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五十六話
俺とフォルスと魔術習得???・前編
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念の為、試しに別の名前を言ってみよう。
「それか『銀之丞』なんてのはどうだ?」
「……」
あ、いっきに冷たくなったぞ。もう一つくらい試してみるか。
「それなら薫子なんてのは……うわっ、冷てー!」
氷みたいに冷たくなって手首がビリビリきた。
「分かった分かった、お前は男の子だよな」
「……」
常温に戻っていく。性別は男で決定だな。まぁ、同性の方が気が楽だ。
「よし、じゃあ……お前の名前は『フォルス』に決まりな!」
銀のブレスレットに語りかける俺。傍から見たら、もう怪しいを通り越して完全にイッちゃってる危ない奴だ。けど、名前は決まったぞ! ブレスレットがじわじわと熱くなって来たからYES、て意味だろう?
「改めて宜しくな! フォルス。俺はお前の主人、高月惟光だ」
「……」
ブレスレット、いや『フォルス』は相変わらず無言だったけど、意思の疎通が出来ただけ一歩前進だ。じんわり温かいままだし、歓迎こそしてはいないだろうが拒絶はされていないと見た。何せ、野生の狼の赤ちゃん、ていうくらいだからな。最初の内に主従関係をしっかりしておかないと、後々手に追えなくなって魂を食われちまうか乗っ取られるかされそうだからな。最初が肝心だ。
さて、と。魔術の勉強でもするかな。午後は夕飯と入浴まで誰の訪問も無いし。
……でも、独学で習得出来るもんなんだろうか。ラノベや漫画なんかでは、本を読んだだけで魔術習得、なんてのはよくあるけど……。
取りあえず、魔術辞典とやらでも見てみるか。
立ち上がって本棚を目指す。そういや部屋にこんな立派な本棚があるのに、どんな本があるのかもまだじっくり見た事もなかったなぁ。一通り見てみるか。
……おぉ、彩光界の歴史かぁ。宝土界の歴史とか、各国の歴史の本がるぞ。あ、『魔術の基礎』って本が一から十まである! 取りあえず、この一巻と、メフィスト(名前が長いから勝手に省略。心の中だけだし、いいよな)言っていた『魔術辞典』の三巻とやらを……あったあった、すげー! 五十巻まであるんだ。
その二冊を手に取り、ソファへと戻る。テーブルに本を置いた。因みに『魔術の基礎』シリーズは表紙はボルドー色の革だ。『魔術辞典』シリーズの表紙は黒革だ。いずれも百科事典みたいに分厚い。深々と腰を下ろして、と。さぁて、優雅に読書といきますか。まずは『魔術辞典』の方を見てみるかな。早速一ページ目を開き目次を見てみる。
へぇ? 魔術辞典の三巻は、ブレスレット編なのか。だからメフィストの奴……
第一章 誰かから譲り受けたもの
一、最初のコミュニケーションの取り方
二、名前のつけ方
三、……ていうか、第二章は購入したもの、第三章、自らが作成したもの。と書かれている。これは第一章から読んだ方が良さそうだな。ページを一枚めくる。丸玉天然石のブレスレット、木彫り、銀細工など、様々な種類のブレスレットのイラストが美しく描かれていた。どうやらブレスレットのタイプ別にコミュニケーションの取り方が懇切丁寧に書かれているようだ。これは分かり易そうだぞ! こうなると、『魔術の基礎』も見てみたくなるよなぁ。ちょっとチラ見してみるか。魔術辞典は膝に置き、魔術の基礎を手に取る。ページを開いて目次を見てみよう。あ、目次の前に『はじめに』があった。
はじめに
魔術は皆さん全員が生まれながらにして持っている力です。人によって得意分野が異なるので、まずはあなたがどの魔術に向いているのか、その適性を知る事から始めましょう。
へぇ……やっぱり異世界なんだなぁ、と改めて再確認した。でも、面白そうだよな。もしほんの少しでも魔法が使えたら、楽しいだろうなぁ。俺、取りあえずは器用になんでもそこそこ出来るから、魔術も少しくらいは出来るかも? 央雅みたいには無理でもさ。なーんてな、そんな甘い訳ないよな。もし自分で習得するなら、まずはリアンに聞いてからのが良さそうだ。自己流はまずは基礎を積んでからじゃないとな。砂上楼閣になりかねないしな。
「なぁ、フォルス。都合良くリアンが訪ねて来ないかなぁ?」
何となく話しかけてみた。うん、すっかり危ない奴だな。あれ? 気のせいかな、ブレスレットがジワーって温かくなったような……? ま、気のせいだな。
さて、やっぱり魔術辞典から読むか。魔術の基礎を再びテーブルに置き、辞典のイラストを見始めた。フォルスは、この銀細工タイプのブレスレットになるかな。えーと、108ページか。百八つ……煩悩かよ。その時、
トントントン、とドアノックの音がした。何だろ? レオかノアかな。「はーい!」と元気良く返事をする。
「失礼します、リアンです」
え? リアン?? まさかフォルスお前、偶然を味方につける力を発揮してくれたのか?
「それか『銀之丞』なんてのはどうだ?」
「……」
あ、いっきに冷たくなったぞ。もう一つくらい試してみるか。
「それなら薫子なんてのは……うわっ、冷てー!」
氷みたいに冷たくなって手首がビリビリきた。
「分かった分かった、お前は男の子だよな」
「……」
常温に戻っていく。性別は男で決定だな。まぁ、同性の方が気が楽だ。
「よし、じゃあ……お前の名前は『フォルス』に決まりな!」
銀のブレスレットに語りかける俺。傍から見たら、もう怪しいを通り越して完全にイッちゃってる危ない奴だ。けど、名前は決まったぞ! ブレスレットがじわじわと熱くなって来たからYES、て意味だろう?
「改めて宜しくな! フォルス。俺はお前の主人、高月惟光だ」
「……」
ブレスレット、いや『フォルス』は相変わらず無言だったけど、意思の疎通が出来ただけ一歩前進だ。じんわり温かいままだし、歓迎こそしてはいないだろうが拒絶はされていないと見た。何せ、野生の狼の赤ちゃん、ていうくらいだからな。最初の内に主従関係をしっかりしておかないと、後々手に追えなくなって魂を食われちまうか乗っ取られるかされそうだからな。最初が肝心だ。
さて、と。魔術の勉強でもするかな。午後は夕飯と入浴まで誰の訪問も無いし。
……でも、独学で習得出来るもんなんだろうか。ラノベや漫画なんかでは、本を読んだだけで魔術習得、なんてのはよくあるけど……。
取りあえず、魔術辞典とやらでも見てみるか。
立ち上がって本棚を目指す。そういや部屋にこんな立派な本棚があるのに、どんな本があるのかもまだじっくり見た事もなかったなぁ。一通り見てみるか。
……おぉ、彩光界の歴史かぁ。宝土界の歴史とか、各国の歴史の本がるぞ。あ、『魔術の基礎』って本が一から十まである! 取りあえず、この一巻と、メフィスト(名前が長いから勝手に省略。心の中だけだし、いいよな)言っていた『魔術辞典』の三巻とやらを……あったあった、すげー! 五十巻まであるんだ。
その二冊を手に取り、ソファへと戻る。テーブルに本を置いた。因みに『魔術の基礎』シリーズは表紙はボルドー色の革だ。『魔術辞典』シリーズの表紙は黒革だ。いずれも百科事典みたいに分厚い。深々と腰を下ろして、と。さぁて、優雅に読書といきますか。まずは『魔術辞典』の方を見てみるかな。早速一ページ目を開き目次を見てみる。
へぇ? 魔術辞典の三巻は、ブレスレット編なのか。だからメフィストの奴……
第一章 誰かから譲り受けたもの
一、最初のコミュニケーションの取り方
二、名前のつけ方
三、……ていうか、第二章は購入したもの、第三章、自らが作成したもの。と書かれている。これは第一章から読んだ方が良さそうだな。ページを一枚めくる。丸玉天然石のブレスレット、木彫り、銀細工など、様々な種類のブレスレットのイラストが美しく描かれていた。どうやらブレスレットのタイプ別にコミュニケーションの取り方が懇切丁寧に書かれているようだ。これは分かり易そうだぞ! こうなると、『魔術の基礎』も見てみたくなるよなぁ。ちょっとチラ見してみるか。魔術辞典は膝に置き、魔術の基礎を手に取る。ページを開いて目次を見てみよう。あ、目次の前に『はじめに』があった。
はじめに
魔術は皆さん全員が生まれながらにして持っている力です。人によって得意分野が異なるので、まずはあなたがどの魔術に向いているのか、その適性を知る事から始めましょう。
へぇ……やっぱり異世界なんだなぁ、と改めて再確認した。でも、面白そうだよな。もしほんの少しでも魔法が使えたら、楽しいだろうなぁ。俺、取りあえずは器用になんでもそこそこ出来るから、魔術も少しくらいは出来るかも? 央雅みたいには無理でもさ。なーんてな、そんな甘い訳ないよな。もし自分で習得するなら、まずはリアンに聞いてからのが良さそうだ。自己流はまずは基礎を積んでからじゃないとな。砂上楼閣になりかねないしな。
「なぁ、フォルス。都合良くリアンが訪ねて来ないかなぁ?」
何となく話しかけてみた。うん、すっかり危ない奴だな。あれ? 気のせいかな、ブレスレットがジワーって温かくなったような……? ま、気のせいだな。
さて、やっぱり魔術辞典から読むか。魔術の基礎を再びテーブルに置き、辞典のイラストを見始めた。フォルスは、この銀細工タイプのブレスレットになるかな。えーと、108ページか。百八つ……煩悩かよ。その時、
トントントン、とドアノックの音がした。何だろ? レオかノアかな。「はーい!」と元気良く返事をする。
「失礼します、リアンです」
え? リアン?? まさかフォルスお前、偶然を味方につける力を発揮してくれたのか?
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