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第五話
さて、俺は異世界転生か転移なのか? 結果は如何に?
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こんな広い部屋に一人か……。そういや体調がどうの、て王子もリアンも言ってたけど、単なる二日酔いだよなぁ。異世界に来て環境変わったから知恵熱みたいなもんかもな。時折軽い咳が出て、少し怠い感じするけど。これはきっと寝過ぎによるものと見た。そろそろ起きて部屋の中見て回るくらい、いいよな? そうだ! 携帯はどうしたかな? まさかあってもここじゃ圏外だろうけどさ。
と言う事で、ベッドからおりてみる事にした。起き上がってみて改めて感じる。このベッド、大人四人は余裕で寝れそうな広さだって。何となくだけど少し頭がクラクラしているような……。どれだけ寝てたんだろう? 時間経過とかやっぱり異世界だから違うのかな。そういえば、ここの食べ物とかどんな感じなんだろう?
「あれ?」
そして草色の浴衣……ほら、旅館とかで出される簡易式の感じの……着替えさせられていた。誰が着替えさせたのかは知らないけど、何だかちょっと恥ずかしい気がした。ベッドからおりてみる。広い部屋だ。二十畳くらいあるかな。よく見ると、ベッドの下にミントグリーン色のスリッパが二足揃えられている。これを履け、て事か。履き心地良いな。きっと良い素材で出来てるんだろうな。床はワインカラーの絨毯が敷き詰められている。これ、部屋の掃除とか大変そうだ。
ベッドは壁にピタリとつけられて置かれ、左奥にダークブラウンの扉がある。左右はガラス張り……まぁ、窓だろうな。レースのカーテンが閉められているし、左右には深緑色のカーテンが留められているから。因みに壁は桜色、て感じだな。殆ど白に近いピンク色だ。
上を見上げてみる。天井も高いや。部屋の真ん中に大きくてゴージャスなシャンデリアがついてる。ほら、やっぱりシャンデリアだよな。立ち上がって、シャンデリアがどんな感じなのか見てみよう。あれ? 何だかフラフラするような……。寝過ぎて平衡感覚がおかしくなっているのかな。
思わずもう一度ベッドに座り込んじまった。なんだかなー。まさかリハビリが必要なほど寝込んでた訳じゃねーだろうなぁ? あれか? 異世界だから時間経過が竜宮城みたいな感じで人間界での一日が十年単位とかさ。まさかな。もう一度立ってみよう。駄目だ、天井と床がひっくり返ったみたいにグルグル回っている。何だよ、これ。異世界酔い、みたいなやつかな? 今即席で作ってみたんだけどさ。シャンデリアがどうなっているのか見るくらい良いじゃん。
ベッドに右手をついて屈んでいる俺。もうお一度チャレンジだ! その時、ゲホッゴホゴホッゴホッ……急に胸の奥から込み上げるように咳が出始めた。ゴホッゴホゲホッ……何で? 苦しい、咳が止まらない! 右手で口元を抑え、左手で胸を掻きむしった。そのまま床に屈みこむ。
ゴホッゴホゲホゲホッ……苦しい……助けて、王子……。息を吸う事も吐く事も出来なくてどうしようもなくなった俺は、その時王子の顔が思い浮かんだ。俺……まさか病気なんか? 異世界で? 王子……
トントントン、と扉を叩く音。王子かも知れない。返事をしたくても咳が止まらなくて苦しくて何も出来ない。
「僕だよ、入るね」
あぁ……王子だ、このまま彼の腕の中で逝けるなら、それもいいかな……
「あ! 惟光?!」
「どうしました?」
なんだ、リアンも一緒か。駄目だ酸欠だ……目の前が白濁して来た。
「大丈夫かい?」
ガシッと両肩を支えられた。何となく分かる。薄っすらと見える輝く黄金色の髪。24金の色……。王子が背中を叩いてくれている。苦しいけど、何だか幸せだ。段々感覚が麻痺してきた。もしかして俺、どМに目覚めたのかな……。
「失礼」
リアンの冷たい声と同時に、体が浮かびあがった。あ、リアンに抱き抱えられてる。お姫様抱っこって奴だ。何だか情けないな。そのままベッドに寝かせられた。
「これを口に咥えて下さい」
有無を言わさず、何かを咥えさせられる。プラスチック製の……小さな笛? 何だろう。込み上げる咳で上手く咥えられないけど、リアンが無理矢理口の中に入れている。
「そのままそれを吸うようにゆっくりと吸って」
あぁ、分かった。喘息の吸入薬みたいなやつだ。だってほら、数回吸っただけで随分呼吸が楽になって、咳もおさまって来たもの。同時に、酸素が脳に行き渡り、視界も徐々にクリアになっていく。
「良かった。もう大丈夫だ」
リアンが吸入薬を外し、王子が嬉しそうに笑顔を向けた。深いロイヤルブルーの瞳に見惚れる。
「まだ起きたりして無理したら駄目だよ」
「すみません……」
何だか叱られた子供みたいな気分だ。王子になら、叱られてもいいかな。フルートみたいな心地良い癒しの声にうっとりする。もう、体は平気だ。
「勝手に起きて倒れられても困りますからね。偶然、私たちが来たから良かったものの。あなたに転生なのか転移なのか、そして調査結果をお伝えに参りました」
えっ? もう調べたのか? はやっ!
「……そうですか。それで、自分は……」
ドクンドクンと鼓動が弾んだ。転生か? 転移か? そして王子の傍にいられるのか? 今明らかになるんだ。
「惟光! 今まで辛かったね! 頑張ったね!」
王子はいきなり涙声で俺に抱きついて来た。え? 何が、どうしたって? リアンがまた眼鏡のエッジに右手人差し指を当てた。そして厳かに口を開いた。
「まずは転移のようです。あなたが元居た世界では、行方不明事件としてちょっとした騒ぎになっているようですね。続いてあなた生い立ちを調べさせて頂きました」
ツンと澄ました顔で淡々と説明した。そして眼鏡を取る。え? 何でいきなり? ハシバミ色の切れ長の瞳が潤んでる?
「よく、頑張ってきましたね」
驚いた事に、リアンまで白いハンカチで目元を拭ってるじゃないか! 王子は俺に抱きついてしゃくりあげているし。一体、何がどうなっているんだ? それに、え? え? 行方不明事件??
と言う事で、ベッドからおりてみる事にした。起き上がってみて改めて感じる。このベッド、大人四人は余裕で寝れそうな広さだって。何となくだけど少し頭がクラクラしているような……。どれだけ寝てたんだろう? 時間経過とかやっぱり異世界だから違うのかな。そういえば、ここの食べ物とかどんな感じなんだろう?
「あれ?」
そして草色の浴衣……ほら、旅館とかで出される簡易式の感じの……着替えさせられていた。誰が着替えさせたのかは知らないけど、何だかちょっと恥ずかしい気がした。ベッドからおりてみる。広い部屋だ。二十畳くらいあるかな。よく見ると、ベッドの下にミントグリーン色のスリッパが二足揃えられている。これを履け、て事か。履き心地良いな。きっと良い素材で出来てるんだろうな。床はワインカラーの絨毯が敷き詰められている。これ、部屋の掃除とか大変そうだ。
ベッドは壁にピタリとつけられて置かれ、左奥にダークブラウンの扉がある。左右はガラス張り……まぁ、窓だろうな。レースのカーテンが閉められているし、左右には深緑色のカーテンが留められているから。因みに壁は桜色、て感じだな。殆ど白に近いピンク色だ。
上を見上げてみる。天井も高いや。部屋の真ん中に大きくてゴージャスなシャンデリアがついてる。ほら、やっぱりシャンデリアだよな。立ち上がって、シャンデリアがどんな感じなのか見てみよう。あれ? 何だかフラフラするような……。寝過ぎて平衡感覚がおかしくなっているのかな。
思わずもう一度ベッドに座り込んじまった。なんだかなー。まさかリハビリが必要なほど寝込んでた訳じゃねーだろうなぁ? あれか? 異世界だから時間経過が竜宮城みたいな感じで人間界での一日が十年単位とかさ。まさかな。もう一度立ってみよう。駄目だ、天井と床がひっくり返ったみたいにグルグル回っている。何だよ、これ。異世界酔い、みたいなやつかな? 今即席で作ってみたんだけどさ。シャンデリアがどうなっているのか見るくらい良いじゃん。
ベッドに右手をついて屈んでいる俺。もうお一度チャレンジだ! その時、ゲホッゴホゴホッゴホッ……急に胸の奥から込み上げるように咳が出始めた。ゴホッゴホゲホッ……何で? 苦しい、咳が止まらない! 右手で口元を抑え、左手で胸を掻きむしった。そのまま床に屈みこむ。
ゴホッゴホゲホゲホッ……苦しい……助けて、王子……。息を吸う事も吐く事も出来なくてどうしようもなくなった俺は、その時王子の顔が思い浮かんだ。俺……まさか病気なんか? 異世界で? 王子……
トントントン、と扉を叩く音。王子かも知れない。返事をしたくても咳が止まらなくて苦しくて何も出来ない。
「僕だよ、入るね」
あぁ……王子だ、このまま彼の腕の中で逝けるなら、それもいいかな……
「あ! 惟光?!」
「どうしました?」
なんだ、リアンも一緒か。駄目だ酸欠だ……目の前が白濁して来た。
「大丈夫かい?」
ガシッと両肩を支えられた。何となく分かる。薄っすらと見える輝く黄金色の髪。24金の色……。王子が背中を叩いてくれている。苦しいけど、何だか幸せだ。段々感覚が麻痺してきた。もしかして俺、どМに目覚めたのかな……。
「失礼」
リアンの冷たい声と同時に、体が浮かびあがった。あ、リアンに抱き抱えられてる。お姫様抱っこって奴だ。何だか情けないな。そのままベッドに寝かせられた。
「これを口に咥えて下さい」
有無を言わさず、何かを咥えさせられる。プラスチック製の……小さな笛? 何だろう。込み上げる咳で上手く咥えられないけど、リアンが無理矢理口の中に入れている。
「そのままそれを吸うようにゆっくりと吸って」
あぁ、分かった。喘息の吸入薬みたいなやつだ。だってほら、数回吸っただけで随分呼吸が楽になって、咳もおさまって来たもの。同時に、酸素が脳に行き渡り、視界も徐々にクリアになっていく。
「良かった。もう大丈夫だ」
リアンが吸入薬を外し、王子が嬉しそうに笑顔を向けた。深いロイヤルブルーの瞳に見惚れる。
「まだ起きたりして無理したら駄目だよ」
「すみません……」
何だか叱られた子供みたいな気分だ。王子になら、叱られてもいいかな。フルートみたいな心地良い癒しの声にうっとりする。もう、体は平気だ。
「勝手に起きて倒れられても困りますからね。偶然、私たちが来たから良かったものの。あなたに転生なのか転移なのか、そして調査結果をお伝えに参りました」
えっ? もう調べたのか? はやっ!
「……そうですか。それで、自分は……」
ドクンドクンと鼓動が弾んだ。転生か? 転移か? そして王子の傍にいられるのか? 今明らかになるんだ。
「惟光! 今まで辛かったね! 頑張ったね!」
王子はいきなり涙声で俺に抱きついて来た。え? 何が、どうしたって? リアンがまた眼鏡のエッジに右手人差し指を当てた。そして厳かに口を開いた。
「まずは転移のようです。あなたが元居た世界では、行方不明事件としてちょっとした騒ぎになっているようですね。続いてあなた生い立ちを調べさせて頂きました」
ツンと澄ました顔で淡々と説明した。そして眼鏡を取る。え? 何でいきなり? ハシバミ色の切れ長の瞳が潤んでる?
「よく、頑張ってきましたね」
驚いた事に、リアンまで白いハンカチで目元を拭ってるじゃないか! 王子は俺に抱きついてしゃくりあげているし。一体、何がどうなっているんだ? それに、え? え? 行方不明事件??
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