29 / 51
第七話
マジですかぁ? 時には、人ではないクライアントも??? 【三】
しおりを挟む
さて、と。いよいよ、あちらの世界のクライアント様と遭遇……か。急遽14時に予約が入ったから、この後の予約は受け付けないように、と指示を受けたのは確か三日くらい前だったな。変だと思ったんだよ。だってお茶菓子をお出しするのに好き嫌いやアレルギーの有無の事前確認もしなくて良いとか、日比谷もその時は人型に変化する、とか言っていたし……
「どうした? 大丈夫か? 妃翠」
粋蓮が気遣わし気に声をかけてくれた。こういうところは、なんだかんだ言って神様なんだろうな、と思う。
「いえ、あの……」
なんだかんだいいながら、あたしも本音で話せるし。
「視えないし聞こえないし感じないのに、私がこの場に居ても大丈夫なのかな、て思って」
「あぁ、その事か。すまんな、説明不足だったな。やはり人間というのは難しい生き物だ。今回のクライアントは、付喪神の一人からの依頼でな。低次元と言っても、本来は害のないモノの筈なのだ。ちょっと訳ありのようでな。今後、あちらの世界のモノも対応していくと思うから、そなたにも第六感を鍛えて貰おうと思ってな」
え? 第六感ってつまり霊感? というか付喪神って何なのよ?
「そうそう、お前は霊感はないかもしれないけど、直感はかなり鋭いと思うからさ。極端に怖がっているから感覚が閉じているだけだと思うしな」
何でもない事のように会話を交わす粋蓮と日比谷。いま待て待て、この話題の当事者はあたしなんだってば!
「そう、それなのだ。今後の為にも霊感を身に着けて貰った方が良い。ちょうど良い切っ掛けだと思うのだ」
「え? あの、でも今まで修行しても身に着かなかった訳で……」
「そりゃぁ所詮人間の修行じゃーなー」
「いや私も人間なんですってば!」
「心配するな、妃翠。必ず守るから」
「そうだぞ、スイッチ。大船に乗ったつもりでな」
「そうじゃなくて……一言も霊感を身に着けたいなんて言ってないですし……て、聞いてます? 二人とも?」
「付喪神に寄れば、今ならまだ間に合うから助けてやって欲しい、との事だった」
「おう! もう事前に依頼料も貰ってるしな」
彼らが優しい? うん、前言撤回! 神サマレベルの超感覚で凡人のあたしを判断しないで欲しいわ!
「どうした? 大丈夫か? 妃翠」
粋蓮が気遣わし気に声をかけてくれた。こういうところは、なんだかんだ言って神様なんだろうな、と思う。
「いえ、あの……」
なんだかんだいいながら、あたしも本音で話せるし。
「視えないし聞こえないし感じないのに、私がこの場に居ても大丈夫なのかな、て思って」
「あぁ、その事か。すまんな、説明不足だったな。やはり人間というのは難しい生き物だ。今回のクライアントは、付喪神の一人からの依頼でな。低次元と言っても、本来は害のないモノの筈なのだ。ちょっと訳ありのようでな。今後、あちらの世界のモノも対応していくと思うから、そなたにも第六感を鍛えて貰おうと思ってな」
え? 第六感ってつまり霊感? というか付喪神って何なのよ?
「そうそう、お前は霊感はないかもしれないけど、直感はかなり鋭いと思うからさ。極端に怖がっているから感覚が閉じているだけだと思うしな」
何でもない事のように会話を交わす粋蓮と日比谷。いま待て待て、この話題の当事者はあたしなんだってば!
「そう、それなのだ。今後の為にも霊感を身に着けて貰った方が良い。ちょうど良い切っ掛けだと思うのだ」
「え? あの、でも今まで修行しても身に着かなかった訳で……」
「そりゃぁ所詮人間の修行じゃーなー」
「いや私も人間なんですってば!」
「心配するな、妃翠。必ず守るから」
「そうだぞ、スイッチ。大船に乗ったつもりでな」
「そうじゃなくて……一言も霊感を身に着けたいなんて言ってないですし……て、聞いてます? 二人とも?」
「付喪神に寄れば、今ならまだ間に合うから助けてやって欲しい、との事だった」
「おう! もう事前に依頼料も貰ってるしな」
彼らが優しい? うん、前言撤回! 神サマレベルの超感覚で凡人のあたしを判断しないで欲しいわ!
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
あやかし婚活姫と霊感従者の恋結び
ちづ
キャラ文芸
あやかしと駆け落ちしたいお姫様と、そんなお姫様に片想いしている従者との平安風ホラーラブコメ。
短編ですのでもしよろしければ。
内大臣家の末娘の結姫は、父親に望まない輿入れを迫られていた。嫌気が差したある日、幼馴染の従者に、幽世で駆け落ちしてくれるあやかしを探してきて欲しいと頼み込む。けれど、従者はずっとそんな姫君に片想いをしていて──
平安和風ファンタジー主従ものです。

まさかwebで ミステリー大賞に リベンジする日が来るなんて!
のーまじん
キャラ文芸
私の友人克也は謎の人物である。
彼の素性はよく分からないし、知ろうともしてなかった。
それはバーのカウンターの知り合いのごとく、フリマでなんと無く出会ったその場限りの知人関係であり、彼はなんか、世界のディープな秘密を田舎の図書館で暴こうとする謎の男だからだ。
WEBでの小説活動の限界を感じた私は、せめて彼の研究をあの人気オカルト雑誌『みぃムー」の読者の研究に投稿出来ないかとこっそり活動を始めるのだった。
冥王の迷宮
もうすぐ、2025年、止めていた作品を再開しようとかんがえる。
けれど、20世紀に密かに再造されたUFOがオカルトの秘密結社のものだと知って気持ちが冷めてしまう。
なんとか気持ちを上げようと、克也を地元の図書館で待っていた私の元に現れたのはオカルト克也ではなく山臥だった。
山臥の助言を元に、天動説とガリレオを探していた私は、天王星の発見から始まる物語に驚愕するのである。
この話はフィクションです。
コンフィズリィを削って a carillonist
梅室しば
キャラ文芸
【フキの花のオルゴールは、たった一つの抑止力だった。】
潟杜大学に通う学生・甘粕寛奈は、二年生に進級したばかりのある日、幼馴染から相談を持ちかけられる。大切なオルゴールの蓋が開かなくなってしまい、音色が聴けなくて困っているのだという。オルゴールを直すのを手伝ってくれるのなら、とびきりのお礼を用意しているのよ、と黒いセーラー服を着た幼馴染はたおやかに微笑んだ。「寛奈ちゃん、熊野史岐って人の事が好きなんでしょう? 一日一緒にいられるようにしてあげる」
※本作はホームページ及び「pixiv」「カクヨム」「小説家になろう」「エブリスタ」にも掲載しています。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
光のもとで1
葉野りるは
青春
一年間の療養期間を経て、新たに高校へ通いだした翠葉。
小さいころから学校を休みがちだった翠葉は人と話すことが苦手。
自分の身体にコンプレックスを抱え、人に迷惑をかけることを恐れ、人の中に踏み込んでいくことができない。
そんな翠葉が、一歩一歩ゆっくりと歩きだす。
初めて心から信頼できる友達に出逢い、初めての恋をする――
(全15章の長編小説(挿絵あり)。恋愛風味は第三章から出てきます)
10万文字を1冊として、文庫本40冊ほどの長さです。
鬼の国の贄姫は死者を弔い紅をさす
フドワーリ 野土香
キャラ文芸
額に千日紅の形をした赤い痣を持って生まれた緋花。それは鬼の帝からの愛を誓う印だった……?
常世国〈とこよのくに〉。この国には人より遥かに長く生きる鬼が住むと言われていた。
緋花の父は生まれる前に死に、病弱だった母も緋花を産み落とすとその後すぐ亡くなってしまう。村には15年に一度鬼への生贄を捧げる決まりがあり、村人たちは天涯孤独な緋花を生贄にすると決定する。ただし、生贄として差し出すのは15歳と定められていたため、それまでは村で手厚く緋花を育てていた。
緋花は生贄として捧げられることを理解しつつ、村で亡くなった人たちの身体を綺麗にしたり死化粧を施したりしていた。
生贄として捧げられる日、緋花は額の痣を化粧で隠し鬼の国へ向かう。しかし、鬼は人を喰らわず、生贄とは鬼の帝が住む後宮で働かされることを意味していた。
生贄として後宮入りした緋花は、幸か不幸か正妃である黒蝶の化粧係兼身の回りの雑務を言い渡される。だがあることがきっかけで緋花は高価な紅を盗んだ罪を着せられ、帝の紅玉に死罪を求められる。そして、額にある千日紅の痣が姿を現してーー。
生贄として捧げられた少女が、愛と友情に巡り合う物語。そして、鬼と人との間に隠された秘密を紐解いていく。
迦国あやかし後宮譚
シアノ
キャラ文芸
旧題 「茉莉花の蕾は後宮で花開く 〜妃に選ばれた理由なんて私が一番知りたい〜 」
第13回恋愛大賞編集部賞受賞作
タイトルを変更し、「迦国あやかし後宮譚」として5巻まで刊行。大団円で完結となりました。
コミカライズもアルファノルンコミックスより全3巻発売中です!
妾腹の生まれのため義母から疎まれ、厳しい生活を強いられている莉珠。なんとかこの状況から抜け出したいと考えた彼女は、後宮の宮女になろうと決意をし、家を出る。だが宮女試験の場で、謎の美丈夫から「見つけた」と詰め寄られたかと思ったら、そのまま宮女を飛び越して、皇帝の妃に選ばれてしまった! わけもわからぬままに煌びやかな後宮で暮らすことになった莉珠。しかも後宮には妖たちが驚くほどたくさんいて……!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる