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第二十二話
恵茉、ベリアルに質問す!・その一
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「占いって、不可能を可能にする魔法みたいなものだと思って、それを期待した他力本願な人が利用しにくるパターンが多いのかぁ。悪魔達の恰好の餌食よねぇ」
恵茉はため息をつきながら、向かい側に座っているベリアルに感想を述べる。
「やる事しっかりやってるヤツは、そもそも占いをしようとも思わないかまず他力本願棚ボタ期待な気持ちで占いには来ないから、鑑定結果も違ったものになるしな。さっきの戸部直子は、やる事しっかりやらないで、占いに魔法を期待してやってくる典型例さ。ま、高確率で俺達と契約成立させられるタイプだがな」
とベリアルは答えた。
「占いって、シンプルにそのままの結果を示すのねぇ。魔法を求めて来た人は、そんな事分かってます!て逆切れしそうね」
「分かってないから、それが占いの結果に出てるんだがな」
とベリアルは笑った。恵茉は今、べリアルに連れられて『魔界山麓の自然食レストラン』に来ている。仕事が予定より早く終わったのと、占いの勉強について話があるとかでベリアルに誘われたのだった。ベリアルに抱えられて瞬間移動したその先は、ドラマでよく見る地下のバーのような雰囲気で、さほど人間界と何かが変わった雰囲気は無い。ただ、スタッフや客の頭に一本角やら二本角やら生えていたり、背中に黒っぽい羽があったり、動物や昆虫が擬人化したような姿のものが沢山いるくらいだ。
素材から調味料まで拘った自然食のレストランで、ベリアルお勧めの場所らしい。席につくと、まずはドリンクバーを頼んだ。特に好き嫌いのない恵茉は、ベリアルが勧めるままに注文した。勿論ドリンクも、素材に拘ったもので30種類程用意されていた。品名も人間界のものとほとんど変わらない。
『お待たせ致しました。ラム肉のソテーと、有機野菜の具沢山スープ、十五穀米ご飯でございます』
そう言って注文したものを運んで来たスタッフは、猫耳に猫の尻尾が生えた可愛らしい女性だった。バニ―ガールのトラ猫バージョンのようなユニフォームを着ている。
「ここって、安心安全を謳ってるけど、実際のところどうなの? 人間界ではよく、食品関係の裏側の惨状……とか聞くけど」
スタッフが去った後、恵茉は声を潜めて聞いてみる。
「あぁ、その心配無いな。この魔界山麓グループは、元々魔王が創設したから、管理は魔王直々に行っているからな」
「へぇ!それは安心ね。だけど働くスタッフは胃が痛くなりそう」
「そうでもないぜ。福利厚生、休憩・休日他福利厚生バッチリだしな」
「へぇ? 人間界も見習えばいいのに。特に日本」
恵茉はそう言って笑うと、
「頂きまーす!」
と手の平同士を合わせて軽く頭を下げ、ナイフとフォークを手に取った。そしてラム肉を切り始める。
「うわっ! 柔らかーい!」
そして肉を頬張ると
「美味しーい!!」
とご満悦の様子だ。ベリアルはそんな恵茉を、優しい眼差しで見つめると、野菜スープとスプーンを手に取り、具を食べ始めた。しばらく、他愛ない話を楽しむ。食事も終わりに近づく頃、
「水分以外、必要無い、て話だけど……こうして食べ物を目の前にすると食欲が湧いてくるから不思議ね」
「まぁ、必要はないけれども摂取しても良い訳だしな。食べ物を食べよう、と意思が働くと、体もそれに反応するのさ。…ところで、質問て何だ? ブログでいくつか質問が来て居るそうじゃないか」
とベリアル切り出した。恵茉は、そうそう、とバッグからノートを取り出し、ページを捲る。
「そうなの。見習い魔女スモールリリスでブログ書いてるんだけどね。主に、その日の活動とかを、そのまま書く訳にいかないからフィクションに加工してるんだけど。結構質問してくれる人出て来ててね。……比較的答え易そうなものからいくね」
「まずは浮妖さんから。
A『悪魔さんもショッピング楽しみますか?』
B『趣味や嗜好品は?』
C『アミ―は久々に魂を食らうそうですが、久々に食べてお腹壊しませんか?』
だって」
「よし、一つ一つ答えよう。
A、魔界にもショッピングモールはあって。デパートやらコンビニやらスーパーやら。ほとんど人間と変わらない。ただ、売ってるものが魔術めいたものが多いだけで。例えば、イメージしただけで魚が焼けるグッズ、とかな。だから、オフの日にショッピングを楽しむ事は大いにあるさ。
B、それはその魔族それぞれにより異なるな。例えば、契約成立してその魔族のものになった人間の、目玉を集めて楽しむ奴とか。或いは靴下を集めて匂いを嗅ぐのが趣味、とか。因みに俺の趣味は温泉巡りだ。勿論魔界のな。
それと、天然石コレクターでもある。嗜好品も、それぞれだ。人間の生き血を好む奴、肉が好きな奴、甘いものが好きな奴。俺は魔界山麓のビールと赤ワインそれに枝豆に目が無い。
C、まぁ、俺達にとって人間の魂は、言わば大トロや取れたてバフンウニみたいなもんだ。だから毎日食らえば即メタボだ。その為、たまにありつく訳なんだが、腹を壊す事はほとんど無いな。その魂との相性が、あまりに悪かった別だが」
恵茉は逐一メモを取っている。
恵茉はため息をつきながら、向かい側に座っているベリアルに感想を述べる。
「やる事しっかりやってるヤツは、そもそも占いをしようとも思わないかまず他力本願棚ボタ期待な気持ちで占いには来ないから、鑑定結果も違ったものになるしな。さっきの戸部直子は、やる事しっかりやらないで、占いに魔法を期待してやってくる典型例さ。ま、高確率で俺達と契約成立させられるタイプだがな」
とベリアルは答えた。
「占いって、シンプルにそのままの結果を示すのねぇ。魔法を求めて来た人は、そんな事分かってます!て逆切れしそうね」
「分かってないから、それが占いの結果に出てるんだがな」
とベリアルは笑った。恵茉は今、べリアルに連れられて『魔界山麓の自然食レストラン』に来ている。仕事が予定より早く終わったのと、占いの勉強について話があるとかでベリアルに誘われたのだった。ベリアルに抱えられて瞬間移動したその先は、ドラマでよく見る地下のバーのような雰囲気で、さほど人間界と何かが変わった雰囲気は無い。ただ、スタッフや客の頭に一本角やら二本角やら生えていたり、背中に黒っぽい羽があったり、動物や昆虫が擬人化したような姿のものが沢山いるくらいだ。
素材から調味料まで拘った自然食のレストランで、ベリアルお勧めの場所らしい。席につくと、まずはドリンクバーを頼んだ。特に好き嫌いのない恵茉は、ベリアルが勧めるままに注文した。勿論ドリンクも、素材に拘ったもので30種類程用意されていた。品名も人間界のものとほとんど変わらない。
『お待たせ致しました。ラム肉のソテーと、有機野菜の具沢山スープ、十五穀米ご飯でございます』
そう言って注文したものを運んで来たスタッフは、猫耳に猫の尻尾が生えた可愛らしい女性だった。バニ―ガールのトラ猫バージョンのようなユニフォームを着ている。
「ここって、安心安全を謳ってるけど、実際のところどうなの? 人間界ではよく、食品関係の裏側の惨状……とか聞くけど」
スタッフが去った後、恵茉は声を潜めて聞いてみる。
「あぁ、その心配無いな。この魔界山麓グループは、元々魔王が創設したから、管理は魔王直々に行っているからな」
「へぇ!それは安心ね。だけど働くスタッフは胃が痛くなりそう」
「そうでもないぜ。福利厚生、休憩・休日他福利厚生バッチリだしな」
「へぇ? 人間界も見習えばいいのに。特に日本」
恵茉はそう言って笑うと、
「頂きまーす!」
と手の平同士を合わせて軽く頭を下げ、ナイフとフォークを手に取った。そしてラム肉を切り始める。
「うわっ! 柔らかーい!」
そして肉を頬張ると
「美味しーい!!」
とご満悦の様子だ。ベリアルはそんな恵茉を、優しい眼差しで見つめると、野菜スープとスプーンを手に取り、具を食べ始めた。しばらく、他愛ない話を楽しむ。食事も終わりに近づく頃、
「水分以外、必要無い、て話だけど……こうして食べ物を目の前にすると食欲が湧いてくるから不思議ね」
「まぁ、必要はないけれども摂取しても良い訳だしな。食べ物を食べよう、と意思が働くと、体もそれに反応するのさ。…ところで、質問て何だ? ブログでいくつか質問が来て居るそうじゃないか」
とベリアル切り出した。恵茉は、そうそう、とバッグからノートを取り出し、ページを捲る。
「そうなの。見習い魔女スモールリリスでブログ書いてるんだけどね。主に、その日の活動とかを、そのまま書く訳にいかないからフィクションに加工してるんだけど。結構質問してくれる人出て来ててね。……比較的答え易そうなものからいくね」
「まずは浮妖さんから。
A『悪魔さんもショッピング楽しみますか?』
B『趣味や嗜好品は?』
C『アミ―は久々に魂を食らうそうですが、久々に食べてお腹壊しませんか?』
だって」
「よし、一つ一つ答えよう。
A、魔界にもショッピングモールはあって。デパートやらコンビニやらスーパーやら。ほとんど人間と変わらない。ただ、売ってるものが魔術めいたものが多いだけで。例えば、イメージしただけで魚が焼けるグッズ、とかな。だから、オフの日にショッピングを楽しむ事は大いにあるさ。
B、それはその魔族それぞれにより異なるな。例えば、契約成立してその魔族のものになった人間の、目玉を集めて楽しむ奴とか。或いは靴下を集めて匂いを嗅ぐのが趣味、とか。因みに俺の趣味は温泉巡りだ。勿論魔界のな。
それと、天然石コレクターでもある。嗜好品も、それぞれだ。人間の生き血を好む奴、肉が好きな奴、甘いものが好きな奴。俺は魔界山麓のビールと赤ワインそれに枝豆に目が無い。
C、まぁ、俺達にとって人間の魂は、言わば大トロや取れたてバフンウニみたいなもんだ。だから毎日食らえば即メタボだ。その為、たまにありつく訳なんだが、腹を壊す事はほとんど無いな。その魂との相性が、あまりに悪かった別だが」
恵茉は逐一メモを取っている。
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