108 / 186
第七十六話
彩光界建国記念日当日!
しおりを挟む
俯き加減で曖昧な微笑み……を意識しつつ、中央に腰をおろす国王陛下を見ている。
うわぁ……実際はもう良い歳なんだろうけど、見た目は二十代半ばくらいか? 高身長、無駄な肉は一切ついていない、細身の筋肉質。ここは王子が受け継いだのだろうな。ロイヤルブルーの王族衣装をサラリと着こなし、エメラルドやルビー、サファイアが上品に装飾されたプラチナブロンドの王冠が眩しい。けれどもよく似合っている。髪の色は銀色がかった白で、腰の辺りまで伸ばされてさざ波みたいに波打っていた。彫りが深く、まるで彫刻のように整った顔立ち、瞳の色は目も覚めるような程のネオンブルー。思わず二度見してしまいたくなる。まさに最高級品質のパライバトルマリンそのままだ。何と言うか、全身フェロモンの塊。醸し出す色気が半端ない。これでは老若男女問わず磁石みたいに引き寄せちまいそうだ。
まぁ、俺にとって一番魅力を感じるのは王子なんだけどね。そうそう、今日は環境側のロイヤル席に、各国の王族たちも来ているんだってさ。毎年の事らしいんだけどさ。セディ、大人しく見てるかな?
舞台にいると、特殊で強いライトが当てられているせいか観客席がよく見えない仕様になっている。少し舞台俳優をかじった時とかの舞台に上がった感じを想像していたから、観客はよく見えるんだろうなと思っていたけど、全然違った。そのせいか殆ど緊張しない。これは助かる。
あと、俺たちが座っている椅子もビクトリア朝っぽくて高級そうなんだよな。だから、座っていてもお尻は痛くならないからこれも助かる。
「……続きましては、エターナル王家に新たなる希望の旋風を巻き起こす新人の紹介でございます」
リアンの凛とした声。おっと、立ち上がってお辞儀をする時だ。
「その名は、高月惟光!」
名を呼ばれたと同時に立ち上がり、優雅にそして上品にお辞儀をする。曖昧な微笑みを忘れるな、と。右隣の面従腹背が棘のある視線でチラ見しているのをビンビンと感じるけれど無視無視。
「未来を担う子供たちに、豊かな情操教育を。そして自ら考え、行動していく力を育ててくれるでしょう。また、新人の適性を判断し、最適な場所に配属する人事も担当していきます」
内容を聞くと、かなり恐れ多いけれど、ここで考えたら駄目だ。優雅に上品に、どころかアタフタおろおろ右往左往して式典が台無しになっちまう。
俺が立ち上がるなり、環境にから溜息やら騒めきが起こっているみたいだけど、考えない。うん、何も聞こえない。国王陛下が、一瞬舐めるように俺の全身を見ていたけれど、きっと気のせいだ、うん。もう一度優雅にお辞儀をして、上品に座る。よし、これで俺の出番は終わりだ。後はひたすら曖昧な微笑みと上品さを心がければ良い。式典終了まであと少しだ。
立ったり座ったりする際、誰かが魔術で椅子を引いたりして俺が無様にコケる事がないように、精霊たちと四大天使がしっかりと守ってくれている。自室に戻るまでの間は安全だ。問題は、契約を解除した瞬間だと言う話だが、それについては部屋の結界を複雑かつ強固にした、てリアンが言っていたし。
『魔術ヲ無効化マタハ封ジ込メル術ノ持チ主ナラ厄介ダ。タダ、全テノ魔術二ソノ術ガ使エルナラ我々ガ幾ラガードシテモ無駄デ、トックニ仕掛ケテ来テイル筈ダ。ソノ術ヲ発動サセル二ハ幾ツカノ条件ガアルノダロウ』
とウリエルが分析してくれていたが……。万が一の時は、どう対応するのかフォルスと話しあったんだ。フォルスは熱くなったり冷たくなったりで意思表示するだけで言葉を発した訳ではないけれど、十分意思疎通は出来たと思う。アイテムは、俺の明確な意思がないと万が一気を失った際に自己判断で動く事は出来ないらしい。それがアイテムとの正しい主従関係であり、本来あるべき姿なのだそうだ。アイテムに限らず、召喚者と呼び出しに応じた側もその関係が基本らしい。精霊たちと四大天使に教わったんだけど、非常に納得した。だから、身の丈にあった者を召喚しないと主従関係が逆転したりして、恐ろしい事が起こったりするんだろうな。
よし! 式典が終了した。全員起立して一斉に頭を下げる。後は国王陛下、王太子殿下一同、ラディウス王子一同と舞台からはければ終わりだ。王子とは、明日の朝まで会えないし会話も出来ないけれど、もう少しだ!
『気ヲ付ケロ! 式典中、何度カ主ヲ攻撃シヨウトスル強イ殺意ト攻撃ノ意思ヲ感ジ取ッタゾ!』
突如、緊迫したミカエルの声が脳内に響き、緊張が全身を支配した。
うわぁ……実際はもう良い歳なんだろうけど、見た目は二十代半ばくらいか? 高身長、無駄な肉は一切ついていない、細身の筋肉質。ここは王子が受け継いだのだろうな。ロイヤルブルーの王族衣装をサラリと着こなし、エメラルドやルビー、サファイアが上品に装飾されたプラチナブロンドの王冠が眩しい。けれどもよく似合っている。髪の色は銀色がかった白で、腰の辺りまで伸ばされてさざ波みたいに波打っていた。彫りが深く、まるで彫刻のように整った顔立ち、瞳の色は目も覚めるような程のネオンブルー。思わず二度見してしまいたくなる。まさに最高級品質のパライバトルマリンそのままだ。何と言うか、全身フェロモンの塊。醸し出す色気が半端ない。これでは老若男女問わず磁石みたいに引き寄せちまいそうだ。
まぁ、俺にとって一番魅力を感じるのは王子なんだけどね。そうそう、今日は環境側のロイヤル席に、各国の王族たちも来ているんだってさ。毎年の事らしいんだけどさ。セディ、大人しく見てるかな?
舞台にいると、特殊で強いライトが当てられているせいか観客席がよく見えない仕様になっている。少し舞台俳優をかじった時とかの舞台に上がった感じを想像していたから、観客はよく見えるんだろうなと思っていたけど、全然違った。そのせいか殆ど緊張しない。これは助かる。
あと、俺たちが座っている椅子もビクトリア朝っぽくて高級そうなんだよな。だから、座っていてもお尻は痛くならないからこれも助かる。
「……続きましては、エターナル王家に新たなる希望の旋風を巻き起こす新人の紹介でございます」
リアンの凛とした声。おっと、立ち上がってお辞儀をする時だ。
「その名は、高月惟光!」
名を呼ばれたと同時に立ち上がり、優雅にそして上品にお辞儀をする。曖昧な微笑みを忘れるな、と。右隣の面従腹背が棘のある視線でチラ見しているのをビンビンと感じるけれど無視無視。
「未来を担う子供たちに、豊かな情操教育を。そして自ら考え、行動していく力を育ててくれるでしょう。また、新人の適性を判断し、最適な場所に配属する人事も担当していきます」
内容を聞くと、かなり恐れ多いけれど、ここで考えたら駄目だ。優雅に上品に、どころかアタフタおろおろ右往左往して式典が台無しになっちまう。
俺が立ち上がるなり、環境にから溜息やら騒めきが起こっているみたいだけど、考えない。うん、何も聞こえない。国王陛下が、一瞬舐めるように俺の全身を見ていたけれど、きっと気のせいだ、うん。もう一度優雅にお辞儀をして、上品に座る。よし、これで俺の出番は終わりだ。後はひたすら曖昧な微笑みと上品さを心がければ良い。式典終了まであと少しだ。
立ったり座ったりする際、誰かが魔術で椅子を引いたりして俺が無様にコケる事がないように、精霊たちと四大天使がしっかりと守ってくれている。自室に戻るまでの間は安全だ。問題は、契約を解除した瞬間だと言う話だが、それについては部屋の結界を複雑かつ強固にした、てリアンが言っていたし。
『魔術ヲ無効化マタハ封ジ込メル術ノ持チ主ナラ厄介ダ。タダ、全テノ魔術二ソノ術ガ使エルナラ我々ガ幾ラガードシテモ無駄デ、トックニ仕掛ケテ来テイル筈ダ。ソノ術ヲ発動サセル二ハ幾ツカノ条件ガアルノダロウ』
とウリエルが分析してくれていたが……。万が一の時は、どう対応するのかフォルスと話しあったんだ。フォルスは熱くなったり冷たくなったりで意思表示するだけで言葉を発した訳ではないけれど、十分意思疎通は出来たと思う。アイテムは、俺の明確な意思がないと万が一気を失った際に自己判断で動く事は出来ないらしい。それがアイテムとの正しい主従関係であり、本来あるべき姿なのだそうだ。アイテムに限らず、召喚者と呼び出しに応じた側もその関係が基本らしい。精霊たちと四大天使に教わったんだけど、非常に納得した。だから、身の丈にあった者を召喚しないと主従関係が逆転したりして、恐ろしい事が起こったりするんだろうな。
よし! 式典が終了した。全員起立して一斉に頭を下げる。後は国王陛下、王太子殿下一同、ラディウス王子一同と舞台からはければ終わりだ。王子とは、明日の朝まで会えないし会話も出来ないけれど、もう少しだ!
『気ヲ付ケロ! 式典中、何度カ主ヲ攻撃シヨウトスル強イ殺意ト攻撃ノ意思ヲ感ジ取ッタゾ!』
突如、緊迫したミカエルの声が脳内に響き、緊張が全身を支配した。
21
お気に入りに追加
605
あなたにおすすめの小説
某国の皇子、冒険者となる
くー
BL
俺が転生したのは、とある帝国という国の皇子だった。
転生してから10年、19歳になった俺は、兄の反対を無視して従者とともに城を抜け出すことにした。
俺の本当の望み、冒険者になる夢を叶えるために……
異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。
主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。
※ BL要素は控えめです。
2020年1月30日(木)完結しました。

ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
勇者召喚に巻き込まれて追放されたのに、どうして王子のお前がついてくる。
イコ
BL
魔族と戦争を繰り広げている王国は、人材不足のために勇者召喚を行なった。
力ある勇者たちは優遇され、巻き込まれた主人公は追放される。
だが、そんな主人公に優しく声をかけてくれたのは、召喚した側の第五王子様だった。
イケメンの王子様の領地で一緒に領地経営? えっ、男女どっちでも結婚ができる?
頼りになる俺を手放したくないから結婚してほしい?
俺、男と結婚するのか?


主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.

物語なんかじゃない
mahiro
BL
あの日、俺は知った。
俺は彼等に良いように使われ、用が済んだら捨てられる存在であると。
それから数百年後。
俺は転生し、ひとり旅に出ていた。
あてもなくただ、村を点々とする毎日であったのだが、とある人物に遭遇しその日々が変わることとなり………?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる