ツクヨミ様の人間見習い

大和撫子

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第七話

マジですかぁ? 時には、人ではないクライアントも??? 【三】

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 さて、と。いよいよ、様と遭遇……か。急遽14時に予約が入ったから、この後の予約は受け付けないように、と指示を受けたのは確か三日くらい前だったな。変だと思ったんだよ。だってお茶菓子をお出しするのに好き嫌いやアレルギーの有無の事前確認もしなくて良いとか、日比谷もその時は人型に変化へんげする、とか言っていたし……

「どうした? 大丈夫か? 妃翠」

 粋蓮が気遣わし気に声をかけてくれた。こういうところは、なんだかんだ言って神様なんだろうな、と思う。

「いえ、あの……」

 なんだかんだいいながら、あたしも本音で話せるし。

「視えないし聞こえないし感じないのに、私がこの場に居ても大丈夫なのかな、て思って」
「あぁ、その事か。すまんな、説明不足だったな。やはり人間というのは難しい生き物だ。今回のクライアントは、付喪神の一人からの依頼でな。低次元と言っても、本来は害のないモノの筈なのだ。ちょっと訳ありのようでな。今後、のモノも対応していくと思うから、そなたにも第六感シックスセンスを鍛えて貰おうと思ってな」

 え? 第六感シックスセンスってつまり霊感? というか付喪神って何なのよ?

「そうそう、お前は霊感はないかもしれないけど、直感はかなり鋭いと思うからさ。極端に怖がっているから感覚が閉じているだけだと思うしな」

 何でもない事のように会話を交わす粋蓮と日比谷。いま待て待て、この話題の当事者はあたしなんだってば!

「そう、それなのだ。今後の為にも霊感を身に着けて貰った方が良い。ちょうど良い切っ掛けだと思うのだ」
「え? あの、でも今まで修行しても身に着かなかった訳で……」
「そりゃぁ所詮人間の修行じゃーなー」
「いや私も人間なんですってば!」
「心配するな、妃翠。必ず守るから」
「そうだぞ、スイッチ。大船に乗ったつもりでな」
「そうじゃなくて……一言も霊感を身に着けたいなんて言ってないですし……て、聞いてます? 二人とも?」
「付喪神に寄れば、今ならまだ間に合うから助けてやって欲しい、との事だった」
「おう! もう事前に依頼料も貰ってるしな」

 彼らが優しい? うん、前言撤回! 神サマレベルの超感覚で凡人のあたしを判断しないで欲しいわ!
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