人に扮して、島の国から逃げ出したんだ」
護衛騎士に扮して……あぁ、そのフル重装備はその時に着ていた鎧か!
じゃない!
何故にひとつ謎が解決したよーってテンションなんだよ俺は!
しかも、次期侯爵夫人になる教育みたいなものも一切ないらしい。
呼べば来てくれるし、必要な時には手を貸してくれるけど、決して尊重はされなくて、馬鹿にされている感じ。
表では一緒に魔物討伐頑張って領土の皆を守るぞーオーとか言い合ってたのに、裏ではバケモノ呼ばわりとかさ、そんな感じだよな……。
確実に好かれてはいない。
無視したところで、見くびられていくだけなんだなーって。
なら、屋敷でジョーが嫌な思いをしているのは、屋敷の皆からの態度を“親近感があるってことだ”といって許すばかりで怒らなかった俺のせいだ。
もう確実に次期侯爵は兄さんだし、兄さんの妻になる侯爵夫人は別にいるんだな。
えっと、じゃあ俺の役目ってのは本当に森に出る魔物を倒すことのみ?
「ジョーは、結婚しなかったら島の国に帰るの?」
帰るなら引き留める理由はないよな……不自由な生活を強いられる侯爵家より、末端だとしても、自炊をしていたとしても、王族の一人として暮らしている方がきっと有意義な筈だ。
「いや……少し、説明が必要になる……」
あ、なんか政治的な難しい話?
学校行ってないから理解できるか分からないけど、しっかり聞かないとな……。
「詳しく説明するには、こちらの内情を詳しく話す必要がある。だから、ホーンドオウル侯爵家の者には……侯爵本人にすら伝えていない」
父さんにも話してないなにか重大なことがあんの!?
「そんなこと俺に言って良いの?」
「信じられると判断したから……これで裏切ったらレッドドラゴンに高速で突っ込ませる」
怖っ。
「嘴と合わせたら、俺の胴体に穴が開くだろうな」
特に幼体のドラゴンの嘴は鋭い上に小さいから貫通攻撃と相性が物凄く良い。
突進と突き刺しは、野生ドラゴンの基本攻撃だからな。
もう少し大きくなって爪と指が発達すれば抉り出すような引っかき攻撃、尻尾が強靭になってきたら尻尾によるブン回し打撃、羽が大きくなれば羽ばたき攻撃と、多種多様な攻撃を繰り出してくる強敵だ。
更に魔力まで持っていたりすると……。
「え、そんなに?」
「ジョーには加減してるみたいだぞ」
「え……あれで?」
穴が開く程だとは思っていないけど、それでも結構痛いんだな。
チビの奴……ジョーには危ないから突っ込んでないとか言ってなかったか?
次チビに会ったら、お前のご主人痛がってるぞーって教えといてやろう。
「話しの腰折ったな……悪い。話してくれ」
どんなに難しいことを言われても、後からちゃんと調べて理解する!
学校には行ってないけどこれでも字は読めるから、本を読んで調べてみよう。
侯爵家の書庫は広いからな、きっと答えになるような本はあるはずだ。
「第15王女は、俺ではない」
うん。
知ってますけども?
王子だよな?そもそも始めの自己紹介の時間違って王子って言ってたじゃん。
「第15王子、だよな?知ってるけど……」
「いや、俺は第15王女の弟だ」
あ、全くの別人って意味……って、え?
「馬車にはジョーとトリシュしか……まさか!」
場所を襲った盗人は、第15王女を連れ去った?
「……あの魔法使いは王女を攫い、言ったんだ。ホーンドオウル侯爵家にいる限り俺達の命の保証はする……侯爵家にいるには、妻になるのが確実だと思って……」
命の保証ってのは、王女の命のことか。それなら下手には動けなかっただろうけど、それを父さんに言わなかった理由はなんだ?
信用に値しないといっても、兄さんの妻が、未来の侯爵夫人が得体のしれない魔法使いに攫われのなら騎士総員で捜索するはずだ。
「父さんに今からでも……」
「この話しは侯爵にも言ったことだ。だけど、王女が攫われたとなれば、父は大陸からの攻撃を受けたとして攻撃を開始させるはずだ。ホーンドオウル侯爵は、無事に王女が着いたとして処理するしかなかったんだろう。大々的な捜索が行われないのも、島の国に悟られないためなのだと思う」
えぇ……。
「なら俺が動くよ。王女様の特徴は?逃げた魔法使いの声ってどんなのか覚えてる?あ、侯爵家の騎士達の声は全員聞いてみた?使用人とかも集める?」
俺は使用人からも馬鹿にされてるけど、魔物を倒す力があるから一応恐れられてもいるんだ。だからきっと徴集かけたら集まってくれると思う。
たぶんね!
「フフッ……騎士と使用人の声はトリシュが確認してくれた。王女の特徴……俺と同じダークブルーの髪と瞳で、頬にホクロが1つある」
頬のホクロが分かりやすいな。
魔力を持った魔法使いで王女を人質にしているのなら、ますます侯爵領を出るのは難しい。となれば身を隠すのに適した場所は……女性を連れて野営ってこともないだろうし、街か?それとも、商人に扮し、王女を荷物に紛れさせて侯爵領を出たか。
そうなると捜索は難しいな……。
「ジョーが今王女様の身代わりで侯爵家にいるってことは、島の王にはバレてない感じ?」
「バレていたら戦いを挑んでいると思う」
怖いな……。
でもなんでバレなんだろう?
3人送り出したのに2人になってるってことも気がつかれないもの?
王女以外の1人が負傷したと解釈されたとしても、王女はもちろんジョーもトリシュも王族じゃないか。
そんな好戦的な王なら、誰が欠けても激怒して襲いかかってきそうなものじゃない?
「俺は王女の護衛騎士の1人に扮して、島の国から逃げ出したんだ」
護衛騎士に扮して……あぁ、そのフル重装備はその時に着ていた鎧か!
じゃない!
何故にひとつ謎が解決したよーってテンションなんだよ俺は!
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