8 / 186
第六話
それって褒められてる? けなされてる?
しおりを挟む
「えーと、あの……これはどういう……?」
俺に抱きついておいおい泣いている王子に、ハンカチで目元を抑えさめざめと泣いている眼鏡野郎(いや本当は動揺しない守護者らしいんだけどな)に、遠慮がちに声をかける。いやだって俺には二人がそこまで泣いてくれる(のかな?)理由、知る権利あると思うからさ。
「あ、これは失礼! では順を追って説明致しましょう」
リアンはすぐに反応。素早くハンカチを畳んで胸のポケットにしまいこみ、眼鏡をかけなおした。あ、いつもの澄ました眼鏡野郎に戻ったぞ。まさに動揺しない守護者だ。続いて王子はクスン、ヒックと鼻を鳴らしながら静かに俺から離れると、右手で涙を拭った。あぁ、泣いてる王子もまた可愛らしい……
「御免ね。思わず感情が吹き出ちゃって」
と眩しそうに俺を見つめる。あー、今の王子は深いルビーレッドの瞳だ。普段は青みがかっているほど澄んだ白目の部分が今は薄っすらと紅い。俺の為に泣いてくれた、その事実が深い喜びとなって胸に響く。少し顔を乗り出せば桃の花びらみたいな唇にキス出来そうな距離。薔薇とバニラを混ぜたような甘い香りが俺の本能をかき乱す。あの唇に吸い付いたら、どんな味がするだろう……メープルシロップとか練乳ミルクみたいに濃厚な甘さが……じゃねーよ俺!!! ほら、返事! 落ち着いて質問するんだ!
「いいえ、とんでもないです。……自分は、『異世界転移』なんですね。じゃぁ、元の世界からそのままここに来た事になりますか?」
王子は、寝ている俺の左脇腹あたりに両足を投げ出すようにして座り直した。普通ならお行儀悪く見えそうな体勢も、王子がやると何だか気品溢れて見える。宝塚の男役の人が着てそうな、ボタン部分にフリフリがついた長袖ブラウスにパール調の紺色のパンツ姿が、野生の猫を思わせるしなやかな体つきを容易に想像させる……て変態か俺! しっかりしろ!
「ええ、そのようです。何故にこちらの世界に来たのかは謎ですが。あちらの世界では忽然と姿を消した、と騒ぎになっているようです」
そうだ! そこ重要じゃねーか! 危うく流すとこだったぜ。
「事件扱いになってる、て事ですか?」
「まぁ、そうですね。弟君の誕生日のお祝いに、御実家に帰るお約束をされていましたね?」
「あぁ、そう言えば……」
そうだった。俺と弟は誕生日が三日しか違わないんだな。それで三日後の弟に合わせて兄弟一緒に祝うってのが我が家のしきたりで。でも、結局メインは弟だし、てんで。大学に入ってからは「行けたらいくよ」てスタイルにしてたんだが……連絡もしなかったからそこで俺が居なくなった事に気付いたのか。
「こちらでも、あちらの世界のニュースは見る事は可能ですし、インターネットであちらの世界に繋ぐ事も出来ますから。体調が安定したらご覧になってみては如何ですか? こちらの世界に来て日が浅いですから、時空の歪に体が慣れるまで少し体調を崩しやすいと思いますが、徐々に安定するでしょう」
あぁ、時空の歪とかよく分から無いけど、やっぱり異世界酔いみたいな感じか……て何? あっちの世界のニュース? インターネット?
「ここから、あちらの世界のテレビやインターネットを見たり出来るんですか?」
「ええ。エターナル王家の特権ですね。特別なパスワードが必要で、こちらからコンタクトを取ったりSNSに書き込んだりするのは王の許可がいりますから滅多に出来ませんがね。少しずつこの世界の仕組みについてお教えして参りますが、取りあえずはここエターナル王家がこの世界でのトップである事を覚えておいてください」
「あ、はい……」
何となく雰囲気で感覚は掴めた。だけどハッキリとは分からん。これがもし弟の光希だったら、一を聞いて十を知る、て瞬時に理解しちゃうんだろうけど。て感じでまぁ、光希がいるし、出来損ないの俺なんか居なくても父ちゃんも母ちゃんも、誰も困らないだろうな。居たってどうせ弟の引き立て役でしかねーしな。すぐ、忘れられちゃうさ。
「でもさ、本当によく頑張ってきたよね。偉かったよ。ここではそんな思い、させないからね!」
王子は気の毒そうに俺を見る。何の事だ? 今の王子の瞳は、黄昏時の夕闇みたいな紫色だ。
「ええ、さすがの私も気の毒に思いましたし、外見に寄らず器の大きな御方だと深く感じ入りましたね」
ほら、リアンまで。何の事さ? それに外見によらずって……そりゃ、王子や光希に比べたらアレだけど、普通にみたら俺だって美形の類だぞ!
「えーと、何の事でしょう?」
「あー君はなんて慈悲深いんだ!」
王子は感極まったようにそう言って俺の胸に顔を埋めた。こんな風に甘えられるのも、悪くないな。
「ご自身で気づかれていないのですか? 極めて優秀な弟さんに比較され、蔑まれてお育ちになったのにひねくれずひたすら真っすぐに生きてこられた」
「あ……え?」
そんな事??? 別に普通じゃね? 卑屈になったって、影で死に物狂いで努力したって弟みたいになれなかったし。それで弟恨んだら逆恨みやん。そんな情けない男にはなりたくねーし。
「ここに来る前なんか、君の作品を盗作した奴が受賞したじゃないか。それを恨む事なく、自分も軽率だったし、そいつだったから受賞出来たんだ、とかすぐ許したりさ。なかなかそんな事思えるもんじゃないよ」
王子は俺の胸にすがりながら上目遣いで見つめる。夕闇色の瞳に、いっぱいの涙を湛えて。なんだか守ってやりたい、そんな気分になる。
「ええ、同感です。優秀過ぎる弟の元、よくぞ純粋に思いやり深く育ってこられましたな。悪事を働いた仲間まで許し、祝福してやるとは見上げたものです」
リアンは眼鏡のエッジに右人差し指を当てながら言った。心なしか、ハシバミ色の瞳が潤んでいるような……?
「あ、いいえ。恨んでも怒ってみても自分が優秀になれる訳ではないので。それなら現実を受け入れて開き直る方が俺自身が楽だったから、そうしてきただけですよ。そんな凄い事じゃないです」
自嘲気味に答えた。これは本心さ。
「偉いなぁ」
とまた泣き出す王子。
「ええ、本当に……」
とリアンは眼鏡を外し、懐から再びハンカチを取り出して目元を抑えた。なんだかなぁ、そんな事で感動してたのか。それって別に普通の事じゃね? 偉くもなんともねーし。褒められてるのかけなされてるのか分からんほど些細な事だったなぁ。何だ、そんな事か。てっきり、俺にも気づかなかった類稀な能力でも見つかったのかと思った。ラノベみたくはいかねーか。異世界でも、「ムササビの五能」のまんまかな……。
俺に抱きついておいおい泣いている王子に、ハンカチで目元を抑えさめざめと泣いている眼鏡野郎(いや本当は動揺しない守護者らしいんだけどな)に、遠慮がちに声をかける。いやだって俺には二人がそこまで泣いてくれる(のかな?)理由、知る権利あると思うからさ。
「あ、これは失礼! では順を追って説明致しましょう」
リアンはすぐに反応。素早くハンカチを畳んで胸のポケットにしまいこみ、眼鏡をかけなおした。あ、いつもの澄ました眼鏡野郎に戻ったぞ。まさに動揺しない守護者だ。続いて王子はクスン、ヒックと鼻を鳴らしながら静かに俺から離れると、右手で涙を拭った。あぁ、泣いてる王子もまた可愛らしい……
「御免ね。思わず感情が吹き出ちゃって」
と眩しそうに俺を見つめる。あー、今の王子は深いルビーレッドの瞳だ。普段は青みがかっているほど澄んだ白目の部分が今は薄っすらと紅い。俺の為に泣いてくれた、その事実が深い喜びとなって胸に響く。少し顔を乗り出せば桃の花びらみたいな唇にキス出来そうな距離。薔薇とバニラを混ぜたような甘い香りが俺の本能をかき乱す。あの唇に吸い付いたら、どんな味がするだろう……メープルシロップとか練乳ミルクみたいに濃厚な甘さが……じゃねーよ俺!!! ほら、返事! 落ち着いて質問するんだ!
「いいえ、とんでもないです。……自分は、『異世界転移』なんですね。じゃぁ、元の世界からそのままここに来た事になりますか?」
王子は、寝ている俺の左脇腹あたりに両足を投げ出すようにして座り直した。普通ならお行儀悪く見えそうな体勢も、王子がやると何だか気品溢れて見える。宝塚の男役の人が着てそうな、ボタン部分にフリフリがついた長袖ブラウスにパール調の紺色のパンツ姿が、野生の猫を思わせるしなやかな体つきを容易に想像させる……て変態か俺! しっかりしろ!
「ええ、そのようです。何故にこちらの世界に来たのかは謎ですが。あちらの世界では忽然と姿を消した、と騒ぎになっているようです」
そうだ! そこ重要じゃねーか! 危うく流すとこだったぜ。
「事件扱いになってる、て事ですか?」
「まぁ、そうですね。弟君の誕生日のお祝いに、御実家に帰るお約束をされていましたね?」
「あぁ、そう言えば……」
そうだった。俺と弟は誕生日が三日しか違わないんだな。それで三日後の弟に合わせて兄弟一緒に祝うってのが我が家のしきたりで。でも、結局メインは弟だし、てんで。大学に入ってからは「行けたらいくよ」てスタイルにしてたんだが……連絡もしなかったからそこで俺が居なくなった事に気付いたのか。
「こちらでも、あちらの世界のニュースは見る事は可能ですし、インターネットであちらの世界に繋ぐ事も出来ますから。体調が安定したらご覧になってみては如何ですか? こちらの世界に来て日が浅いですから、時空の歪に体が慣れるまで少し体調を崩しやすいと思いますが、徐々に安定するでしょう」
あぁ、時空の歪とかよく分から無いけど、やっぱり異世界酔いみたいな感じか……て何? あっちの世界のニュース? インターネット?
「ここから、あちらの世界のテレビやインターネットを見たり出来るんですか?」
「ええ。エターナル王家の特権ですね。特別なパスワードが必要で、こちらからコンタクトを取ったりSNSに書き込んだりするのは王の許可がいりますから滅多に出来ませんがね。少しずつこの世界の仕組みについてお教えして参りますが、取りあえずはここエターナル王家がこの世界でのトップである事を覚えておいてください」
「あ、はい……」
何となく雰囲気で感覚は掴めた。だけどハッキリとは分からん。これがもし弟の光希だったら、一を聞いて十を知る、て瞬時に理解しちゃうんだろうけど。て感じでまぁ、光希がいるし、出来損ないの俺なんか居なくても父ちゃんも母ちゃんも、誰も困らないだろうな。居たってどうせ弟の引き立て役でしかねーしな。すぐ、忘れられちゃうさ。
「でもさ、本当によく頑張ってきたよね。偉かったよ。ここではそんな思い、させないからね!」
王子は気の毒そうに俺を見る。何の事だ? 今の王子の瞳は、黄昏時の夕闇みたいな紫色だ。
「ええ、さすがの私も気の毒に思いましたし、外見に寄らず器の大きな御方だと深く感じ入りましたね」
ほら、リアンまで。何の事さ? それに外見によらずって……そりゃ、王子や光希に比べたらアレだけど、普通にみたら俺だって美形の類だぞ!
「えーと、何の事でしょう?」
「あー君はなんて慈悲深いんだ!」
王子は感極まったようにそう言って俺の胸に顔を埋めた。こんな風に甘えられるのも、悪くないな。
「ご自身で気づかれていないのですか? 極めて優秀な弟さんに比較され、蔑まれてお育ちになったのにひねくれずひたすら真っすぐに生きてこられた」
「あ……え?」
そんな事??? 別に普通じゃね? 卑屈になったって、影で死に物狂いで努力したって弟みたいになれなかったし。それで弟恨んだら逆恨みやん。そんな情けない男にはなりたくねーし。
「ここに来る前なんか、君の作品を盗作した奴が受賞したじゃないか。それを恨む事なく、自分も軽率だったし、そいつだったから受賞出来たんだ、とかすぐ許したりさ。なかなかそんな事思えるもんじゃないよ」
王子は俺の胸にすがりながら上目遣いで見つめる。夕闇色の瞳に、いっぱいの涙を湛えて。なんだか守ってやりたい、そんな気分になる。
「ええ、同感です。優秀過ぎる弟の元、よくぞ純粋に思いやり深く育ってこられましたな。悪事を働いた仲間まで許し、祝福してやるとは見上げたものです」
リアンは眼鏡のエッジに右人差し指を当てながら言った。心なしか、ハシバミ色の瞳が潤んでいるような……?
「あ、いいえ。恨んでも怒ってみても自分が優秀になれる訳ではないので。それなら現実を受け入れて開き直る方が俺自身が楽だったから、そうしてきただけですよ。そんな凄い事じゃないです」
自嘲気味に答えた。これは本心さ。
「偉いなぁ」
とまた泣き出す王子。
「ええ、本当に……」
とリアンは眼鏡を外し、懐から再びハンカチを取り出して目元を抑えた。なんだかなぁ、そんな事で感動してたのか。それって別に普通の事じゃね? 偉くもなんともねーし。褒められてるのかけなされてるのか分からんほど些細な事だったなぁ。何だ、そんな事か。てっきり、俺にも気づかなかった類稀な能力でも見つかったのかと思った。ラノベみたくはいかねーか。異世界でも、「ムササビの五能」のまんまかな……。
37
お気に入りに追加
605
あなたにおすすめの小説
某国の皇子、冒険者となる
くー
BL
俺が転生したのは、とある帝国という国の皇子だった。
転生してから10年、19歳になった俺は、兄の反対を無視して従者とともに城を抜け出すことにした。
俺の本当の望み、冒険者になる夢を叶えるために……
異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。
主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。
※ BL要素は控えめです。
2020年1月30日(木)完結しました。

ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
勇者召喚に巻き込まれて追放されたのに、どうして王子のお前がついてくる。
イコ
BL
魔族と戦争を繰り広げている王国は、人材不足のために勇者召喚を行なった。
力ある勇者たちは優遇され、巻き込まれた主人公は追放される。
だが、そんな主人公に優しく声をかけてくれたのは、召喚した側の第五王子様だった。
イケメンの王子様の領地で一緒に領地経営? えっ、男女どっちでも結婚ができる?
頼りになる俺を手放したくないから結婚してほしい?
俺、男と結婚するのか?


主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.

物語なんかじゃない
mahiro
BL
あの日、俺は知った。
俺は彼等に良いように使われ、用が済んだら捨てられる存在であると。
それから数百年後。
俺は転生し、ひとり旅に出ていた。
あてもなくただ、村を点々とする毎日であったのだが、とある人物に遭遇しその日々が変わることとなり………?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる