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第二十一話 電線
しおりを挟む昭和も終わろうという時代──。
夕暮れを家路に急いでいた少年は目の端に違和感を捉える。
それは赤い夕陽が逆光になり射し込む中、電線に止まる大型の鳥の影……。
そのあまりの大きさに何の鳥かと想像していると、鳥は突然逆さ吊りになり大きな羽根をダラリと下げた。
驚いた少年は速足になったが、どうしても気になり視線を向けてしまう。
再度見た鳥の影は、ぶら下がったまま足を伸ばしまるで逆さ吊りの人間の様な形になっていた。
怖くなった少年は脇目も振らず家の方向に走り出す。
遥か遠くまで離れ再び影のあった位置に視線を向けると、少年の直ぐ耳元で鳥の羽ばたく音と甲高い笑い声が聴こえた。
それからはもう必死に走り続け、何とか家に辿り着いた少年。
しかし、その日から数日……少年は高熱を出し寝込むことになった。
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