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第百二十三話
今こそ活かせ……るか?! 俺の対人スキル!
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「少しだけ時間が取れたのでな」
国王陛下はそう言って相好を崩した。
「光栄に存じます」
笑顔で応じながら、どう話を切り出そうか様子を窺う。
「何か不便を感じている事はないか?」
柔らかな声、この上なく優しい光を宿す銀灰色の瞳。春の月のようだ。
「いいえ、もう十分過ぎるくらいの待遇です。有難う存じます」
さて、いつまでここに居られるのだろう? どう切り出そうか? 迂闊な事を言って記憶を取り戻している事を知られたら……これ以上監禁されたら今度こそ人形となっちまいそうだし。
「そうか。それなら良かった」
そう言って、その形の良い唇が穏やかな弧を描いた。どうする? ここで何か言ってみるか。焦りは禁物だけれど、次の機会を待っていたら現状を打破出来る機会は来ないかもしれないぞ? 幸いな事にご機嫌は悪く無さそうだし……。
「どうした? 何か気掛かりな事でもあるのか?」
と、陛下は形の良く整えられた眉を下げる。やべっ、顔に出ていたか。ホント、最近弛んでるぞ俺、しっかりしろ!
「申し訳ございません、御無礼をお許し下さいませ」
慌てて頭を下げる。先ずは謝罪だ。だが、これは切り出すチャンスかもしれないぞ! よく観察するんだ、長年のモブキャラ故に……いや今でも対して変わった訳でもないけど……空気を読んで会話をするスキルを最大限に活かすべしだ!
「いや、そのように恐縮させたい訳ではないのだ。このように愛する者を手中におくという事が初めてでな。そうしたら良いのか見当もつかないのだ」
慌てたように言う国王のその頬が、心なしか赤くなっているように見えるのは気のせいだろうか? 蝋みたいな青白く透き通るような肌に、ほんのりと頬が桜色に……て、ん? 今、何と?
「……そうだったのですね。特別不自由な事は感じておりません」
そうか、愛人(……どうもこの単語はしっくり来ないなぁ)を囲い込むのは初体験なのか! それなら、切り込むチャンスでもあるぞ! 少し俯き加減で遠慮がちに……
「ですが……」
「どうした?」
よし、乗ってくれた。ここは慎重に行け……
「……いや、あの。いいえ。申し訳ございません」
「そう遠慮するな何なりと申してみよ」
「有難うございます。……それでは、あの……そうですね、強いて言えば……」
直接的に願望を伝えるのは唐突過ぎる。ここは、間接的に……
「私も何分初めての体験ですので、特にペンダントの中で終始過ごすというのは。勝手が分から無いので、出来れば誰か身の周りの世話をしてくれる人が居てくれたら心強いかと。勿論、終始ついていてくれる必要はありません。一日に一回程度、短時間で良いので。この国の事や陛下のお傍に居させて頂く上でのマナーなども指南して頂ける人が居てくれたら、と思います」
……いやぁ、すまん。ダニエルかハロルド。別に恨みはないんだがな……
心の中で、恐らくは俺の担当となり得る二人に謝罪した。さぁ、行けるか? 俺の対人スキル。
国王陛下はそう言って相好を崩した。
「光栄に存じます」
笑顔で応じながら、どう話を切り出そうか様子を窺う。
「何か不便を感じている事はないか?」
柔らかな声、この上なく優しい光を宿す銀灰色の瞳。春の月のようだ。
「いいえ、もう十分過ぎるくらいの待遇です。有難う存じます」
さて、いつまでここに居られるのだろう? どう切り出そうか? 迂闊な事を言って記憶を取り戻している事を知られたら……これ以上監禁されたら今度こそ人形となっちまいそうだし。
「そうか。それなら良かった」
そう言って、その形の良い唇が穏やかな弧を描いた。どうする? ここで何か言ってみるか。焦りは禁物だけれど、次の機会を待っていたら現状を打破出来る機会は来ないかもしれないぞ? 幸いな事にご機嫌は悪く無さそうだし……。
「どうした? 何か気掛かりな事でもあるのか?」
と、陛下は形の良く整えられた眉を下げる。やべっ、顔に出ていたか。ホント、最近弛んでるぞ俺、しっかりしろ!
「申し訳ございません、御無礼をお許し下さいませ」
慌てて頭を下げる。先ずは謝罪だ。だが、これは切り出すチャンスかもしれないぞ! よく観察するんだ、長年のモブキャラ故に……いや今でも対して変わった訳でもないけど……空気を読んで会話をするスキルを最大限に活かすべしだ!
「いや、そのように恐縮させたい訳ではないのだ。このように愛する者を手中におくという事が初めてでな。そうしたら良いのか見当もつかないのだ」
慌てたように言う国王のその頬が、心なしか赤くなっているように見えるのは気のせいだろうか? 蝋みたいな青白く透き通るような肌に、ほんのりと頬が桜色に……て、ん? 今、何と?
「……そうだったのですね。特別不自由な事は感じておりません」
そうか、愛人(……どうもこの単語はしっくり来ないなぁ)を囲い込むのは初体験なのか! それなら、切り込むチャンスでもあるぞ! 少し俯き加減で遠慮がちに……
「ですが……」
「どうした?」
よし、乗ってくれた。ここは慎重に行け……
「……いや、あの。いいえ。申し訳ございません」
「そう遠慮するな何なりと申してみよ」
「有難うございます。……それでは、あの……そうですね、強いて言えば……」
直接的に願望を伝えるのは唐突過ぎる。ここは、間接的に……
「私も何分初めての体験ですので、特にペンダントの中で終始過ごすというのは。勝手が分から無いので、出来れば誰か身の周りの世話をしてくれる人が居てくれたら心強いかと。勿論、終始ついていてくれる必要はありません。一日に一回程度、短時間で良いので。この国の事や陛下のお傍に居させて頂く上でのマナーなども指南して頂ける人が居てくれたら、と思います」
……いやぁ、すまん。ダニエルかハロルド。別に恨みはないんだがな……
心の中で、恐らくは俺の担当となり得る二人に謝罪した。さぁ、行けるか? 俺の対人スキル。
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