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未来の分かれ道

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 牢屋に幽閉されるものかと思ったが、ギル王子の部屋。しかも侍女付きだし……。見張りだとは思うけど、一人だけなのだから油断しているんだろうか。それとも、捕らえた相手が王子だからなのと…わたしが皇女だと気付かれているんだろうか。
 ちらりと侍女を見れば、見たことのある顔があって……。

「ルナ!?」
「へへ、ようやく気付いたか」

 前に会ったときよりもちょっぴり身長が伸びたルナが侍女の格好をして、にっと悪戯な笑みを浮かべていた。
 違和感が無くて気付くのが遅れてしまった。そういえば、兵士に誘導していたのはこの侍女で……ルナが部屋に連れていくようにしてくれていたみたいだ。

「ルナ、手配は」
「全部終わってるぜ。帝国にもちゃーんと」

 帝国?
 二人は、こうなることを予想していたんだろうか。計画していたことだというの?

「リア、心細い思いをさせてしまうかもしれないけど……僕か、君が捕らえられた時、帝国に手紙が行くようになってる。…三日後、兵が来る」

 帝国からの兵…それは、戦争が起こると言うことだ。
 わたしがエドワードやアリアに喧嘩を売るような真似をしてしまえば戦争が起こってしまうかもしれない、とは理解していた。だが、本当に戦争が起これば無関係な人も死んでしまう。そんなことは…起きてほしくない。
 暗い顔を浮かべてしまっていたのだろう。ギル王子はそっとわたしの頬に触れると

「黙っていてすまない。……皇帝陛下とは、婚約が決まる前から話していたんだ」

 …なるほど。お父様が婚約を許したのはそういうことか。戦争をすれば、王国を手に入れることができる。何事もなくわたしとギル王子が結婚しても介入することが出来るのだからどっちに転んでも良い思いをするというわけか。

「この国の兵士の半分、それから貴族のほとんども僕の味方だ。君のことは…守るから安心してほしい」
「俺も剣の腕はそこそこあるからな!俺が側にいりゃー傷ひとつ付けさせねーよ!」

 ……知らなかったのはわたしだけだったのか。いつかやり返してやろうと思うだけで、のんきに過ごしていたのか。

「この国を、変える時が来たんだ」
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