39 / 126
第39話 ジャオの悲しみ
しおりを挟む
先日のテストは散々だった。もともと成績優秀でないだけでも王族として恥なのに、さらにそれを下回る結果を出してしまった。赤点というほどでもないが……決して誉められる点数でもないという、そんな、中途半端な感じ。しかもいつも下にいたユーリやジャオにも負けてるなんて、もうプライドも何もかもズタボロだ……。
学校の玄関口に貼り出された成績結果を見て僕は泣きたくなった。ほんとうなら今すぐにでも顔を隠して存在感を消しながら即帰宅したいのだが、これを見がてら待っているとジャオに約束してしまった。
仕方ない。こうなったら心を消そう。さすれば羞恥も感じなくなるはず。僕は石、僕は石、僕は石……。
「ベルくん」
「ひゃいっ」
変な声が出てしまった。話しかけてきたのはジャオ……ではなく、アルヤ先輩だ。一瞬身構えるが、よく知る朗らかな笑顔に幾分か警戒を解いた。
「テストどうだった?」
「最悪です……先輩はいつもトップですごいですよね」
「ありがとう。でも僕には肝心の魔力がないからなあ」
憂いを含んだ先輩の視線を追うと、ある掲示が目に入った。「魔力選抜」というものだ。魔力を持つ人間が数えるほどしかいなくなったこの国で、少しでも魔力を有する者は貴重である。よって学校ではテストと同じ時期に魔力検査をして数値を測り、優秀者を讃えているというものだ。将来は城に仕える者が大半だろうから、僕も目を通すべきなのだが、いつも興味がなくて素通りしてしまう。載っているのは知らない名前ばかりだ。
「魔力……ないんですね」
「そうなんだ。こればかりは努力でどうしようもないよ。君の助けになれるよう、少しでも持っていればよかったんだけど」
「め、滅相もない!」
これは他愛もない会話だ。口説かれているわけではない。わかっているのに、先輩は自分に好意があると知っているから、どうしても意識してしまう。あんな目に遭ったのに、僕って現金だ。
「魔力を持っている人なんて稀ですよ……」
言いながら思いついた。アルヤ先輩には魔力がない。だとするとやはり、あれは全部ユーステンの仕業だったんだ。アルヤ先輩への疑いが晴れたことは嬉しいが、そうか、僕はユーステンに口説かれて唇を許してしまったのか……ウエエ。
「ベル。待たせたな」
「あっ……」
ジャオだ。僕の肩に手を置いたと同時にアルヤ先輩の存在に気付いたらしい、即座に間に割って入る。
「貴様……!」
「ジャオ落ち着いて! あの件はアルヤ先輩のせいじゃないから!」
「あの件……?」
アルヤ先輩の前で詳しく説明するのも気が引ける。僕をジャオから引き離すために自分の存在を利用されていたなんて、いきなり聞かされたって気持ちがいいものではないだろう。
「そうだジャオくん。先日はすまなかったね。無礼な真似をした」
「ム……」
相手が下手に出たので戸惑うジャオ。いつも武力で解決してきた彼の困惑する顔は珍しくて、僕はつい見入ってしまう。
「もうベルくんに言い寄る気はないから安心してほしい」
「そうだジャオ! 今成績の話をしてたんだよね! アルヤ先輩って魔力がないんだって! でも成績トップなんだから凄いよねー!?」
頼む。これで通じてくれ。今目の前にいる人は僕らの敵じゃないんだ。淫紋をつけたのはこの人じゃない……!
「…………」
ジャオは何やら必死な僕に気付いたようだ。じっと見つめ返してくる。そしてゆっくりアルヤ先輩に視線を向けた。
「……ベルにもう近寄らないか?」
「話すだけだよ。もちろん人気のある場所でね」
「……俺がいるところだけだ」
「わかったよ。ベルくん、君は幸せ者だね。こんなにも大事にしてくれる人がいるんだ」
先輩…………なんていい人なんだ。
その素敵な笑顔に軽く目眩までする。アルヤ先輩の人間性にいたく感激してしまった。こんないい人に化けて僕を騙したなんてますます許せないな、ユーステン。見つけ出して絶対に成敗してやる。
「……ベル、行くぞ」
「あ、うん。先輩、また」
先輩に向かって小さく手を振ると、もう片方の手を強く握り締められた。瞬間、心臓までギュッと握り潰されたようで思わず息が乱れてしまう。独占欲。今ジャオを支配しているのは間違いなくこれだ。
僕ら、好きだと言い合った仲なのに……ジャオは僕が他の男と話すのすらいやなんだ。ああ、ジャオが怒っているのに、それに対して幸せを感じるなんて……これも愛と呼んでいいのだろうか? ジャオを好きになってから、僕はずいぶんと歪んでしまったように感じる。
森に入ってすぐ、ジャオが顔を覗き込んで急接近してくる。自分の唇を手の平でガードすることでキスを制止した。ジャオは見るからに不満そうだ。僕から手を繋ぎ直して、機嫌を直そうと試みる。
「大事な話があるんだ」
「……なんだ?」
「さっきのアルヤ先輩とのことだけど」
「あの男の話はもういい」
今度は両肩を掴まれた。相変わらず顔が近い。そして、ものすごく怒っている。
両肩を押し返して必死に留めているけど……ジャオ、このままじゃ話を聞いてくれなさそうだ。僕は観念して抵抗する力を緩めた。
「……わかった。少しだけだよ」
言った瞬間に唇が塞がれる。荒っぽく舌を絡められてドキドキした。口内すべて貪られて……僕に呼吸する間も与えてはくれない。強引な支配だ。身体がゾクゾクと悦んで、ついにジャオに縋り付いてしまう。
「ベル……ハアッ」
ジャオは自分だけ息継ぎをすると、僕の表情を見て真っ赤な顔でキスを再開する。やっぱり怒ってる。ああでも。こんなに求められて、嬉しい。
何分経ったのだろう。唇が痺れて、顎が唾液でベタベタになる頃にようやく解放される。僕は息も絶え絶えだが、ジャオだって息を切らして苦しそうだ。
ひどいよ。途中で何度か死ぬかと思った。気持ち良かったけど……苦しかった……。
「お仕置き……?」
「……してほしいのか?」
額を乱暴に撫でられる。これはまだ話す余地がある、とジャオの雰囲気で僕は察した。話をしなければ。呼吸を整えながら、首を横に振った。
「あのね……僕に淫紋を付けたのは、アルヤ先輩じゃないんだ」
眉根に皺を寄せるジャオに少し慄きながらも、僕は話した。僕に淫紋を付けた犯人はアルヤ先輩に化けていたこと。その犯人こそ、あの時捕まえたユーステンだったということ。
ジャオの瞳にふたたび怒りが宿る。しかしそれは僕に向けてではない。
なだめるように手を引いていつもの場所まで誘導する。ジャオはおとなしくついてきてくれた。
「ユーステンの処遇は結局どうなったんだったか」
「僕もハッキリと知らされていないんだ。城に幽閉されたままか、国外追放されたと思っていたんだけど……」
「誰かが逃したんだな」
大きく頷いて見せる。それがこの一件の核心だろう。
おそらく裏で手を引いている黒幕がいる。僕たちはいずれ、そいつと対峙しなければならない。勝つにはジャオの協力が必須だ。僕は、この場で全部話すことに決めた。
腰を落ち着けて、ジャオに打ち明ける。フロストの正体の一端、そして、この国の将来のために成すべきこと。そのすべてに賛同するかのように力強く頷いていたジャオだが、精霊の話になると戸惑ったように動きを止めた。深く俯いて、何かを考えているようだった。
「トルテの助けが借りられるかはわからないけれど、これはもとより僕ら人間の解決するべき問題だ。まずは僕らでちゃんと情報を共有して、いつチャンスがきても対処できるように」
「ベルは……」
ジャオがはじめて口を開いた。どこか沈んだ声に、僕は聞く姿勢を作る。
「トルテを、精霊だと思っているのか……?」
「そうだな。フロストの知る精霊と同じ名前のようだし」
「そうか……ああ……」
ふたたび両手で頭を抱え込んでしまった。どうしたのだろう。
心配で手に触れると、縋るように両手で握り返された。
「お前はずっと、トルテといたんだな……?」
「うん。産まれた時からずっと一緒だ。可愛いんだよ。叶うならジャオにも会わせてやりたい」
「会いたい、な……トルテ……」
声が震えている。鼻を啜る音がして、目を凝らすと髪の隙間、ジャオの頬が光っていた。
彼の呼ぶ「トルテ」はやけに情感がこもっていて、僕が呼ぶ友愛の「トルテ」とも、フロストの呼ぶ無機質な「トルテ」とも違う。もっと根深い何か、悲しみのこもった響きに……僕まで切ない気持ちになる。
「ジャオ。お前もトルテを知っているのか……?」
「知っている……誰よりも……だけど……」
「…………?」
なんだろう。その先に続く言葉を待ったが、ジャオは僕の視線を避けるようにまた、頭を垂れてしまった。
今さら隠し事はナシにして欲しい。僕だって、秘密にしていたトルテのことを話したんだ。
肩に触れようと手を伸ばすが、僕をも拒絶するほどの剣呑とした雰囲気に阻まれる。ジャオは短く濡れた息を吐くと、袖口で目元を擦った。力強い、仕草だった。
「いや……これを話すのは、俺がベルにもっと信じてもらえるようになってからだ」
「信じて……るぞ?」
「いいんだ。俺の問題だ」
ジャオは吹っ切れたように穏やかに微笑んでいる。少し涙の残った光る瞳で僕を見つめて、前髪をクシャッと柔く掴んでくる。
今、少し、僕の知らないジャオが垣間見えたような気がして……だけどいつも通りに触れてくれたから、心底、安心した。
「ただもう、俺の前でトルテの話はしないでくれ。胸が張り裂けそうになる」
「わかった……いつか話してくれるよな?」
「ああ、いつか必ず」
何が悲しいのだろう。トルテの何がそんなに、ジャオを苦しめるのだろう。気になったが、ジャオが今話さないということは作戦には支障がないのだと思う。それなら僕はジャオとずっと一緒にいて、話してくれるのを待てばいいだけだ。
ゆっくり待とう。ジャオをもうこれ以上、追い詰めたくはない。
「ベル……」
「あ……」
ふわっ。急に抱き締められる。その体温は確かに僕を包んでいるのに……まるで、幼児に縋り付かれているかのようだ。心細さに震えて泣いている。守ってあげたい。
「もう少し、このままで……」
「うん、いいよ……いつまででも」
「はあ、ベル。好きだ……俺には、お前だけだ……」
そんなこと言わないで。ジャオには良いお父さんやお母さんがいるじゃないか。可愛い妹達だってあんなにたくさん。
ジャオは何もかもを持っているのに、まるですべてを失ってしまったかのような表情を時折見せる。そのたびに僕はなぜだか、溺れそうに苦しくなるんだ……。
「ジャオ……スる?」
「う、だが……」
「僕がシてあげる。ジャオ……」
抱擁を解いてキスをする。ジャオは反射のようにきつく舌を絡めてきた。ジャオの胸板をシャツ越しに撫ぜて、性感を高めようと試みる。大丈夫かな。僕に、ジャオを元気づけられるかな。不安はあるが、やるしかない。正体不明の使命感に突き動かされて、僕はジャオを押し倒した。
そのままジャオの上で下半身の衣服をすべて取り払って露出する。ジャオがあんまり釘付けでいるから恥ずかしかったけれど、この過程もムードを盛り上げるためだ。見られているだけで呼吸を荒げながら、僕はジャオの上に身体を倒してふたたびキスに没頭した。すぐさまジャオが膝を立てて、僕のアソコに指を挿入してくる……簡単に奥まで入って、掻き回して……感じながらも、宣言した以上は僕がリードするのだと必死でキスに集中した。
「んっ、ああ」
だんだんと手のピストンが激しくなってきて、たまらず口を外した。舌舐めずりするジャオに命じられたかのように、僕は……腰を上げて、後ろ手にジャオの育ちきった逸物を擦り上げる……。
「挿れるよ……?」
「ああ……」
「ンッ……」
つぷっ。ジャオの先っぽを僕の膣が飲み込む。力が抜けるように、息を整えてゆっくりと腰を下ろしていく。信じられない圧迫感に途中で無理だと何度も思ったけれど、ジャオの切ない表情に後押しされてなんとか最後まで到達した。
胎内がジャオで満たされる。苦しいけど、幸せだ~…………。
「ああっ……おっきいよお~~ッ……」
恥ずかしいことを口走ってしまう。けれど言わずにはいられない。羞恥で口元を隠して、腰を僅かに動かす。ジャオは今にも人を殺しそうな凶暴な眼で僕を見上げてる。腰回りを掴んでいる手の力が強くて、こわい。
「ベル、平気か……? ハアッ……」
「ん、ん、おっきい……でも、がんばりゅ……」
「よし……地面に足つけて……そうだ」
ジャオが寝そべったまま僕の体勢を整えてくれる。僕はジャオのシャツのボタンを外して逞しい胸筋を露わにした。お風呂で触らせてもらって以来だ。行為は何度もしたけれど、ジャオって自分はあまり脱がないんだよな。いつも僕だけ全裸にさせられるの、結構恥ずかしいんだぞ。
「ジャオの筋肉、綺麗ですき……」
ぺたぺたと感触を確かめて愛でる。満足するとそこに手の平を置いて、慎重に膝を伸ばしていく。アアッ擦れる……気持ちイィ……!! 脚がガクガクしちゃうよお……でもっ、僕がシてあげないと……!
「あはァッ……」
限界まで引き抜くと、またゆっくりと腰を沈める。また、ジャオで埋まってく……ああ、幸せ……。
「ん、ごめ、ジャオ、ゆっくりしか……」
「……いい。すごく気持ちいい。お前のナカ」
「アアッ……」
ジャオの手が僕の腰をいとも簡単に揺らしてくる。大きな手から熱が伝わってきて、ナカの気持ち良さが倍増する。
そっか、無理に抜き差ししなくても、揺らせばいいんだ……奥に入れたまま……。
「はあん……あ、あ、あ……」
僕が、シてる、ジャオに…………。
ジャオが何かを堪えるように目を細めて、それでも見逃すまいといわんばかりに僕を凝視する。その執着を感じるたびに、腰が大きく振れて……何度も細かくイって、ジャオのをキュウキュウ締め付けてしまう。
「イイ、イイ、ジャオっ」
「俺もだ……ベル、可愛いぞ」
「ふにゃああんッ」
ジャオの手でお尻をグリグリと押し付けさせられて本イキしてしまう。ジャオの上にへたり込むと下から身体全体で揺さぶられて、乱暴にお尻を揉みしだかれる。
ああ、主導権、取られちゃった……でもやっぱりジャオにサれるのすき……ジャオの手も、揺さぶりも、逞しいチンチンも、気持ちいいよお……。
「ああう、しゅき、しゅきい、じゃお」
「ンッ……ベル…………!」
ジャオの手つきが本気になる。僕のお尻がぐにぐにといろんな方向に揉まれて、突き上げるような激しいピストンに変わっていく。僕はといえば情けないことにジャオの胸に縋って、涎垂らして感じてるだけだ。ああ、重くないかな……もう僕、全然力入らない……全部ジャオに預けちゃってるよお……。
「ベル……!!」
「ううンッ……」
ジャオがズルリと抜け出る。痙攣する僕の尻の割れ目に擦り付けて、太腿の裏に勢いよく射精したようだ。熱い飛沫を感じるだけで、身体がビクビクと跳ねてしまう。
「ああん……しゅごかったあ……」
「ハアッ、ベル…………」
ギュッ。終わった後のきついハグ。僕これ大好き。ジャオに愛されてるって実感できる……。今日ばかりは僕も素直に抱き返す。ごろんと横向きになって、甘えるように鼻先を擦り合わせた。
「ジャオは、気持ち良かった……?」
「ああ、すごく」
「よかったあ……」
ジャオがチュッと唇を弾いてくる。僕もやり返した。しばらくそれを繰り返しながら笑い合った。なんて満たされた時間。ずっとこうしていたい。ずっとずっとずっと。
「ベル、愛してる……早く一緒に暮らしたい」
「ジャオ……」
「俺のところに閉じ込めて、その瞳に俺だけを映していて欲しい……ずっとずっと、こうして可愛がってやりたい……」
こんな問題だらけの発言にもときめいてしまうから、恋は盲目というのだな。妙に納得しながら、僕らは甘い時間に浸り切った。
学校の玄関口に貼り出された成績結果を見て僕は泣きたくなった。ほんとうなら今すぐにでも顔を隠して存在感を消しながら即帰宅したいのだが、これを見がてら待っているとジャオに約束してしまった。
仕方ない。こうなったら心を消そう。さすれば羞恥も感じなくなるはず。僕は石、僕は石、僕は石……。
「ベルくん」
「ひゃいっ」
変な声が出てしまった。話しかけてきたのはジャオ……ではなく、アルヤ先輩だ。一瞬身構えるが、よく知る朗らかな笑顔に幾分か警戒を解いた。
「テストどうだった?」
「最悪です……先輩はいつもトップですごいですよね」
「ありがとう。でも僕には肝心の魔力がないからなあ」
憂いを含んだ先輩の視線を追うと、ある掲示が目に入った。「魔力選抜」というものだ。魔力を持つ人間が数えるほどしかいなくなったこの国で、少しでも魔力を有する者は貴重である。よって学校ではテストと同じ時期に魔力検査をして数値を測り、優秀者を讃えているというものだ。将来は城に仕える者が大半だろうから、僕も目を通すべきなのだが、いつも興味がなくて素通りしてしまう。載っているのは知らない名前ばかりだ。
「魔力……ないんですね」
「そうなんだ。こればかりは努力でどうしようもないよ。君の助けになれるよう、少しでも持っていればよかったんだけど」
「め、滅相もない!」
これは他愛もない会話だ。口説かれているわけではない。わかっているのに、先輩は自分に好意があると知っているから、どうしても意識してしまう。あんな目に遭ったのに、僕って現金だ。
「魔力を持っている人なんて稀ですよ……」
言いながら思いついた。アルヤ先輩には魔力がない。だとするとやはり、あれは全部ユーステンの仕業だったんだ。アルヤ先輩への疑いが晴れたことは嬉しいが、そうか、僕はユーステンに口説かれて唇を許してしまったのか……ウエエ。
「ベル。待たせたな」
「あっ……」
ジャオだ。僕の肩に手を置いたと同時にアルヤ先輩の存在に気付いたらしい、即座に間に割って入る。
「貴様……!」
「ジャオ落ち着いて! あの件はアルヤ先輩のせいじゃないから!」
「あの件……?」
アルヤ先輩の前で詳しく説明するのも気が引ける。僕をジャオから引き離すために自分の存在を利用されていたなんて、いきなり聞かされたって気持ちがいいものではないだろう。
「そうだジャオくん。先日はすまなかったね。無礼な真似をした」
「ム……」
相手が下手に出たので戸惑うジャオ。いつも武力で解決してきた彼の困惑する顔は珍しくて、僕はつい見入ってしまう。
「もうベルくんに言い寄る気はないから安心してほしい」
「そうだジャオ! 今成績の話をしてたんだよね! アルヤ先輩って魔力がないんだって! でも成績トップなんだから凄いよねー!?」
頼む。これで通じてくれ。今目の前にいる人は僕らの敵じゃないんだ。淫紋をつけたのはこの人じゃない……!
「…………」
ジャオは何やら必死な僕に気付いたようだ。じっと見つめ返してくる。そしてゆっくりアルヤ先輩に視線を向けた。
「……ベルにもう近寄らないか?」
「話すだけだよ。もちろん人気のある場所でね」
「……俺がいるところだけだ」
「わかったよ。ベルくん、君は幸せ者だね。こんなにも大事にしてくれる人がいるんだ」
先輩…………なんていい人なんだ。
その素敵な笑顔に軽く目眩までする。アルヤ先輩の人間性にいたく感激してしまった。こんないい人に化けて僕を騙したなんてますます許せないな、ユーステン。見つけ出して絶対に成敗してやる。
「……ベル、行くぞ」
「あ、うん。先輩、また」
先輩に向かって小さく手を振ると、もう片方の手を強く握り締められた。瞬間、心臓までギュッと握り潰されたようで思わず息が乱れてしまう。独占欲。今ジャオを支配しているのは間違いなくこれだ。
僕ら、好きだと言い合った仲なのに……ジャオは僕が他の男と話すのすらいやなんだ。ああ、ジャオが怒っているのに、それに対して幸せを感じるなんて……これも愛と呼んでいいのだろうか? ジャオを好きになってから、僕はずいぶんと歪んでしまったように感じる。
森に入ってすぐ、ジャオが顔を覗き込んで急接近してくる。自分の唇を手の平でガードすることでキスを制止した。ジャオは見るからに不満そうだ。僕から手を繋ぎ直して、機嫌を直そうと試みる。
「大事な話があるんだ」
「……なんだ?」
「さっきのアルヤ先輩とのことだけど」
「あの男の話はもういい」
今度は両肩を掴まれた。相変わらず顔が近い。そして、ものすごく怒っている。
両肩を押し返して必死に留めているけど……ジャオ、このままじゃ話を聞いてくれなさそうだ。僕は観念して抵抗する力を緩めた。
「……わかった。少しだけだよ」
言った瞬間に唇が塞がれる。荒っぽく舌を絡められてドキドキした。口内すべて貪られて……僕に呼吸する間も与えてはくれない。強引な支配だ。身体がゾクゾクと悦んで、ついにジャオに縋り付いてしまう。
「ベル……ハアッ」
ジャオは自分だけ息継ぎをすると、僕の表情を見て真っ赤な顔でキスを再開する。やっぱり怒ってる。ああでも。こんなに求められて、嬉しい。
何分経ったのだろう。唇が痺れて、顎が唾液でベタベタになる頃にようやく解放される。僕は息も絶え絶えだが、ジャオだって息を切らして苦しそうだ。
ひどいよ。途中で何度か死ぬかと思った。気持ち良かったけど……苦しかった……。
「お仕置き……?」
「……してほしいのか?」
額を乱暴に撫でられる。これはまだ話す余地がある、とジャオの雰囲気で僕は察した。話をしなければ。呼吸を整えながら、首を横に振った。
「あのね……僕に淫紋を付けたのは、アルヤ先輩じゃないんだ」
眉根に皺を寄せるジャオに少し慄きながらも、僕は話した。僕に淫紋を付けた犯人はアルヤ先輩に化けていたこと。その犯人こそ、あの時捕まえたユーステンだったということ。
ジャオの瞳にふたたび怒りが宿る。しかしそれは僕に向けてではない。
なだめるように手を引いていつもの場所まで誘導する。ジャオはおとなしくついてきてくれた。
「ユーステンの処遇は結局どうなったんだったか」
「僕もハッキリと知らされていないんだ。城に幽閉されたままか、国外追放されたと思っていたんだけど……」
「誰かが逃したんだな」
大きく頷いて見せる。それがこの一件の核心だろう。
おそらく裏で手を引いている黒幕がいる。僕たちはいずれ、そいつと対峙しなければならない。勝つにはジャオの協力が必須だ。僕は、この場で全部話すことに決めた。
腰を落ち着けて、ジャオに打ち明ける。フロストの正体の一端、そして、この国の将来のために成すべきこと。そのすべてに賛同するかのように力強く頷いていたジャオだが、精霊の話になると戸惑ったように動きを止めた。深く俯いて、何かを考えているようだった。
「トルテの助けが借りられるかはわからないけれど、これはもとより僕ら人間の解決するべき問題だ。まずは僕らでちゃんと情報を共有して、いつチャンスがきても対処できるように」
「ベルは……」
ジャオがはじめて口を開いた。どこか沈んだ声に、僕は聞く姿勢を作る。
「トルテを、精霊だと思っているのか……?」
「そうだな。フロストの知る精霊と同じ名前のようだし」
「そうか……ああ……」
ふたたび両手で頭を抱え込んでしまった。どうしたのだろう。
心配で手に触れると、縋るように両手で握り返された。
「お前はずっと、トルテといたんだな……?」
「うん。産まれた時からずっと一緒だ。可愛いんだよ。叶うならジャオにも会わせてやりたい」
「会いたい、な……トルテ……」
声が震えている。鼻を啜る音がして、目を凝らすと髪の隙間、ジャオの頬が光っていた。
彼の呼ぶ「トルテ」はやけに情感がこもっていて、僕が呼ぶ友愛の「トルテ」とも、フロストの呼ぶ無機質な「トルテ」とも違う。もっと根深い何か、悲しみのこもった響きに……僕まで切ない気持ちになる。
「ジャオ。お前もトルテを知っているのか……?」
「知っている……誰よりも……だけど……」
「…………?」
なんだろう。その先に続く言葉を待ったが、ジャオは僕の視線を避けるようにまた、頭を垂れてしまった。
今さら隠し事はナシにして欲しい。僕だって、秘密にしていたトルテのことを話したんだ。
肩に触れようと手を伸ばすが、僕をも拒絶するほどの剣呑とした雰囲気に阻まれる。ジャオは短く濡れた息を吐くと、袖口で目元を擦った。力強い、仕草だった。
「いや……これを話すのは、俺がベルにもっと信じてもらえるようになってからだ」
「信じて……るぞ?」
「いいんだ。俺の問題だ」
ジャオは吹っ切れたように穏やかに微笑んでいる。少し涙の残った光る瞳で僕を見つめて、前髪をクシャッと柔く掴んでくる。
今、少し、僕の知らないジャオが垣間見えたような気がして……だけどいつも通りに触れてくれたから、心底、安心した。
「ただもう、俺の前でトルテの話はしないでくれ。胸が張り裂けそうになる」
「わかった……いつか話してくれるよな?」
「ああ、いつか必ず」
何が悲しいのだろう。トルテの何がそんなに、ジャオを苦しめるのだろう。気になったが、ジャオが今話さないということは作戦には支障がないのだと思う。それなら僕はジャオとずっと一緒にいて、話してくれるのを待てばいいだけだ。
ゆっくり待とう。ジャオをもうこれ以上、追い詰めたくはない。
「ベル……」
「あ……」
ふわっ。急に抱き締められる。その体温は確かに僕を包んでいるのに……まるで、幼児に縋り付かれているかのようだ。心細さに震えて泣いている。守ってあげたい。
「もう少し、このままで……」
「うん、いいよ……いつまででも」
「はあ、ベル。好きだ……俺には、お前だけだ……」
そんなこと言わないで。ジャオには良いお父さんやお母さんがいるじゃないか。可愛い妹達だってあんなにたくさん。
ジャオは何もかもを持っているのに、まるですべてを失ってしまったかのような表情を時折見せる。そのたびに僕はなぜだか、溺れそうに苦しくなるんだ……。
「ジャオ……スる?」
「う、だが……」
「僕がシてあげる。ジャオ……」
抱擁を解いてキスをする。ジャオは反射のようにきつく舌を絡めてきた。ジャオの胸板をシャツ越しに撫ぜて、性感を高めようと試みる。大丈夫かな。僕に、ジャオを元気づけられるかな。不安はあるが、やるしかない。正体不明の使命感に突き動かされて、僕はジャオを押し倒した。
そのままジャオの上で下半身の衣服をすべて取り払って露出する。ジャオがあんまり釘付けでいるから恥ずかしかったけれど、この過程もムードを盛り上げるためだ。見られているだけで呼吸を荒げながら、僕はジャオの上に身体を倒してふたたびキスに没頭した。すぐさまジャオが膝を立てて、僕のアソコに指を挿入してくる……簡単に奥まで入って、掻き回して……感じながらも、宣言した以上は僕がリードするのだと必死でキスに集中した。
「んっ、ああ」
だんだんと手のピストンが激しくなってきて、たまらず口を外した。舌舐めずりするジャオに命じられたかのように、僕は……腰を上げて、後ろ手にジャオの育ちきった逸物を擦り上げる……。
「挿れるよ……?」
「ああ……」
「ンッ……」
つぷっ。ジャオの先っぽを僕の膣が飲み込む。力が抜けるように、息を整えてゆっくりと腰を下ろしていく。信じられない圧迫感に途中で無理だと何度も思ったけれど、ジャオの切ない表情に後押しされてなんとか最後まで到達した。
胎内がジャオで満たされる。苦しいけど、幸せだ~…………。
「ああっ……おっきいよお~~ッ……」
恥ずかしいことを口走ってしまう。けれど言わずにはいられない。羞恥で口元を隠して、腰を僅かに動かす。ジャオは今にも人を殺しそうな凶暴な眼で僕を見上げてる。腰回りを掴んでいる手の力が強くて、こわい。
「ベル、平気か……? ハアッ……」
「ん、ん、おっきい……でも、がんばりゅ……」
「よし……地面に足つけて……そうだ」
ジャオが寝そべったまま僕の体勢を整えてくれる。僕はジャオのシャツのボタンを外して逞しい胸筋を露わにした。お風呂で触らせてもらって以来だ。行為は何度もしたけれど、ジャオって自分はあまり脱がないんだよな。いつも僕だけ全裸にさせられるの、結構恥ずかしいんだぞ。
「ジャオの筋肉、綺麗ですき……」
ぺたぺたと感触を確かめて愛でる。満足するとそこに手の平を置いて、慎重に膝を伸ばしていく。アアッ擦れる……気持ちイィ……!! 脚がガクガクしちゃうよお……でもっ、僕がシてあげないと……!
「あはァッ……」
限界まで引き抜くと、またゆっくりと腰を沈める。また、ジャオで埋まってく……ああ、幸せ……。
「ん、ごめ、ジャオ、ゆっくりしか……」
「……いい。すごく気持ちいい。お前のナカ」
「アアッ……」
ジャオの手が僕の腰をいとも簡単に揺らしてくる。大きな手から熱が伝わってきて、ナカの気持ち良さが倍増する。
そっか、無理に抜き差ししなくても、揺らせばいいんだ……奥に入れたまま……。
「はあん……あ、あ、あ……」
僕が、シてる、ジャオに…………。
ジャオが何かを堪えるように目を細めて、それでも見逃すまいといわんばかりに僕を凝視する。その執着を感じるたびに、腰が大きく振れて……何度も細かくイって、ジャオのをキュウキュウ締め付けてしまう。
「イイ、イイ、ジャオっ」
「俺もだ……ベル、可愛いぞ」
「ふにゃああんッ」
ジャオの手でお尻をグリグリと押し付けさせられて本イキしてしまう。ジャオの上にへたり込むと下から身体全体で揺さぶられて、乱暴にお尻を揉みしだかれる。
ああ、主導権、取られちゃった……でもやっぱりジャオにサれるのすき……ジャオの手も、揺さぶりも、逞しいチンチンも、気持ちいいよお……。
「ああう、しゅき、しゅきい、じゃお」
「ンッ……ベル…………!」
ジャオの手つきが本気になる。僕のお尻がぐにぐにといろんな方向に揉まれて、突き上げるような激しいピストンに変わっていく。僕はといえば情けないことにジャオの胸に縋って、涎垂らして感じてるだけだ。ああ、重くないかな……もう僕、全然力入らない……全部ジャオに預けちゃってるよお……。
「ベル……!!」
「ううンッ……」
ジャオがズルリと抜け出る。痙攣する僕の尻の割れ目に擦り付けて、太腿の裏に勢いよく射精したようだ。熱い飛沫を感じるだけで、身体がビクビクと跳ねてしまう。
「ああん……しゅごかったあ……」
「ハアッ、ベル…………」
ギュッ。終わった後のきついハグ。僕これ大好き。ジャオに愛されてるって実感できる……。今日ばかりは僕も素直に抱き返す。ごろんと横向きになって、甘えるように鼻先を擦り合わせた。
「ジャオは、気持ち良かった……?」
「ああ、すごく」
「よかったあ……」
ジャオがチュッと唇を弾いてくる。僕もやり返した。しばらくそれを繰り返しながら笑い合った。なんて満たされた時間。ずっとこうしていたい。ずっとずっとずっと。
「ベル、愛してる……早く一緒に暮らしたい」
「ジャオ……」
「俺のところに閉じ込めて、その瞳に俺だけを映していて欲しい……ずっとずっと、こうして可愛がってやりたい……」
こんな問題だらけの発言にもときめいてしまうから、恋は盲目というのだな。妙に納得しながら、僕らは甘い時間に浸り切った。
13
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

血のつながらない弟に誘惑されてしまいました。
まつも☆きらら
BL
突然できたかわいい弟。素直でおとなしくてすぐに仲良くなったけれど、むじゃきなその弟には実は人には言えない秘密があった。ある夜、俺のベッドに潜り込んできた弟は信じられない告白をする。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(3/14)ストック更新終わりました!幕間を挟みます。また本筋練り終わりましたら再開します。待っててくださいね♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる