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第四十四話 蒐集家
しおりを挟むある蒐集家がオークションで一体のビスクドールを落札した。
アンティークのビスクドールは非常に高値なのだが、思ったよりも安く購入出来たことに蒐集家は満足していた。
蒐集家の寝室は埋め尽くさんばかりの人形。その中に加わったビスクドールは大切にショーケースに収納されることとなった。
ある夜……蒐集家は不可解な音で目を覚ます。カタカタ、カリカリとする音はショーケースの中から響いていた。
人形には魂が宿る……蒐集家はそんな言葉を思い出しビスクドールを取り出すと添い寝をすることに……。
そんな日が数日続いたある夜、蒐集家はまたも不可解な音で目を覚ます。
起きてみるとショーケースのビスクドール全てがガラスを叩いていた……。
しかし、蒐集家は動じない。全てのビスクドールをショーケースから出すと全て並べて共に眠ることにしたのだ。
その後友人が訪ねた際、蒐集家は少し窶れていたという。心配した友人は蒐集家を連れて寺でお祓いを受けることに……。
そして蒐集家の自宅に戻ると……家は炎に包まれていた。
火元はベッド。蒐集家はタバコなどは吸わないことに加え、その部屋には電化製品も置いていない。漏電であるならばベッドが燃えることはない筈……。
後に明らかになったことだが、最後に購入したビスクドールは十八世紀の何らかの事件に関わりがあるという『曰く付き』という代物らしい。
オークションの売り主は毎夜動く人形が怖くて売り払ったと罪悪感に負け連絡をしてきたが、事情を話すと平謝りしていたそうだ。
そして蒐集家は……最近、再び人形蒐集を始めたらしい。
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