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第六十七話
続・武術修行、次なる手段とは?!
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「では、火と風の精霊の力をお借りましょう」
「火と風の精霊、ですか?」
リアンは事もなげな様子で言うが、俺には見当もつかない。
「ええ。火は生命力も源で情熱ややる気、闘争心なども司りますからね。そこに、風の力で炎の力と勢いを増大させます。そうする事で、体力を維持出来ます。ただし、一定期間ですが……」
なるほど、物理的には理解した。
「長くは持たない、という事か……」
「ええ。ですがどのくらいの間持つのかはあなた次第なので、やってみない事には何とも。ただ、持っている時間内で戦いを終わらせる事が出来たら、あなたの体にもさほど負担はかかりません。けれど、期間内に戦いが終わらなかったら……」
「そ、それって、体にガタが来る上に敵の餌食になるって事では……」
「ええ、そうですね」
眼鏡のエッジに右手人差し指をあて、当然の事のように言うリアン。うーん……どんな時も動じない冷静さは見習いたいところだ。だけどそうなるには、相当な修羅場を潜り抜けてきたんだろうな……
「ですから、どのくらいの期間持つのかその見極めの為にまずはやって頂きます。その上で、持たなかった時にどうするのか、いくつか案を考えてあるのでそれをやって頂きます」
なるほど、スパルタ方針って訳だ。事態は切迫してるんだ、背水の陣の方が成果出そうだしな。ん? どうしたんだリアン、すまなそうに目を伏せて……
「その、結構と言いますか……相当に、苦しい鍛錬となりますが……」
あぁ、俺を気遣って……。常に冷静で淡々として見えるけど、恐らく何度も自問自答して色々葛藤して。聖も濁も全て呑み込んだ上で責務を全うしてるんだ。今初めて、リアンの本音に触れた気がした。
「それくらい、当然さ。緊急事態なんだしな」
試行錯誤と自問自答を繰り返して出した最善の対策なんだろう? リアン。いつも有難うな。心の中で感謝を捧げる。これは、言葉に出して伝えるべき事ではないと判断した。俺や周りに悟られないように常にポーカーフェイスを装っている事もあるだろうから。それなら、口に出すのは野暮ってもんさ。それに、そうまでして考え抜いたお前の案、受けて立たないと男が廃る。だから、わざと偉そうに応じて二ヤリと笑ってみせた。刹那、ホッとしたように表情を緩めたの、俺はしかと見届けたぜ。
「良い覚悟です、その意気です。それと、いざと言う時の為に回復魔法に長けた二人を待機させています。二人とも、こちらへ」
回復魔法に長けた二人? それって……
リアンの声に従ったように、左前方に直径2m程のパステルグリーンの光の玉が出現した。スッと湧いて出たかのように自然に。光の玉がシャボン玉みたいに弾けて霧散すると、中から現れたのは、
「レオ! ノア!」
俺は即座に二人に声をかけた。ペコリと頭を下げる二人。思わず口元が綻ぶ。
「どうしても惟光様の為に何か役立ちたい、という二人のたってのお願いでしてね」
おずおずと俺の様子を窺うように近づいて来る二人。気を遣わせてしまっているのか……
「惟光様、突然にお邪魔しまして申し訳ありません。ですが、我らが主の緊急事態に何もせずにはいられず……」
レオナードが一歩進み出ると、俺の前で跪いた。てか、おいおい……そんな大げさな。続いてノアがレオの左隣に並ぶ。
「惟光様、微力ではありますが、私たちも少しでもお役に立ちたく存じます」
と言って跪いた。何だか嬉しいけど、照れくさいや。そんな風にして貰えるようなカッコイイ俺じゃないんだけど、素直に嬉しいな。
「面を上げて」
まずは声をかける。不安と気遣いが入り混じった二人の眼差しが、俺のプライドを奮い立たせる。
「レオナード、ノア」
一人一人名を呼び、その目を見つめる。合否の結果を待つように息を呑む二人。
「有難うな、嬉しいよ」
と笑顔で言葉をかけた。主人公最強! とか、ラノベや漫画で人気の奴とは正反対の俺でごめんな。それでも、ホッとしたように笑みを浮かべ嬉しそうに瞳を輝かせる二人を見て、この上ない勇気ガ湧いてくる。
「さて、続けましょう」
リアンの声に、頷く。「失礼します」と一礼して、ベンチの後ろに待機するレオとノア。
「よし! やるか」
立ち上がってリアンと共に競技場中央に向かって歩き出した。
……火の精霊か。それなら炎に包まれた白虎だな。風の精霊なら、クリアブルーの朱雀だ……
え? 突如、目の前を横切る大きな炎と、頭上をサッと通り抜けるクリアブルーの羽が目に映った。
「火と風の精霊、ですか?」
リアンは事もなげな様子で言うが、俺には見当もつかない。
「ええ。火は生命力も源で情熱ややる気、闘争心なども司りますからね。そこに、風の力で炎の力と勢いを増大させます。そうする事で、体力を維持出来ます。ただし、一定期間ですが……」
なるほど、物理的には理解した。
「長くは持たない、という事か……」
「ええ。ですがどのくらいの間持つのかはあなた次第なので、やってみない事には何とも。ただ、持っている時間内で戦いを終わらせる事が出来たら、あなたの体にもさほど負担はかかりません。けれど、期間内に戦いが終わらなかったら……」
「そ、それって、体にガタが来る上に敵の餌食になるって事では……」
「ええ、そうですね」
眼鏡のエッジに右手人差し指をあて、当然の事のように言うリアン。うーん……どんな時も動じない冷静さは見習いたいところだ。だけどそうなるには、相当な修羅場を潜り抜けてきたんだろうな……
「ですから、どのくらいの期間持つのかその見極めの為にまずはやって頂きます。その上で、持たなかった時にどうするのか、いくつか案を考えてあるのでそれをやって頂きます」
なるほど、スパルタ方針って訳だ。事態は切迫してるんだ、背水の陣の方が成果出そうだしな。ん? どうしたんだリアン、すまなそうに目を伏せて……
「その、結構と言いますか……相当に、苦しい鍛錬となりますが……」
あぁ、俺を気遣って……。常に冷静で淡々として見えるけど、恐らく何度も自問自答して色々葛藤して。聖も濁も全て呑み込んだ上で責務を全うしてるんだ。今初めて、リアンの本音に触れた気がした。
「それくらい、当然さ。緊急事態なんだしな」
試行錯誤と自問自答を繰り返して出した最善の対策なんだろう? リアン。いつも有難うな。心の中で感謝を捧げる。これは、言葉に出して伝えるべき事ではないと判断した。俺や周りに悟られないように常にポーカーフェイスを装っている事もあるだろうから。それなら、口に出すのは野暮ってもんさ。それに、そうまでして考え抜いたお前の案、受けて立たないと男が廃る。だから、わざと偉そうに応じて二ヤリと笑ってみせた。刹那、ホッとしたように表情を緩めたの、俺はしかと見届けたぜ。
「良い覚悟です、その意気です。それと、いざと言う時の為に回復魔法に長けた二人を待機させています。二人とも、こちらへ」
回復魔法に長けた二人? それって……
リアンの声に従ったように、左前方に直径2m程のパステルグリーンの光の玉が出現した。スッと湧いて出たかのように自然に。光の玉がシャボン玉みたいに弾けて霧散すると、中から現れたのは、
「レオ! ノア!」
俺は即座に二人に声をかけた。ペコリと頭を下げる二人。思わず口元が綻ぶ。
「どうしても惟光様の為に何か役立ちたい、という二人のたってのお願いでしてね」
おずおずと俺の様子を窺うように近づいて来る二人。気を遣わせてしまっているのか……
「惟光様、突然にお邪魔しまして申し訳ありません。ですが、我らが主の緊急事態に何もせずにはいられず……」
レオナードが一歩進み出ると、俺の前で跪いた。てか、おいおい……そんな大げさな。続いてノアがレオの左隣に並ぶ。
「惟光様、微力ではありますが、私たちも少しでもお役に立ちたく存じます」
と言って跪いた。何だか嬉しいけど、照れくさいや。そんな風にして貰えるようなカッコイイ俺じゃないんだけど、素直に嬉しいな。
「面を上げて」
まずは声をかける。不安と気遣いが入り混じった二人の眼差しが、俺のプライドを奮い立たせる。
「レオナード、ノア」
一人一人名を呼び、その目を見つめる。合否の結果を待つように息を呑む二人。
「有難うな、嬉しいよ」
と笑顔で言葉をかけた。主人公最強! とか、ラノベや漫画で人気の奴とは正反対の俺でごめんな。それでも、ホッとしたように笑みを浮かべ嬉しそうに瞳を輝かせる二人を見て、この上ない勇気ガ湧いてくる。
「さて、続けましょう」
リアンの声に、頷く。「失礼します」と一礼して、ベンチの後ろに待機するレオとノア。
「よし! やるか」
立ち上がってリアンと共に競技場中央に向かって歩き出した。
……火の精霊か。それなら炎に包まれた白虎だな。風の精霊なら、クリアブルーの朱雀だ……
え? 突如、目の前を横切る大きな炎と、頭上をサッと通り抜けるクリアブルーの羽が目に映った。
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