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ビオラの砂糖漬けを仕込み、乾かすため姫様の部屋にお邪魔することになった。
庭とか食堂とか、それらしい場所は沢山あるんだけど、行く先々でやんわりと断られてしまったため、だったらもう自室にしようって姫様の提案。
ザルの上に等間隔に並べ、そのザルを窓際に置けば、外はスッカリと夕方景色。
しかしだ、クッキー作りの許可が下りないとは思わなかったな……余った黄身が勿体ないってゴネてみたら、父さんの夕飯に出すって言うから、名分がなくなってしまった。
ん……。
姫様の作ったクッキーが食べてみたかったというのは、夕飯の支度時にキッチンに居座る名分になるだろうか?
姫様の部屋にオーブンを設置してしまうのはどうだろう?
それだと調理台とか、換気する設備も必要か……作業台と調理器具一式。
そこまでするなら、郊外に小さめの家を買った方が安上がりだろうか?
「姫様って料理好きだったりする?」
もし家を買ったとしても、1回しかクッキーを作らないとか料理はそんなに好きではなかったらキッチン自体必要がないから。家を買った所ですぐに売りに出すことになってしまう。
「料理ですか?島にいた時は一応自炊してましたけど、好きとまでは……」
好きではないのか。
ん?
……自炊?
「島の王族って自炊してるの?食事は当番制とか?料理人はいなかったのか?」
大陸の令嬢様達なんて趣味程度でお菓子作る位しかしないって話しを聞いたことあるけど、島では自分で食べる物は自分で用意するのか。
「何分王族の人数が多いので、末端である私やトリシュの扱いは、ちょっと……」
おっと、なにかと色々重たい話題だったようだ。
って、え?
「トリシュも王族だったのか。あ、だったのですかー……でもなくて姫様」
ちょっと待った。
姫様達が来た初日、トリシュは完全に姫様の護衛騎士って感じだったから、父さんってばかなり失礼な物言いをしたことにならないか?
トリシュが島の王族なら、俺達より身分は上だ。
「島の王族が青色を引き継ぐという話しは?」
え、なにそれ。
青色を引き継ぐって、もしかして姫様の青い髪と瞳のこと?
「話しは知らないけど、姫様の髪と瞳の色……だよな?」
ダークブルーって言うのかな?
濃い青はかなり綺麗なんだよなぁ。
まさかこの色が王族特有の色だったとは。
「島では青色が神聖なのです。そのため、青を持つ王族も神聖な存在とされています」
あ、うん。
急に歴史の話しだな?
「青を持たない王族は、だいたい騎士になりますので、これまで通りで良いですよ」
一瞬にして歴史の授業が終わったわ。
だけどひとつ気になることがある。
「姫様は髪も瞳も青だろ?なんで末端なんだ?」
髪と瞳が青なら神聖な存在なんだよな?末端扱いは可笑しくないか?
「……私の青は、色が暗いので……」
青とひとことでいっても、青色の種類は細分化されているらしい。
ただ、今の言い方で分かったのは島で重宝されている色は明るめの青なんだなーって。
「ふぅん……子供が皆青を持ってなかったら、島の王族は滅亡でもすんの?」
「支持率は下がるのでしょうけど……どうなのでしょうね?青を持たない人物が王になったことも、王太子に選ばれたこともありませんから」
そっか、それで姫様のきょうだいが多いのか!
つまりは、完璧な人物が産まれるまで子を作り続けると。
なんか大変だなぁ……ホーンドオウル侯爵家の後継者も、魔力が高い者って決まりはあるし、似た感じかな?
兄さんが帰って来なかったら、父さんどうするんだろうか?
俺は魔力の才能がほとんどないに等しいから、魔力に優れた者を養子に取るってのが1番ありえそうな未来か。
まぁ、俺は森に住む魔物が森から出ないように見張る仕事を続ければ良いだけだ。
魔力が必要なホーンドオウル侯爵家に生まれておきながら魔力の才能がない俺と、王族の青を持たなきゃならないのに青の色味が違うってだけで末端扱いの姫様と、青を持っていないからと騎士になったトリシュ。
兄さんが戻ってきたら結婚するんだろうけど、帰って来なかったら姫様達は、もしかしたら島に戻される可能性がある。
末端扱いで自炊してる生活は、この屋敷で過ごすのと、どちらが不便だろう?
俺が不便じゃないようにすればよいだけでは?
どうやって?
結婚がなくなったら、島に強制送還なのかな?
それとも、大陸で生活する選択肢は与えられるのかな?
生活に必要なのは衣食住だから、その全てを用意できれば……姫様はこんな政略結婚とか無視して暮らせる?
兄さんのことのが好きで結婚したいのだとしても帰ってこないと駄目だし、俺のタイミングに合わせて結婚式を挙げて良いってことだから、兄さんが帰ってくるまでの時間かせぎはできる。
だけどそれは父さんが言った言葉であって、島の王の言葉ではない。
島の王が結婚を本格的に急かしてきたら、侯爵って立場の父さんには、どうしようもなくなるんだろう。
そうなる前に衣食住だ。
そうだ、兄さんが帰って来なかったら姫様を侯爵家から出して、兄さんと暮らしてるんだぜって感じに偽装できるんじゃないか?
そうなるとトリシュの強さがどれ程なのかも知っておきたい。
物凄く強いなら、人間が住むにはちょっと危険だけど土地が余ってて安い、森に近い部分で家を買えば良い。
ちょっと弱かったら……。
弱かったら鍛えれば良いのか。
庭とか食堂とか、それらしい場所は沢山あるんだけど、行く先々でやんわりと断られてしまったため、だったらもう自室にしようって姫様の提案。
ザルの上に等間隔に並べ、そのザルを窓際に置けば、外はスッカリと夕方景色。
しかしだ、クッキー作りの許可が下りないとは思わなかったな……余った黄身が勿体ないってゴネてみたら、父さんの夕飯に出すって言うから、名分がなくなってしまった。
ん……。
姫様の作ったクッキーが食べてみたかったというのは、夕飯の支度時にキッチンに居座る名分になるだろうか?
姫様の部屋にオーブンを設置してしまうのはどうだろう?
それだと調理台とか、換気する設備も必要か……作業台と調理器具一式。
そこまでするなら、郊外に小さめの家を買った方が安上がりだろうか?
「姫様って料理好きだったりする?」
もし家を買ったとしても、1回しかクッキーを作らないとか料理はそんなに好きではなかったらキッチン自体必要がないから。家を買った所ですぐに売りに出すことになってしまう。
「料理ですか?島にいた時は一応自炊してましたけど、好きとまでは……」
好きではないのか。
ん?
……自炊?
「島の王族って自炊してるの?食事は当番制とか?料理人はいなかったのか?」
大陸の令嬢様達なんて趣味程度でお菓子作る位しかしないって話しを聞いたことあるけど、島では自分で食べる物は自分で用意するのか。
「何分王族の人数が多いので、末端である私やトリシュの扱いは、ちょっと……」
おっと、なにかと色々重たい話題だったようだ。
って、え?
「トリシュも王族だったのか。あ、だったのですかー……でもなくて姫様」
ちょっと待った。
姫様達が来た初日、トリシュは完全に姫様の護衛騎士って感じだったから、父さんってばかなり失礼な物言いをしたことにならないか?
トリシュが島の王族なら、俺達より身分は上だ。
「島の王族が青色を引き継ぐという話しは?」
え、なにそれ。
青色を引き継ぐって、もしかして姫様の青い髪と瞳のこと?
「話しは知らないけど、姫様の髪と瞳の色……だよな?」
ダークブルーって言うのかな?
濃い青はかなり綺麗なんだよなぁ。
まさかこの色が王族特有の色だったとは。
「島では青色が神聖なのです。そのため、青を持つ王族も神聖な存在とされています」
あ、うん。
急に歴史の話しだな?
「青を持たない王族は、だいたい騎士になりますので、これまで通りで良いですよ」
一瞬にして歴史の授業が終わったわ。
だけどひとつ気になることがある。
「姫様は髪も瞳も青だろ?なんで末端なんだ?」
髪と瞳が青なら神聖な存在なんだよな?末端扱いは可笑しくないか?
「……私の青は、色が暗いので……」
青とひとことでいっても、青色の種類は細分化されているらしい。
ただ、今の言い方で分かったのは島で重宝されている色は明るめの青なんだなーって。
「ふぅん……子供が皆青を持ってなかったら、島の王族は滅亡でもすんの?」
「支持率は下がるのでしょうけど……どうなのでしょうね?青を持たない人物が王になったことも、王太子に選ばれたこともありませんから」
そっか、それで姫様のきょうだいが多いのか!
つまりは、完璧な人物が産まれるまで子を作り続けると。
なんか大変だなぁ……ホーンドオウル侯爵家の後継者も、魔力が高い者って決まりはあるし、似た感じかな?
兄さんが帰って来なかったら、父さんどうするんだろうか?
俺は魔力の才能がほとんどないに等しいから、魔力に優れた者を養子に取るってのが1番ありえそうな未来か。
まぁ、俺は森に住む魔物が森から出ないように見張る仕事を続ければ良いだけだ。
魔力が必要なホーンドオウル侯爵家に生まれておきながら魔力の才能がない俺と、王族の青を持たなきゃならないのに青の色味が違うってだけで末端扱いの姫様と、青を持っていないからと騎士になったトリシュ。
兄さんが戻ってきたら結婚するんだろうけど、帰って来なかったら姫様達は、もしかしたら島に戻される可能性がある。
末端扱いで自炊してる生活は、この屋敷で過ごすのと、どちらが不便だろう?
俺が不便じゃないようにすればよいだけでは?
どうやって?
結婚がなくなったら、島に強制送還なのかな?
それとも、大陸で生活する選択肢は与えられるのかな?
生活に必要なのは衣食住だから、その全てを用意できれば……姫様はこんな政略結婚とか無視して暮らせる?
兄さんのことのが好きで結婚したいのだとしても帰ってこないと駄目だし、俺のタイミングに合わせて結婚式を挙げて良いってことだから、兄さんが帰ってくるまでの時間かせぎはできる。
だけどそれは父さんが言った言葉であって、島の王の言葉ではない。
島の王が結婚を本格的に急かしてきたら、侯爵って立場の父さんには、どうしようもなくなるんだろう。
そうなる前に衣食住だ。
そうだ、兄さんが帰って来なかったら姫様を侯爵家から出して、兄さんと暮らしてるんだぜって感じに偽装できるんじゃないか?
そうなるとトリシュの強さがどれ程なのかも知っておきたい。
物凄く強いなら、人間が住むにはちょっと危険だけど土地が余ってて安い、森に近い部分で家を買えば良い。
ちょっと弱かったら……。
弱かったら鍛えれば良いのか。
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