王子の僕が女体化して英雄の嫁にならないと国が滅ぶ!?

蒼宮ここの

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第47話 トルテはベルのために

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ジャオと森に来るのは数日ぶりだ。ここのところ衛兵に声をかけるのに一生懸命で、とにかく時間が惜しかったのだ。すぐに解散になるならいいが‪、ジャオはしつこいし、耐久力抜群だしで‪……‬とにかく長い、から……。

「ベル‪……‬」

ジャオがふわりと僕を抱き寄せる。愛でるように顔中にキスを落とされて、くすぐったい。

「城内に味方は増えてきたのか?」
「うん。男でも結構僕の考えに賛同してくれる人が多いんだ」
「‪……‬お前が可愛いからじゃないのか?」

両頬を包まれてじっと見つめられる。そんなことを恥ずかしげもなく真っ直ぐな目で言われると‪……‬こっちが恥ずかしくなる。

「こんなに可愛らしい顔でねだられたら‪、‬断れる男なんていない」
「ねだってるワケじゃない!‪ ……‬僕は僕と志を共にする同胞をだな‪……‬!」
「下心のある奴はただの一人もいなかったのか?」

グッ。それを言われると‪……‬。口篭った僕から何かを感じ取ったのか、ジャオは僕の顔を拘束したそのままの体勢で追求を始める。

「襲われたんだな?」
「な、何回かはな‪……‬でも! 指一本触れさせなかったぞ!」
「俺の教えた金的蹴りは役に立っただろう」
「ああ! それはもう‪……‬!」
「ベル」

途端に厳しくなる口調に目線を逸らす。小さく「ごめんなさい‪……‬」と折れたら、抱き締めて頭をヨシヨシしてくれた。

「やっぱり俺も一緒にいたほうがいい。危険すぎる」
「ジャオが城に来たら父上が警戒するだろう? 僕なら平気だから」
「いやだ。他の男が一瞬でもベルに触れたらと思うと‪……‬」

ぐっと距離を詰められる。鼻先が擦れ合い‪……‬ジャオの情熱的に輝く赤い瞳に僕は魅せられる。吸い寄せられるように口づけをした。
ジャオの舌、熱い‪……‬大きくて、いやらしくて、僕をくまなく愛してくれる‪……‬愛情を込めて吸い上げる。唇をねっとりと弾かれ‪……‬ジャオの手が、僕の胸元に降りて‪……‬服越しにやさしく揉みしだいてくる。

「ジャオだけ、だよ?」
「当たり前だ」
「あんっ‪……‬」

手も、熱い‪……‬興奮、してるよな‪……‬僕も‪……‬ジャオと、シたい‪……‬これって僕がもともと男だから性欲旺盛なのかな? それとも、もともと‪……‬。

「ねえジャオ‪……‬ンッ‪……‬前世の僕も、こんなに、えっちだったのか‪……‬?」
「ん‪……‬? いや、前は‪……‬お前のあまりの色香に、俺がいきなり襲い掛かったから‪……‬」
「そうなの‪……‬?」
「お前に会うまで、色恋も性愛も興味がなかった‪……‬なのに、出逢った瞬間、絶対に結婚相手はお前がいいと思った。強引に迫った俺にお前は応えてくれた」
「‪……‬やっぱりえっちだったんじゃん‪……‬」

言いながらシャツの前を自らはだける。羞恥よりも性欲が勝ってしまう。やっぱり僕って普通の女人よりもこういうの、好き、なんだよな‪……‬強引に来られると断れないし‪……‬なんとも思っていない男に好意を向けられても、悪い気は、しないし‪……‬。
胸当ても自ら外してしまう。露わになった胸をジャオの両手がすぐに覆い隠してくれた。揉みながらまたキスしてくれる。今日は長くなりそうだ。長めの前戯で、たっぷり蕩かされる気しかしない‪……‬。

「‪……‬僕さ。娼婦だったんでしょ?」
「ベル‪……‬思い出して‪……‬?」
「ううん。夢で見たんだ。王子であるジャオに釣り合わなくて、殺されて、しまったんでしょ‪……‬忘れてしまっていても、僕の魂は、きっと覚えてるんだね」

ジャオは何も言わない。痛みに耐えるように顔を顰めるその様子に、やはり真実だったんだと確信する。

「守りきれなくて‪……‬すまなかった」

僕の腕に縋り付く手が震えている。そっとそれを取って抱き締めた。僕の胸の中で吐き出される息、熱くて、泣いているようで痛々しい。

「僕こそごめんね。さみしかったよね。つらかったよね。残してしまってほんとうにごめん」
「俺と関わらなければ、ベルは、もっと幸せになれたかもしれない‪……‬今世、だって‪……‬だから‪……‬」
「だから僕に関わらないようにしてたの?」
「ああ、だが、ベルがオトメとしてふたたび俺のもとに来てくれて‪……‬俺は‪……‬我慢できなくなって‪……‬っ」
「我慢しなくていいよ」

ジャオの高い鼻が乳頭にあたって擦れる。身じろいで「ンッ」と高い声を漏らすと、今度は意図的に擦り付けてきた。

「あたたかい‪……‬ベル‪……‬」
「ジャオお‪……‬僕、今度こそジャオのこと、幸せにしたい‪……んっ‬」
「お前はずっとそうだ‪な……ちがう、‬俺が幸せにするんだ」
「僕だよお‪……‬」
「フフッ」

甘いひと時を経てジャオが僕の乳首を口に含んだ。唇で吸われて、舌で転がされて‪……‬もっとして欲しい僕はついついジャオの頭をかき抱いて髪を乱してしまう。

「気持ちいいか‪……‬?」
「あぅ‪……‬うンッ‪……‬きもち、いいよぉお」
「風呂場で乳首を伸ばして自慰をするお前を見た時も驚いたな‪……‬前と同じやり方だった」
「言わないでェ‪……‬アッアッ伸ばさないでエッ‪……‬」
「素直になっていいんだぞ‪……‬?」

どうせジャオには全部知られている。僕の知らない僕まで知ってるんだから。僕のみだらな姿もいっぱい見てきて‪……‬愛してくれた‪……‬結婚まで、してくれて‪……‬娼婦の僕を身分だけで判断せずにいてくれたんだ‪。一緒にいられた時間は短かったかもしれないけど、前世の僕もきっと、十分幸せだったよ‪……‬。

「ン、もっと、のば、して」

勇気を出して甘えてみた。恥ずかしすぎて涙目だけど。そんな僕の顔を見上げたジャオは、唇を乱暴に奪って乳首を摘み上げてくれる。

「素直でいい子だな‪……‬もっとか‪……‬?」
「ン、もっと‪……‬」
「ほら‪……‬もっと‪……‬?」
「もっとお‪……‬」
「フフ、これ以上伸びないぞ‪……‬? どうしたら満足するんだ‪……‬?」
「ああうう‪……‬ごめんなひゃい~~」

また謝ってしまった。ジャオは顔を下げて僕の乳首に齧り付く。少しの痛みを感じる程度に、歯を食い込ませて、引っ張ってくる‪……‬うぐう、これ、好き‪……‬やっぱりジャオ、僕のイイところ、全部わかってるんだ‪……‬。

「あっおっ、おおおっ‪……‬」

「下品な声だな‪……‬でも、愛してるぞ‪……‬」
「んおおおおっ‪……‬」

前世の僕もきっとこんなふうに愛されてたんだ‪……今と変わらず愛情深い、ジャオに、僕のシてほしいこと、いっぱいシてもらって‪……‬愛されてたんだ‪……‬。

「歯型がついてしまったな‪……‬痛むか‪……‬?」
「ううん‪……‬アン‪……‬ヨかった‪……‬」

癒すようにペロペロとそこを舐めてくれる。舌先はからかうように乳首を弾いてくるから、僕はまたぬるく感じてしまって‪……‬自然と手が、己の股間に伸びる‪……‬。

「ジャオ、ぼく、ビチョビチョになっちゃったよお‪……‬」
「ン……‬」

早く下も触って。乞うように、手を入れた股間の盛り上がりを動かして見せつける。ぐっしょりと濡れた指先をジャオの唇に塗り付けると、すぐに指ごと舐めとられて心臓が転げ落ちるかと思った。
ジャオ、シてくれそう‪……‬けだものの眼になってる‪……‬。

「ベルの匂い‪……‬すぐ勃ってしまうな‪……‬」
「挿れて‪……‬?」
「待て、舐めたい」
「うン‪……‬」

キスして口内を軽くかき混ぜると、ジャオは僕の股を割り開いて顔を埋めた。パンツは足首に引っ掛かったままだ。ジャオの熱い舌が膣を抉って、滑り込んで‪……‬愛液を浚っていく‪……‬次から次へと溢れ出して、ジャオの喉が鳴った時、さすがに恥ずかしくて股を閉じた。ジャオの顔、潰しちゃった。

「もう、そこいいの‪……‬ジャオのほしい‪……‬」
「わかった。まずは口でシてくれるか‪?」
「いいよ‪……‬上に跨って‪……‬」

明らかにいつもより大胆なことをしてしまっている。互いの過激な発言も前世では当たり前だったのだろうか。
僕は夢と現実の狭間にでもいるようにポーッとして、上からぶら下がるジャオの逸物を口内に受け入れた。ジュポジュポと舌で舐め回して頬全体で吸ってやる。足りなくて、ジャオの腰に縋り引き寄せた。喉の奥まできたそれを限界まで中に入れて息をする。
僕の中いっぱい‪……‬ジャオ‪……‬こんなの誰にも見せられない‪……‬だからこそ、興奮してしまう‪……‬!

「んぽ、ハッ」
「ベル、今日は特別いやらしいな‪……‬?」
「ハアハア‪……‬はやくう‪……‬ジャオのおちんちん~‪……‬」
「そんな悪い言葉知ってたのか‪……‬?」

覆いかぶさってきたジャオ、お仕置きのように僕の口を指でかき回してくる。だけど僕にとってはご褒美でしかない。タラーッと垂れた涎を掬い取られて、穴周辺を濡らす愛液と混ぜるようにして指を挿れられた。おねだりする仔犬のようにクンクン鳴きながらジャオの顔を抱き寄せる。僕、今絶対メスの顔してる。女人ですらない。今の僕は王子でも娼婦でもない。ジャオというオスに魅了された、ただの、メスだ。

「ちんぽ‪……‬ちんぽぉ‪……ほしいよお‪……‬‬」
「あんな高尚な演説ができる口でそんな下品なことを言われると‪……‬興奮する‪な」
「くだしゃい‪……‬ハアハア‪……‬ジャオさまあ‪……‬ベルもおガマンできないのお‪……‬」
「俺もだ‪……‬フフッ‪……‬しっかり味わえよ‪……‬?」
「はいぃ‪……‬!」

自分から大開きにした股の内側が昂りすぎて震える。ジャオのがやっともらえる。くる。
熱い塊が僕の肉を押し退けて‪……‬僕はそれに吸い付いて‪……‬ゆっくりゆっくり‪……‬奥まで‪…………

「アアッ‪……‬!」

達してしまった。まだ擦られてもいないのに。涙を浮かべていやいやと頭を振る。こんなにもいやらしいの、僕やだ。嫌いにならないで。ジャオ。ジャオ様。

「可愛いな‪……‬身体はまだうぶなんだな」

ジャオが僕の頭を抱き込んで奥の奥まで押し込んできた。「オッオッ」て声が漏れて、やめたいけど、でも、許すように頭ヨシヨシされてるから、僕‪……‬甘えるように、ジャオの腰に脚を絡み付けちゃって‪……‬。

「じゃお‪……はずかしいのお、ぼく‪……‬‬」
「わかってる‪……‬ベルは好きこのんで身体を売っていたわけじゃないんだ。貧しくて仕方なく……‬ほんとうは清廉な、乙女なんだ‪……‬」
「でもぼく、スキモノだ‪よぉ……‬ジャオに変なこといっぱいさせちゃうぅ‪……‬」
「変なことじゃない。全部愛の行為だ。シてほしいこと全部言え」
「う‪……‬」

ジャオで胎内が満たされていて、とっても幸せだ‪……‬ずっとこうしていたい、けど‪……‬僕の奥でチリチリと疼くこれはなんだろう。愛して欲しい。もっともっとジャオに動いて欲しい。ジャオがしたいことして欲しい。思いっきり、ぶつけてほしい。

「ジャオは? 僕を、どうしたい‪……‬?」
「大事にしたい‪……‬けど、同時に、壊したくもなる‪……‬呼吸できなくして、限界まで、お前の奥、突いてやりたい‪……‬」
「それ、シて‪……‬?」
「ンッ‪……‬」

ジャオの腰が少し引かれて僕の胸は期待に満ちる。熱に浮かされた眼で射貫かれ、頬を包まれた。隙間なくピッタリと合わさる唇。もう呼吸は許されない。僕はジャオの息だけを吸って。ジャオも、僕の息だけを吸って行為する。
グッ、グッと奥を何度もノックされて勝手に息が出た。ジャオを上からも下からも感じられて、こんなに嬉しいことはない。僕がジャオの髪をかき混ぜると、ジャオはそれに応えるかのように大きく腰を引く。そして強めにズチュズチュとピストンしてくれた。

僕のナカが悦んでる……身も心もフワフワ浮かれて飛んでいっちゃいそう。ジャオが抑えつけるようにギュウって抱き締めてくれてるのがほんとうにイイ。ジャオ、僕のこと、全部わかってくれてる。

……そろそろ呼吸が苦しくなってきた。ジャオが体力使ってるから僕の息をすべて奪っていくんだ。
ジャオ。訴えるように肩を掴むけど、ジャオはそれを振り払うように身を捩ってさらに腰を速くする。気持ち良いのと苦しいのが重なる。

あ、これ、マズい‪……‬頭、フワッと、して‪……‬力、抜けて‪……‬。

意識が朦朧とする中で身体が勝手に絶頂を迎える。魂と身体が分離したみたいだ。



あ‪……‬。






空が光に包まれる。空どころか、木々が、森が、ジャオまでもが、光に包まれていく。眩しくて目を閉じても光は瞼の裏まで追ってきて、もうどちらが上下左右かもわからない、ちっぽけな光の玉になった、僕は‪……‬小さな妖精の胸に抱かれている‪……‬‪……‬?

「トルテ‪……‬」

名を呼ぶ。彼女は僕を見下ろして悲しそうに微笑む。彼女の小さな手に撫でられるととても気持ちが良い。悲しかったこと、辛かったこと、すべて洗い流されていくようだ。

「大好きよ、ベル」

トルテと話したことはない。だけどそれがトルテの声だとわかる。

「私が守ってあげるからね」

僕は殺されたことが不条理で、ジャオを一人ぼっちにしてしまったことが悔しくて泣いている。彼女はそんな僕の無念をすべてわかってくれた。僕の一番の理解者。僕の分身……。
世界一愛おしい存在だと、思った。

「最後よ、ベル。あと数百年は、彼に逢えない」

そっと背中を押されると、僕は生前の姿でそこに存在していた。いや、幻だ。僕の亡骸はジャオに手厚く埋葬された、筈だ。
ジャオが絶望の中で僕を見た。すぐに天から突き出たトルテの大きな手が、ジャオの頭を地に抑えつけた。

「これで彼は、この地でベルへの未練を持ち続ける」


悪魔のような囁きでも、僕は救われた思いがした。

ジャオは僕を忘れない。そして、トルテが必ず引き合わせてくれる。そう、信じることができたのだ。









「‪……‬ベル! ベル!」

頬を打たれて唐突に覚醒した。瞬間、疲れ切ったジャオが力なく僕の胸元に上半身を倒してへたり込む。

「‪……‬ビックリした。気を失ってたんだぞ」
「え‪……‬? ああ‪……‬」
「完全にやりすぎた。悪かった」

そして今度は綺麗な土下座を披露してくる。汗まみれ、ほぼ全裸の自分を見下ろして、そういえばジャオと致していた途中だったなと思い至った。

「大丈夫だよ‪……‬」
「ほんとうか? 痺れはないか? 視界は欠けていない?」
「ほんとうに‪……‬大丈夫」

必死に僕の無事を確認するジャオが可愛くてついヘラヘラしてしまう。すごく気分が良い。頭の中の霧が晴れたような、心地だ。

「いい夢を見れたから」
「‪……‬そうか‪……‬?」

ジャオはぼくの背中をさすりながら、何か奇怪な生き物でも発見したかのような顔で覗き込んでくる。それでも僕はにやけるのをやめることができなかった。


ずっと不安だった。トルテがほんとうは邪悪な存在なんじゃないかって。
だけどちがう。トルテは僕が大好きなだけで‪……‬僕も、そんなトルテが大好きなんだ。
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