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第四十五話
異世界転移者同士~あいつ、やっぱり俺の事嫌いだってさ、さて、どう対応すべきか……中編~
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……俺をそこまで毛嫌いする原因、探るしかねーか。手探りだから下手したら地雷踏み抜いて自滅エンドだけど。やってみなきゃ分からんもんな。さてと、いくか。物凄ーく嫌だし、物凄ーーーく気が重いけど。
「そっか、ごめん。じゃあさ、俺のどこが気に食わない? 言ってくれたら改善出来るところは善処するよ」
これで、反応見てみるか。央雅は呆れたように俺を見ると溜息をついた。
「そういうところが嫌なんだ。何故媚びる?」
あ、そ。そう来るか。でもある意味会話が続けられるぞ。それなら傾聴と共感でいってみるか……
「そうか、媚びているように見えるのか? だとしたら、面白くはねーよな」
「何、他人事のように言っている? お前の事だと言うのに」
おー怖っ、そんなドスの効いた声出して睨みつけなくてもさぁ。相当嫌われてるらしいな、『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』ってか?
「そりゃ、意味は通じているさ。だけど俺自身は媚びているつもりは全くない訳だ。だからもしそう見えるのだとしたら、面白くはないだろうなぁ、と央雅の気持ちになって言ってみただけさ。で、どの辺りが媚びているように見えるんだ?」
「はぁ? いちいち説明させる気か?」
「皆目見当もつかないから、説明してくれると有り難い。こっちは媚びているつもりは無いから、例を挙げてくれないと弁明のしようも、改善しようもないからな」
今度は呆れ果てたと言うように溜息をつき、蔑んだように俺を見る。あ、この感じ……弟に良く似ている。こんな態度取られる度、情けなくて惨めで、消えたいって思ったっけ。だけど俺にだってプライドはあるから、敢えて何も気づかない鈍感なふりをしてヘラヘラ笑ってやり過ごしてたなぁ。今、それをする訳にはいかない、それじゃ俺はいつまで経っても弟の影に怯える情けない駄目屑兄貴のまんまだ。今ここで、央雅が弟の代わりに越えるべき壁として立ちはだかってくれてるんだ、絶対に乗り越えてやるぞ! 自分を見失うな、俺の目標はトラウマを克服して健康体になって王子の側にいられる事、そして俺の特性を活かした仕事に就く事だ。何もコイツと仲良くしたい訳じゃない。
『オーロラの涙』が、じんわりと温かくなった気がした。励ましてくれている、そう感じた。
「俺、何かおかしな事言っているか?」
そう言って、真っすぐにヤツを見つめた。コイツ、精悍な顔立ちだけあってそうしていると妙に色気がある。これで武術や魔術にも長けかつ頭脳明晰、寡黙で思慮深いとなりと……悔しいけど、男女を問わず相当な人が夢中になるだろう。ヤツは諦めてたように三度めの溜息をつく。そして気怠そうに口を開いた。
「人には相性と言うものがある。合わないものは如何に努力しても結局最終的には別離になる事になっている。故に、努力をして己をすり減らす時間が無駄だ。互いにその時間を別の事で有効利用した方が良い。そういうものだ」
うーん、確かに。どうやっても合わない奴は合わない、一理あるわな。けど……
「その理屈で言うと、俺とは端から相性が悪い、と言いたい訳か。まだ、お互いの事を何も知らないのに、見た目で判断してシャットアウトするなんて、勿体無いじゃないか。もしかしたら互いに誤解している部分もあるかもしれないだろ?」
「時間の無駄にしかならん。人は第一印象で決まるんだ。初対面での直感は必ず当たるものだ。俺に限らずな」
「まぁ、そういう部分は少なからずあるだろうな、でもな……」
「お前の事は、悪いが第一印象で『こいつとは合わない、虫が好かない』だった。それだけだ。別にお前の存在や人格を否定している訳ではない」
「なるほど、理屈は理解した。けど取りあえず人の話は最後まで聞くもんだぜ。まぁ聞けや。三日間もお前の二人だけで過ごすんだ、少しは歩み寄りの姿勢を見せてもよくないか?」
無言で俺を見つめる。その無言を肯定の意味に解釈して話を続ける。名付けて『さり気ない屁理屈&ネバーギブアップ作戦』に切り替えだ!
「そもそもその第一印象は絶対だ、という根拠を示せるほどに今まで歩み寄る努力ってしてきたのか?」
「だから、それは時間の無駄だと言った筈だ!」
「まぁそうイライラすんな、て。聞けよ、もう一度言うぞ。たかだかまだ二十一年生きたくらいで、人は第一印象で付き合って良い人間とシャットアウトする人間って判別つくほど人間経験で揉まれて来たのか?」
「直感だ、経験や理屈は関係無い」
「そうか、お前は元々優秀な奴だからそれで分かるのかもしれないよな。でも俺は凡人だからな、第一印象で何か感じる事があっても出来るだけ偏見では見ないようにしているんだ。実はな、俺も第一印象ではお前とは合わなそうだと感じたさ」
奴は怪訝そうに俺を見た。
「互いにそう感じたら、話し合いの必要ないだろう。仕事の時だけ割り切れば何の問題もない」
「そうもいかんさ。俺はお前と話してみたいと思ったし、殿下やリアンもそうした方が良いという判断をくだされた。これは、お前の言うところの『仕事』の一環ではないのか? それともその仕事を放棄するつもりか?」
これにはさすがの奴も反論できないようだ。変わらずポーカーフェイスを貫いているが、視線が泳いでいるのと、呼吸が浅くなったぞ。わずかだが肩も強張っている。痛いところを突かれて動揺している証拠だ。もう少しだ。
「第一印象が全て完璧だ、という事だが。では逆の事を問おう。今までに、第一印象で惹かれた筈なのに、いざ交流してみたら思っていたのと違って良くない方の意味で違っていた、という経験も実はあったんじゃないか?」
と更に畳み掛けた。
「そっか、ごめん。じゃあさ、俺のどこが気に食わない? 言ってくれたら改善出来るところは善処するよ」
これで、反応見てみるか。央雅は呆れたように俺を見ると溜息をついた。
「そういうところが嫌なんだ。何故媚びる?」
あ、そ。そう来るか。でもある意味会話が続けられるぞ。それなら傾聴と共感でいってみるか……
「そうか、媚びているように見えるのか? だとしたら、面白くはねーよな」
「何、他人事のように言っている? お前の事だと言うのに」
おー怖っ、そんなドスの効いた声出して睨みつけなくてもさぁ。相当嫌われてるらしいな、『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』ってか?
「そりゃ、意味は通じているさ。だけど俺自身は媚びているつもりは全くない訳だ。だからもしそう見えるのだとしたら、面白くはないだろうなぁ、と央雅の気持ちになって言ってみただけさ。で、どの辺りが媚びているように見えるんだ?」
「はぁ? いちいち説明させる気か?」
「皆目見当もつかないから、説明してくれると有り難い。こっちは媚びているつもりは無いから、例を挙げてくれないと弁明のしようも、改善しようもないからな」
今度は呆れ果てたと言うように溜息をつき、蔑んだように俺を見る。あ、この感じ……弟に良く似ている。こんな態度取られる度、情けなくて惨めで、消えたいって思ったっけ。だけど俺にだってプライドはあるから、敢えて何も気づかない鈍感なふりをしてヘラヘラ笑ってやり過ごしてたなぁ。今、それをする訳にはいかない、それじゃ俺はいつまで経っても弟の影に怯える情けない駄目屑兄貴のまんまだ。今ここで、央雅が弟の代わりに越えるべき壁として立ちはだかってくれてるんだ、絶対に乗り越えてやるぞ! 自分を見失うな、俺の目標はトラウマを克服して健康体になって王子の側にいられる事、そして俺の特性を活かした仕事に就く事だ。何もコイツと仲良くしたい訳じゃない。
『オーロラの涙』が、じんわりと温かくなった気がした。励ましてくれている、そう感じた。
「俺、何かおかしな事言っているか?」
そう言って、真っすぐにヤツを見つめた。コイツ、精悍な顔立ちだけあってそうしていると妙に色気がある。これで武術や魔術にも長けかつ頭脳明晰、寡黙で思慮深いとなりと……悔しいけど、男女を問わず相当な人が夢中になるだろう。ヤツは諦めてたように三度めの溜息をつく。そして気怠そうに口を開いた。
「人には相性と言うものがある。合わないものは如何に努力しても結局最終的には別離になる事になっている。故に、努力をして己をすり減らす時間が無駄だ。互いにその時間を別の事で有効利用した方が良い。そういうものだ」
うーん、確かに。どうやっても合わない奴は合わない、一理あるわな。けど……
「その理屈で言うと、俺とは端から相性が悪い、と言いたい訳か。まだ、お互いの事を何も知らないのに、見た目で判断してシャットアウトするなんて、勿体無いじゃないか。もしかしたら互いに誤解している部分もあるかもしれないだろ?」
「時間の無駄にしかならん。人は第一印象で決まるんだ。初対面での直感は必ず当たるものだ。俺に限らずな」
「まぁ、そういう部分は少なからずあるだろうな、でもな……」
「お前の事は、悪いが第一印象で『こいつとは合わない、虫が好かない』だった。それだけだ。別にお前の存在や人格を否定している訳ではない」
「なるほど、理屈は理解した。けど取りあえず人の話は最後まで聞くもんだぜ。まぁ聞けや。三日間もお前の二人だけで過ごすんだ、少しは歩み寄りの姿勢を見せてもよくないか?」
無言で俺を見つめる。その無言を肯定の意味に解釈して話を続ける。名付けて『さり気ない屁理屈&ネバーギブアップ作戦』に切り替えだ!
「そもそもその第一印象は絶対だ、という根拠を示せるほどに今まで歩み寄る努力ってしてきたのか?」
「だから、それは時間の無駄だと言った筈だ!」
「まぁそうイライラすんな、て。聞けよ、もう一度言うぞ。たかだかまだ二十一年生きたくらいで、人は第一印象で付き合って良い人間とシャットアウトする人間って判別つくほど人間経験で揉まれて来たのか?」
「直感だ、経験や理屈は関係無い」
「そうか、お前は元々優秀な奴だからそれで分かるのかもしれないよな。でも俺は凡人だからな、第一印象で何か感じる事があっても出来るだけ偏見では見ないようにしているんだ。実はな、俺も第一印象ではお前とは合わなそうだと感じたさ」
奴は怪訝そうに俺を見た。
「互いにそう感じたら、話し合いの必要ないだろう。仕事の時だけ割り切れば何の問題もない」
「そうもいかんさ。俺はお前と話してみたいと思ったし、殿下やリアンもそうした方が良いという判断をくだされた。これは、お前の言うところの『仕事』の一環ではないのか? それともその仕事を放棄するつもりか?」
これにはさすがの奴も反論できないようだ。変わらずポーカーフェイスを貫いているが、視線が泳いでいるのと、呼吸が浅くなったぞ。わずかだが肩も強張っている。痛いところを突かれて動揺している証拠だ。もう少しだ。
「第一印象が全て完璧だ、という事だが。では逆の事を問おう。今までに、第一印象で惹かれた筈なのに、いざ交流してみたら思っていたのと違って良くない方の意味で違っていた、という経験も実はあったんじゃないか?」
と更に畳み掛けた。
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