とある奇談蒐集家の手稿

赤村雨享

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第八十七話 合わない数

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 この世には数え直すと数が変わる不思議なものがある。 


 一度目は五十だが二度目は四十九といった様に、一定の数に固定されないのだ。


 それは地蔵だったり階段だったりベンチの数だったりと様々で、そんなものが全国各地に存在する。



 中国地方のある寺には数が変わる灯籠があるという。


 寺の境内にある石灯籠は凡そ三十。凡そと言うのは数が確かではない為である。


 何度数えても灯籠の数が一つ増減するという。



 とある霊能者気取りの男が札を貼った枚数で確認すると話題になったが、札は一斉に燃え上がった。


 寺の住職の話では江戸の頃にそれが始まったと伝わっているが、原因は解らないそうだ。


 そんな寺の僧侶達……幾つかの怪異を目の当たりにしている。

 夜中に滑るように動く灯籠、灯籠になりかけている幽霊、時には灯籠同士がぶつかるのを見たという話もある。


 住職は語る。放っておけば悪さはしないから大丈夫だと……。


 そんな不思議な灯籠のある寺……最近では何故か子供達に人気のスポットになっているそうだ……。


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