とある奇談蒐集家の手稿

赤村雨享

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第七十一話 ドッペルゲンガー?

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 その日は大雪で休校になった。


 無理をして学校まで行っていた為連絡役を任された少年は、急いでクラスメイトに連絡をすることに……。



 だが、連絡した相手には既に少年から連絡が入ったと言われた。


 そんな筈は無いと否定し連絡を続けたが、皆少年から連絡を受けたという。親御さんも同様に答えた以上、悪巫山戯の可能性も低い。


 そこで、連絡網の最後から電話して行くとまだ連絡が無い様だった。


 その後数人に連絡し、次にかけた相手との通話の最中……それは起こった。

「今日、休校になったんだけど……」
「あ、悪い。キャッチ入った」
「…………」

 待つことしばし……再び電話に出た生徒は、少し楽しげだった。

「おい。どんな悪戯だよ?」
「え?何が?」
「いや、今掛かってきた電話……お前の声で『今日休校だから』って……スマホでも使ったのか?」
「いや……俺じゃないよ?」
「嘘つくなよ、手の込んだ真似しやがって……」


 結局信じては貰えず、次の日には二度電話を掛けた男とからかわれることになった……。
 勿論、一度しか電話していないのは職員室の教師達も確認している。

 着信履歴を確認した友人の話では、学校からの通話記録しか残されていなかったそうだ……。


 一体何が起こったのかは、当然謎のままである……。 



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