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第四十五話
異世界転移者同士~あいつ、やっぱり俺の事嫌いだってさ、さて、どう対応すべきか……前編~
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あぁ、昨日は本当に幸せな一日だったなぁ。王子の腕枕なんて、興奮し過ぎて眠れないかも! なんて思ったけど。王子はお疲れだったのかすぐに寝息をたてて。その寝顔があまりにも幸せそうで見ているこちらまでほっこり満ち足りた気分になって。銀色の睫毛、長くてフサフサで。ソレでいてクルってカ-ルしていて……なんて見ていたらいつの間にか寝落ちしていた、て感じだった。
ふと目を覚ますと、王子が嬉しそうに微笑んで。俺も照れながら微笑み返して。食事は俺がベッド、王子は予め用意されていた白い椅子と小さなテ-ブルで。寄り添うようにして食べたり。二人の間に、言葉はいらないというか。お互いに微笑み合えば十分満ち足りた気持ちになる、て感じで。エヘヘッ。
今朝、リアンが王子を迎えに来るまでの間まで、本当に幸せだったなぁ。あ、そうそう。異界での俺の必殺技な、『はったり』と、もう一つは『屁理屈』な、あからさまな難癖じゃなくて『正論に見せかけた去り気ない感じの屁理屈』な。……と、ついさっきの思い出に浸ってみる。浸りたくもなるさ、ちょっとした現実逃避、てヤツだ。だって、だって今……さっきまで王子が座っていた看護用の椅子にいるのは、あの西園寺央雅なんだもん。
てな訳で、俺は今コイツと二人だけなんだ。時計の秒針の音がやけに大きく聞こえる。あー気拙いなぁ……なんて。いや、俺が二人きりにしてくれ、て頼んだから文句言えないんだけどさ。央雅も挨拶を交わし他た後、俺と目を合わせようともしない。チラ見すらしないから、気拙い思いをしているのはお互いさま、てとこだろうな。
事の発端は、王子を迎えに来て一旦部屋を出たリアンが戻って来た時だ。
「体調は随分と落ち着いて来たようにお見受けします」
「はい、もう大分良い感じで……」
「と言ってもあなたの良くなった、大丈夫は全くもってアテになりませんから。話半分に聞いておきますが」
「……て、おーい!」
「さて、本日の日程ですがどう致しましょうね?」
「……スルーすか……」
「また、あちらの世界でのトラウマと向き合う事にするか、それとも……」
「それとも?」
「どうでしょうかね? 央雅が持ち場を離れても大丈夫なスケジュールにたまたまなっていたので、この機会に二人で話しをしてみても良いのかな、と。状況次第では、二・三日でしたら大丈夫なようにシフトを変える事は容易ですし……」
そんなやり取りを経て、今に至る訳だ。取りあえず今日から三日間、央雅と二人だけで過ごすという。で、三日目の最終日、風空界の王族のお偉いさんがこの間のお礼をしたい、とかでやって来るらしいんだけど、それの近侍って事で央雅が付き添う……てスケジュールだ。たまたま偶然、だなんてリアンの奴いってたけどさ。本当かねぇ……もしリアンが予め仕組んでなかっんだとしたら、やっぱりこの『偶然を味方につけるアイテム』のお陰かなー、とも思う。無欲で、て事は裏を返せばお願いした時点で欲がある、て事だもんな。だから何も期待せず普通にしていれば、アイテムの方で気が向いたら偶然を装って幸運を授ける、みたいな感じでさ。なーんてな。
まぁ、この状況をラッキーだと呼べるには、何年も後になってから……かも知れないけど。今はとてもじゃねーが言えねーな。とは言っても、このままこうして過ごす訳にはいかないし。そろそろ切り出してみないとなぁ。あっちは話す気なんかサラサラないようだし。二人だけの時は、立ち場関係無く敬語も使わずお互いに異世界転移者同士として話し合いたい、そうリアンに申し出て。王子の許可も頂いちまってるんだ。今更逃げる訳にもいかねーもんな。
「……な、なぁ?」
「何です?」
こっちが思い切り勇気出して話し掛けてんのにそりゃないぜ。そんな、あからさまに嫌そうな顔せんでもさ。でもまぁ、弟を礼儀正しくして他人行儀にしたら、こんな感じになるかな。
「この間は、御免」
「何の事です?」
「ほら、せっかく忠告しようとしてくれたのに、勝手に判断した挙句異界に……」
「もう済んだ事です」
バッサリかぁ。どうしようかな、やっぱりコイツ苦手だ。突破口が全然視えてこねーや。
「ははは、二人だけの時はさ、立ち場とか敬語とかも無しだ。同じ異世界転移者同士、色々話そうよ。許可は取ってあるしさ。もしかしたら俺よりも年上かな? 俺、二十歳になったばかりなんだ」
話している内に、眉間に皺が寄せられていく。『話しかけんな、空気読め』て感じだよなぁ。
「二十一歳、以上」
すげなく一言。あー、胃に穴が開きそうだ。ここまで頑なになられるような事、したっけかなー。
「そっか。俺より一個上、先輩だね」
「言っておくが、お前の事は最初から虫が好かん。だから如何に上に命令されようが、お前と個人的に親しくするつもりは毛頭も無い。仕事の時はいくらでも割り切るがな。だから甚だ迷惑だ。この場にいるのも堪えがたい」
一度も目を合わせる事もなく憮然として言い切った。うわぁ、やっぱり俺の事嫌いだってさ。これは、サイラスの時みたいには行かないぞ。全くもって解決の糸口が見えねー。せめて俺のどこが気に食わないのかその理由の一つでも見えてきたらそこから切り込めるんだけど。第一俺自身がコイツを苦手だからなぁ。さーて、どう対応すべきかなぁ……
ふと目を覚ますと、王子が嬉しそうに微笑んで。俺も照れながら微笑み返して。食事は俺がベッド、王子は予め用意されていた白い椅子と小さなテ-ブルで。寄り添うようにして食べたり。二人の間に、言葉はいらないというか。お互いに微笑み合えば十分満ち足りた気持ちになる、て感じで。エヘヘッ。
今朝、リアンが王子を迎えに来るまでの間まで、本当に幸せだったなぁ。あ、そうそう。異界での俺の必殺技な、『はったり』と、もう一つは『屁理屈』な、あからさまな難癖じゃなくて『正論に見せかけた去り気ない感じの屁理屈』な。……と、ついさっきの思い出に浸ってみる。浸りたくもなるさ、ちょっとした現実逃避、てヤツだ。だって、だって今……さっきまで王子が座っていた看護用の椅子にいるのは、あの西園寺央雅なんだもん。
てな訳で、俺は今コイツと二人だけなんだ。時計の秒針の音がやけに大きく聞こえる。あー気拙いなぁ……なんて。いや、俺が二人きりにしてくれ、て頼んだから文句言えないんだけどさ。央雅も挨拶を交わし他た後、俺と目を合わせようともしない。チラ見すらしないから、気拙い思いをしているのはお互いさま、てとこだろうな。
事の発端は、王子を迎えに来て一旦部屋を出たリアンが戻って来た時だ。
「体調は随分と落ち着いて来たようにお見受けします」
「はい、もう大分良い感じで……」
「と言ってもあなたの良くなった、大丈夫は全くもってアテになりませんから。話半分に聞いておきますが」
「……て、おーい!」
「さて、本日の日程ですがどう致しましょうね?」
「……スルーすか……」
「また、あちらの世界でのトラウマと向き合う事にするか、それとも……」
「それとも?」
「どうでしょうかね? 央雅が持ち場を離れても大丈夫なスケジュールにたまたまなっていたので、この機会に二人で話しをしてみても良いのかな、と。状況次第では、二・三日でしたら大丈夫なようにシフトを変える事は容易ですし……」
そんなやり取りを経て、今に至る訳だ。取りあえず今日から三日間、央雅と二人だけで過ごすという。で、三日目の最終日、風空界の王族のお偉いさんがこの間のお礼をしたい、とかでやって来るらしいんだけど、それの近侍って事で央雅が付き添う……てスケジュールだ。たまたま偶然、だなんてリアンの奴いってたけどさ。本当かねぇ……もしリアンが予め仕組んでなかっんだとしたら、やっぱりこの『偶然を味方につけるアイテム』のお陰かなー、とも思う。無欲で、て事は裏を返せばお願いした時点で欲がある、て事だもんな。だから何も期待せず普通にしていれば、アイテムの方で気が向いたら偶然を装って幸運を授ける、みたいな感じでさ。なーんてな。
まぁ、この状況をラッキーだと呼べるには、何年も後になってから……かも知れないけど。今はとてもじゃねーが言えねーな。とは言っても、このままこうして過ごす訳にはいかないし。そろそろ切り出してみないとなぁ。あっちは話す気なんかサラサラないようだし。二人だけの時は、立ち場関係無く敬語も使わずお互いに異世界転移者同士として話し合いたい、そうリアンに申し出て。王子の許可も頂いちまってるんだ。今更逃げる訳にもいかねーもんな。
「……な、なぁ?」
「何です?」
こっちが思い切り勇気出して話し掛けてんのにそりゃないぜ。そんな、あからさまに嫌そうな顔せんでもさ。でもまぁ、弟を礼儀正しくして他人行儀にしたら、こんな感じになるかな。
「この間は、御免」
「何の事です?」
「ほら、せっかく忠告しようとしてくれたのに、勝手に判断した挙句異界に……」
「もう済んだ事です」
バッサリかぁ。どうしようかな、やっぱりコイツ苦手だ。突破口が全然視えてこねーや。
「ははは、二人だけの時はさ、立ち場とか敬語とかも無しだ。同じ異世界転移者同士、色々話そうよ。許可は取ってあるしさ。もしかしたら俺よりも年上かな? 俺、二十歳になったばかりなんだ」
話している内に、眉間に皺が寄せられていく。『話しかけんな、空気読め』て感じだよなぁ。
「二十一歳、以上」
すげなく一言。あー、胃に穴が開きそうだ。ここまで頑なになられるような事、したっけかなー。
「そっか。俺より一個上、先輩だね」
「言っておくが、お前の事は最初から虫が好かん。だから如何に上に命令されようが、お前と個人的に親しくするつもりは毛頭も無い。仕事の時はいくらでも割り切るがな。だから甚だ迷惑だ。この場にいるのも堪えがたい」
一度も目を合わせる事もなく憮然として言い切った。うわぁ、やっぱり俺の事嫌いだってさ。これは、サイラスの時みたいには行かないぞ。全くもって解決の糸口が見えねー。せめて俺のどこが気に食わないのかその理由の一つでも見えてきたらそこから切り込めるんだけど。第一俺自身がコイツを苦手だからなぁ。さーて、どう対応すべきかなぁ……
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