王子の僕が女体化して英雄の嫁にならないと国が滅ぶ!?

蒼宮ここの

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第53話 ジャオの家で

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グズグズと僕が鼻を啜る音だけが響く。
いつまでもこうしていたって、ジャオとミヤビさんを困らせるだけだ。

父上から強姦されかけて逃げ出してきた。真夜中にジャオの家に駆け込んで、小一時間こうして泣きじゃくって……なかなか事情を話し出せないでいる。
迷惑だろうに、ミヤビさんはずっと背中を摩ってくれている。ジャオは手を握ってくれている。二人の体温が、冷えきった身体をずいぶんと温めてくれた。

「あの、僕‪……‬」
「無理に話さなくていいわ」

遮ったのはミヤビさんだ。彼女は僕の告白が僕と‪……‬ジャオを傷つけるものだと、勘付いているのだろう。だけどこんなに時間を取らせてしまって何も話さないでいるのも心苦しい。僕は小さくかぶりを振って続けた。

「父上に‪……‬乱暴、されて」

手を握ってくれているジャオの力が強くなる。胸が、締め付けられる。

「大丈夫、たいした事はされてない。トルテが助けてくれたんだ」
「ああ‪……‬」

ジャオが吐息混じりの声に万感の思いを滲ませた。トルテの名前は出さないようにと頼まれていたが、やむを得ない。

「たいした事はないと言っても‪……‬つらかったでしょう。実の父親にそんなことを‪……‬ひどいわ」

抱き寄せてくれたミヤビさんは震えていた。女人はこういう時のつらさを共感できるから、自分のことのように悲しんでくれる。
強くて大きな男に組み敷かれたら女はもう抵抗できない。産まれた時からそう宿命づけられている。いかにそれを避けて穏やかに生きるか、女たちは日々静かに闘っているのだ。

「僕が迂闊だったんです‪……‬父上は敵だと、分かっていたのに‪……‬」
「私たちも浮かれていたわ‪……‬あなた達が一緒に暮らせることになって、敵の思惑が‪、見えていなかった‪……‬」
「思惑‪……‬‪……‬」

そうだ、まだ話さなければいけないことがあったんだ。

「父上は、自分の子を僕に孕ませようと‪……‬魔力を持つ後継ぎに固執しているようで‪……‬」
「まあ‪……‬なんて穢らわしい‪……!‬」

ミヤビさんはもう完全に僕を抱き込んで頭を撫でてくれている。小さな赤子に戻ったようだ。母親の温もり、安心する‪……‬ミヤビさんの子に産まれたら、どんなによかっただろう‪……‬。

「血の繋がった子どもにそんなことを望むなんて、もうあの男は人間ではないわ‪……!‬」
「血は‪……‬繋がっていないようです‪……‬」
「え‪……‬!?」

口に出すと他人事のようでなんだか現実感がない。ミヤビさんの胸の中で虚無になりながら、続ける。

「僕は拾い子で、父上とも、母上とも血は繋がっていない‪……‬王子では、なかったんです‪……‬」
「そんな‪……‬ベルくん‪……‬ベルくん‪……‬っ」

ミヤビさんの腕の力が強くなる。僕の頬がミヤビさんの涙で濡れる。それに乗じて僕ももう一度泣いた。一気にいろんなことがありすぎた。正直まだ受け止められている気がしない、だからこうして一緒になって悲しんだり、驚いてくれるミヤビさんの存在が今はただありがたい。
ジャオの手の力もどんどん強くなる。痛いほどのこの怒りも、僕のためだと、僕に代わってのものだと思うといくらか救われる。

「ミヤビ‪……‬?」

奥からジャオの父親が起きてくる。ミヤビさんと一緒になって泣いている僕を見るとハッと畏まった。

「ベル様‪……‬」
「すみません、こんな夜中に」
「いいんです。ここはあなたの家も同然です」

そんなこと、言ってもらえると思わなかった。
彼は事情を何も聞かず、なぜか外に出る身支度を始める。寝巻きにコートを羽織って帽子を被れば、いつもと変わりない、とても寝起きとは思えない立派な英雄が出来上がった。

「城の方々には居所を教えても?」
「あ、はい‪……‬母上は心配してくれているかと‪……‬」
「あなたのご無事だけ伝えて参ります。‪……好きなだけここに居なさい」

そう言って慌ただしく出て行ってしまった。
彼はいつも僕に敬語を使っていたのに、今日は‪……‬‪……‬ほんとうの家族、みたいだった。『好きなだけここに居なさい』大人が子どもに選択を委ねる言葉だ。自分たちはどれだけでも受け入れてあげるからと‪……‬伝えてくれているようだった‪……‬。

「僕、ここの家の子になりたい‪……‬」
「いいわ。すぐにでもなりなさい。今から私の娘よ! もうどこにもやらない!」
「ミヤビさんん~‪……‬」

こんなメソメソしているところ、国民には見せられない。僕はもう王子ではないけれど‪……‬現状、王子ということになっている。もしまた皆の前に出られる機会があるならば、毅然とした態度でいないと。
そのために今、泣く。甘やかしてもらう。無償の愛を注いでくれるこの人たちを、僕は家族と呼びたい。
もう何度目かのミヤビさんの熱い抱擁を受けながら、ジャオのほうを見る。ジャオは僕を見ていなかった。何かを悔いるように、俯いて‪……‬静かに、唇を噛んでいた。




それから僕は風呂を借りて、父上に乱暴された痕跡を完全に消した。
湯にあたるくらいで消えてしまう程度で、よかった‪……‬‪……‬。

目を閉じて思い返す。掘り起こしたくない記憶だが、僕には気掛かりが二つあった。
まずはトルテの身の安全だ。自分が傷つきながらも僕をここまで導いてくれた、そして前後不覚になった僕をジャオのもとへ‪……‬感謝してもしきれない。父上に拾い子だと言われて絶望した時も、僕を目覚めさせてくれたのはトルテだ。あのまま父上に身を任せていたら今頃、僕は‪……‬あの化け物のような男の子どもを孕まされていただろう。
最悪の未来を防いでくれたトルテ。だからこそ僕の身代わりになって傷ついた。今はもう彼女の傷も癒えているだろうか。父上に捕まったりしていないか。心配だ。

そして次にこれもまたトルテに関することなのだが、あの時‪……‬いとも簡単に父上にやられてしまったトルテが、僕には不思議でならなかった。
なぜ、あんなことになってしまったのか。トルテは父上より何倍も大きな怪鳥さえ一瞬で地に落とす、全知全能の精霊のはずだ。一体何があったのだろう‪……‬やはり、父上の魔力が強大だから?
いや、精霊が人間に魔力で劣るはずはない‪……‬きっと別の理由だ。父上にはまだ隠された力があるとでもいうのか。考えれば考えるほどに恐ろしい。そんな敵に僕が勝てるのか。
父上に支配される恐怖‪……‬全裸で組み敷かれて身体を舐められた感触まで蘇ってきて、激しくかぶりを振る。これはもう忘れろ。忘れていい。あんな男、父でもなんでもなかったのだから‪……‬‪……‬。

父、上‪……‬‪……‬。

「ウッ‪……‬」

あんな人でも、僕は尊敬していた‪……‬だって僕の父上だし‪……‬王として国をまとめ上げている、立派な人だと‪……‬幼い頃は父上に憧れていた。自分もあんなふうに強く逞しくなって、この国を父上と同じように治めたいと‪……‬思って‪……‬。


――――拾い子だ



「ハア‪……‬ハア‪……‬うぐッ‪……‬」


拾い子‪……‬僕は‪……‬一体‪……‬‪……‬何者なんだ‪……‬‪……‬?


「ベル。大丈夫か‪……‬?」

静かに浴室の扉が開く。ジャオが心配そうに覗き込んだ。僕は濡れた頬を隠すように、湯で顔を洗って浴槽から出る。ジャオがバスタオルを広げて待ち構えているところに歩み寄ると、包んで抱き締めてくれた。
ずっと待っててくれたんだ‪……‬ジャオ‪……‬。

「風邪を引くといけないから、すぐ服を着ろ」
「うん‪……‬ありがとう」

ジャオが身体を拭いてくれる。いつもだったらイタズラの一つでもしてくるのだが、今日は淡々と僕の着替えを手伝ってくれるだけだ。男に襲われたばかりの僕を、気遣ってくれてるのだろう。
寝支度を済ませて僕はジャオの部屋に連れて行かれる。彼の部屋で一番の存在感を放つ本棚には何やらギッシリと分厚い本が詰まっていて意外だったが、部屋が暗くて内容はよくわからなかった。あとは極めて簡素な、何もない部屋だった。
かろうじて存在する隅のベッドまで手を引かれて、上に乗った。ジャオが抱っこしてくれて、あれよあれよと言う間に布団の中の、ジャオの胸の中に後ろ抱きで収まった。

「もう大丈夫だぞ。ゆっくり休め」
「うん‪……‬」

ここなら絶対に安全だと思える。ジャオの腕の中なら、何があっても‪……‬守ってもらえる。
稽古をつけてもらっていた時が嘘のようだ。確かにあの時は持っていたはずの、男としてのプライドは、いつの間にかどこかにいってしまった。今はただひたすら、ジャオにもたれている。
僕が女人として、女人だからこそ、手に入れられる強さはあるだろうか。ジャオに守ってもらうだけの価値がある人間に‪……‬‪……‬。

「ジャオ?」
「ん?」

呼ぶと、抱き締めたまま耳元に頬擦りされる。ゾク、小さく震える。
どうしよう。僕、ジャオの家なのに‪……‬ジャオが気を遣ってくれているのに‪……‬どうして、今こんなにも‪……‬‪……‬。

「シたい‪……‬‪……‬」

漏れてしまった呟きに応えるように、下腹がキュンと疼く。ジャオは抱擁を解いて僕を自分のほうに向かせた。まじまじと顔を見つめてくる。僕の真意を探っているみたいだ。

「‪……‬本気か?」
「ごめん‪……‬でも、父上の舌の感触がまだ、身体に‪……‬このままじゃ、眠れない‪……‬‪……‬」

半分は本当だけど半分は嘘だ。忘れたいという願い、前に進みたいという気持ちの半々だった。ジャオとスることがなぜ前に進むことに繋がるのか、自分でもよくわからない。けれど、とても大事なことのような気がする。
甘えてしなだれかかると、ジャオが首筋に唇を埋めてそこにキスしてくれる。

「ベル、俺が触って余計なことを思い出さないか? つらくはないのか‪……‬?」
「うん。ジャオなら平気。ジャオの匂い好き、落ち着く」

僕も同じようにジャオの首筋に鼻を埋めて深く呼吸した。舌をまわしてそこを舐める。ビクン、とジャオが反応してくれるのが嬉しい。

「お願い、絶対に声出さないから‪……‬挿れて‪……‬」

耳元に直接囁きかける。ハアと吐息をかけて耳腔をぴちゃぴちゃと舐めしゃぶり、全身全霊で誘惑する。徐々にジャオの心音が激しくなって体温が上がっていくのを、僕は有り余る幸福の中で感じていた。
ジャオにまだ言えていないことがある。今夜、それをちゃんと伝えたい。

「ジャオ‪……‬ベルもう濡れてるの‪……‬触って」

耐えきれず、だらしない声でそうのたまってジャオの手を己の下着の中に突き入れた。ジャオの指がバラバラと動いて僕の割れ目を探る。いとも簡単に奥まで差し込んで‪……‬下着の中で、クチュクチュとナカへの愛撫が始まる‪……‬。

「きもちいい‪……‬はやく挿れてほしい‪……‬」
「ベル‪……‬ハアッ‪……‬いいんだな‪……‬!?」

こくりと頷いて見せると、ジャオは僕を仰向けにして前をはだけた。手首を掴んでベッドに磔にするように拘束して、露わになった胸を夢中でしゃぶり立てる。父上に無理やり与えられた感触が上書きされていく‪……‬大好きな人の唾液で濡らされて、感じさせられる‪……‬こんなにも、違うなんて‪……‬。

「ハァ、ハァ‪……‬ハァ‪……‬きもちぃ、ジャオ‪……‬」
「ベル‪……‬可愛いぞ‪……‬」

暗闇にジャオの眼が紅く揺蕩う。にやりと笑った時に八重歯が輝く。そのまま深いキスに移行して、数分間たっぷりと僕らは互いの口内で溺れた。

「ハアッ‪……‬ベル、俺の‪を……‬口に挿れてもいいか‪……‬?」
「ウン、きて‪……‬」

“あ”の形で大きく口を開けて待っていると、跨ったジャオの怒張が上から差し込まれた。全長がズルズルと僕の口内を犯して容易に喉奥に到達する。うまく息を逃して、えずかないように。涙目になりながら舌を巻き付ける。

「んふッ、んふッ、んふッ」

絶対に他の部屋に聞こえないように、ジャオにだけ聞かせるようにくぐもった声でピストンのリズムに合わせて喘ぐ。ジャオはすぐに抜き出して割れ目に擦り付けた。その熱さと硬さに、一瞬で骨抜きにされてしまう。

「挿れるぞ‪……‬」
「うんッ‪……‬」

ズプッ‪……‬先端が突き刺さる。歓喜の声を上げたいのを我慢して両手で口を塞いで耐えた。ジャオが腰を入れて奥まで突き入れると、ベッドがギシッ! と鳴った‪……‬‪……‬きっと今の、家中に響いている‪……‬。
僕もジャオもあまりのことに硬直して顔を見合わせる。このまま続けたら絶対にバレる。ジャオはおもむろに上半身を折り曲げて僕に密着する。そして僕の膝の裏に手をまわして抱えるような体勢になった。

「首、掴まれ」
「うん‪……‬?」

言われた通り、ジャオの首に腕をまわす。グラッと身体が揺れた。ジャオが下半身から僕を持ち上げたのだ。そのままベッドの下に降りて激しく揺さぶってくる。なにこれ、なにこれ‪……‬ジャオが立ったまま、僕を抱っこして犯してる‪……‬‪……‬!?
落とされるたびに奥までズブッて挿入ってきて、持ち上げられるとギリギリまで抜かれて、またズブッて、繰り返し‪……‬ピストンの幅が大きくて、擦れるスピードが速くてっ‪……‬どうしよう、気持ち良すぎる‪……‬‪……‬!

「ふ、ふ、うぅ」

けど声を出すわけにいかない。こんなの拷問だ。こんなにもイイのに喘げないなんてっ‪……‬‪……‬。今まで声を出すことで発散していた僕は、快感が身体の中に溜まっていくようでどうしていいかわからず、ひたすらジャオにしがみつく力を強くする。
助けてジャオ。気持ち良いよお。声出したい、けど、絶対にダメ‪……‬‪……‬発散できない分、ナカがいつもよりうねってる気がするっ‪……‬ジャオも、感じてるのかなっ‪……‬?

「ぐっ‪……‬!」

ズルン! 突然、全部抜かれて、僕はビクビクと盛大に身体を震わせて達する。腹が熱く濡れる感触に‪……‬多幸感の中で、小さく失望した。しまった。ジャオにまだ、伝えていなかった。

「ジャ、オ‪……‬降ろして‪……‬」
「ああ‪……‬」

床にそっと置かれる。むき出しの尻が冷たい。目の前にかがみ込むジャオの肩をそっと押してその場に座らせた。脚を広げて、射精したばかりのそこをパクッと咥える。めいっぱい唾液を絡ませてジュルジュルと吸い上げると、あっという間に勃ち上がった。驚くジャオの開いた脚の上に、跨がって、僕は上方からジャオが突き刺さるように腰を入れた。

「ン‪……‬‪……‬ッ」

はいった。腰を浮かせて、後ろに手をついて淫らに揺すってみせる。ジャオは座って脚を開いているだけだ。僕だけが貪るように、腰を振っている。いまだに信じられないという顔で見つめているジャオに、舌を見せて微笑いかけた。

「ジャオ、これってイけそう‪……‬?」
「ああ‪……‬お前のこんないやらしい姿、見せつけられたら‪……‬」

前後に揺れ動く僕に釘付けになって、ナカでなおも膨らみ続けるジャオ。次は失敗できない。僕は意を決して、できる限りの甘ったるい声音で囁く。

「じゃあ、僕のナカで‪……‬出して?」
「なっ‪……‬」
「お願い‪……‬欲しいの、ジャオぉ」

腰を激しくする。ジャオ、また大きくなった。
熟練の女人の笑みをイメージして、誘惑する。

「孕みたい‪……‬」

ドクン。ジャオがナカで脈打つ。今がチャンスとばかりに己を深く穿った。ズチュ、ズチュ、ズチュ‪……‬床に響かないように細心の注意を払いながら、腰を浮かせて‪……‬そんな僕の痴態がどれだけジャオにとって刺激になっているか、鼻からたらりと垂れた赤い雫を見れば想像は容易だ。

「べ、ベル、待て」
「待てない‪よ、‬ジャオ……ナカに‪……っ‬」
「ま、まっ」

柄にもなく慌てるジャオ。可愛い。逃げられないように腰をガッチリと脚でホールドして喉を仰け反らせる。ヘッヘッと舌を天に突き出して浅ましく腰を振る僕を見て、ジャオはぶるりと全身を震わせた。

「あ、グッ、ダメだっ‪……‬」

力無き咆哮を残して、僕のナカに‪……‬熱い精を放出する。ゾクゾクゾク! あり得ないほどの歓喜と興奮に、僕自身も達して仰向けで床にへたり込んだ。

やった。ジャオに中出ししてもらえた‪……‬‪……‬。

達成感に浸っていると、ジャオが不満そうにのしかかって顔を覗き込んでくる。ごまかすように唇を尖らせて引き寄せる。軽い口づけをもらえた。

「こら、ベル‪……‬急にこんなこと‪」
「ごめん、でも、どうしても欲しくて‪……‬」
「‪……‬ほんとうに孕んでもいいのか?」
「うん。‪……‬守るべきものができたら、僕、もっと強くなれる気がするんだ‪……‬」

天涯孤独の僕を癒やしてくれるもの。それは前世から僕を深い愛で包んでくれるジャオと‪……‬僕とジャオの血を引いた赤子しかいない。そう気付けたのはごく最近のことで、だけどきっかけは‪……‬もう忘れてしまった。
大事な記憶に靄がかかっている感覚がある。その靄を振り払うことができた時、僕は真実を何もかも受け止めて、この地に立ち続けていられるのだろうか。

「だが、ベル。お前、子どもを産む準備はもうできているのか?」
「へ? 準備、て‪……‬?」
「‪……‬どうやらまだ孕むのは先だな。まあ焦ることはない」

僕はジャオの言葉の意図がわからずキョトンとしてしまった。子どもを産む準備‪……‬ベビーベッドとか、オムツなんかのことだろうか‪……‬‪……‬?

「あ‪……‬?」

鼻の下を擦った袖が赤く濡れているのを見て、ジャオが停止している。どうやら鼻血を出している自覚がなかったようだ。気恥ずかしそうに拭き取る仕草が可愛くて、いつまでも見ていられそう。僕はもうすっかり、父上にされたことなど忘れていた。

一度は絶望に堕とされた僕の心に、新たな希望が宿った。
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