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第27話 胸当て

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あれから何事もなく日々は過ぎ去っていった。
僕が何かを知っても知らなくても、世界は変わらない。

今日もジャオに森に連れて行かれる。いつもなら着いた瞬間にキスで溺れさせられるのがお決まりだが、今日は違った。神妙な顔をして僕を見つめているだけだ。両腕を掴んで、今にもキスしそうな体勢だけど‪……‬彼の瞳は憂いを帯びてグレーに濁っている。とてもそんな雰囲気ではない。

「ベル、大事な話があるんだ」

大事な話‪……‬なんだろう。

ここで僕は封じ込めていた記憶を思い出してしまった。
フロストに聞いた話‪。この国は忌み族が作り上げたもので、僕もその血を引いていて、なんて‪……‬こんな話、ジャオとはしたくない‪。世界の嫌われ者として追放された祖先、僕がその、穢れた血の一族の、末裔なんだと知られたら‪……‬軽蔑されて、しまうかも‪……‬。

「‪……‬ベル?」
「あ、ごめん‪……‬」
「顔色が悪いぞ」
「大丈夫。話って何?」

だけどジャオは以前に「王国の秘密を知っている」と衛兵に啖呵を切って父上を従わせたことがある。コイツも何かを握っているのは確かだ。フロストと同じ情報か、あるいは‪……‬もっと大きな秘密なのかも。フロストの件もあるし、相談したほうがいいのか‪……‬?

「‪……‬ベルに、頼みがあるんだ」

気遣うように僕の目を指で拭うジャオ。泣いているわけじゃないのになぜだろう。心が落ち着く。
何を聞かされてもジャオの力になりたい。もう答えは決まっているようなものだ。唇を引き結んでジャオの言葉を待つ。そんな僕の意志を汲み取ったのか、ジャオは僕から目を離さず、あらんばかりの感情を込めて声を放った。


「胸当てを、してくれないか‪……‬?」


胸当て。はてそれは‪……‬衛兵が有事の際につける鎧のことだろうか。
しかし一体僕とそれにどんな関係が?

「馴染みがないからわからないか‪。‬胸当てというのは女人が胸の膨らみを隠し、また守るために着用する下着のことだ」
「え‪……‬‪……‬?」

全然、王国の秘密とかそんな話ではなかった。安堵するとともに全身の力が抜ける。

「なんだ、そんなこと‪……‬」
「そんなことじゃない。由々しき事態だ」

ジャオの顔は大真面目だ。王国の秘密を話しているとしてもなんらおかしくない険しさを纏っている。だが果たしてそれほど重要な話なのだろうか。胸当てなんて‪……‬。

「最近服の上からでも膨らんでいるのがわかる。学校の奴らも見ているぞ」
「ええ? そんなことないだろ。服の上からならほら、ぺたんこ」
「意識して見れば丸分かりなんだ。頼む、胸当てをしてくれ」

重大な話し合いがあるかと思っていただけに、気が抜けて思考力もどこかにいってしまった。面倒くさい。そんなこと、僕が今直面している問題からすれば些細な事だ。

「いいって‪……‬お前が意識しすぎてるだけだろ。誰もそんなふうに僕を見てないよ」
「見ている。ユーステンやあの上級生のことを忘れたのか」
「先輩は純粋に僕のことを好いてくれていただけだろ。ユーステンと一緒にするな」

マズい。なんだかヒートアップしてきた。
ジャオにとっては一括りなんだ。僕に下世話な欲望を持つ者も、清廉な恋心を抱く者もすべて。それって邪魔者を排除しようとしているだけじゃないのか。それって、僕が今最も忌むべき父上と、同じなんじゃないのか?

「そんなに僕を女扱いしたいのか? 勘違いするなよ、いつも流されてしまっているだけで、お前にそんな感情は一ミリもない!」

ああ、なんで僕はこんな強がりを。思えど口が止まらない。なけなしのプライドが出張ってきて、目の前の敵を言い負かそうと必死になっている。
ジャオはグッと唇を噛んで、掴んでいた僕の腕から手を外す。傷つけてしまっただろうか。だけど、僕だって‪……‬。

「男なんだ、僕は‪……‬そんなのしたくない」
「‪……‬‪……‬すまない。お前の気持ちをわかってやれていなかった」

ちがう。僕は胸当てがイヤなだけであって、ジャオを好きな僕の気持ちまで否定する気じゃなかった。
去ろうとする彼の腕を慌てて掴む。追い縋る。だけど見つめ返されると言葉が出てこなくて、俯いてしまう。

「‪……‬ベル」

ひた、頬に手を置かれる。ジャオの手、熱い。こんなにも大きくて男らしい手‪……‬僕にはないものだ。僕は、失ってしまった。そのことがひどく惨めで、自分は何者なんだろうとたびたび考え込んでしまう。
この国の王子として生きてきた。誰よりも強い男でいなくてはならないのに。あんな父上でも‪……‬僕にとっては血の繋がった唯一の父親だ。父上のように逞しくなれたらとずっと願ってきた。当たり前のように王座を継ぐものだと信じていた。
それがどうだ。女人になったからといって、英雄に好きなようにされて、惚れてしまって、挙句の果てに下着まで女人用のものを、なんて‪……‬情けなさすぎるじゃないか。

「言いすぎた‪……‬ごめん」
「ベル‪、泣くな」

言われてはじめて、自分がだくだくと涙を流していることに気付く。女人になってからというものの‪、‬ほんとうに涙腺が緩い。僕は今、ジャオのせいで泣いているんじゃない。積もり積もった不安や悲しみ、孤独感‪……‬変わっていく環境に心がついていけなくて、こうして時々発露する。何が理由だなんて一口には言えない。それを、伝えなきゃ。

「大丈夫‪……‬」
「ここに座れ」

最近はここに敷きっぱなしのシートの上に座らされる。ジャオが後ろから抱っこして抱き締めてくれた。
他人にこんなふうにされて心が落ち着くなんて‪……‬少し前の僕に言ってもきっと信じないだろう。それほどに僕は人の温もりを知らずに育った。こんなにも大切なことを教えてくれたジャオには、感謝してる。

「……ベル、キスしたい‪」
「ん~‪……‬?」
「ベル‪……‬」

聞こえないフリをすると、甘えるように首筋に擦り寄ってくる。いつものジャオのおねだりスタイル。かわいい。こんな大の男に対してかわいいという感情を持つようになったのも、僕にとっては革命だ。
ジャオの後頭部に手をまわして引き寄せる。するとジャオは嬉しそうに頬擦りして、ぷちゅ、唇をくっつけてきた。

「ン‪……‬」

好きじゃない奴とこんなことできるわけない。
ジャオ、僕の強がりを信用しないで。
僕の気持ちに気付いて。

唇を開けてジャオの舌を迎え入れる。こんなふうに首に角度をつけて受け入れている時点で察してほしい。ジャオ、僕も‪……‬いつだってお前とキスしたいんだよ。

「ン、ふっ」

これは仲直りなのだろうか。緩く舌を絡め合って互いの柔らかさを確かめ合う。ジャオの手が伸びてきて‪……‬いつものように、僕の胸を弄っている。服越しに手の平全体で揉んで、撫でて‪……‬突起を摘んで、指でクニクニと扱く‪……‬気持ち良い‪……‬女になるのが嫌なのに、こんなに感じてしまうなんて‪……‬。
僕は弱い人間だ。もっと、ジャオに触れて欲しい。愛されたい。

しかし僕の意志に反してあっけなくキスは終わってしまった。手も胸から離れてしまう。
まだ理性を手放すには触れ合いが足りていない。ジリジリと迫る熱を持て余して息をついていると、ジャオが僕の頭を軽く下に抑え込んだ。

「見ろ」
「え‪……‬?」
「お前の胸‪、‬少し触れただけでこんな風になるんだぞ」

そう言われて‪……‬驚愕した。白いシャツを押し上げた突起は、淡い桃色を晒してこれ見よがしに勃起しているのだ。完全に、わかる‪……‬こんなの、女人の胸以外にあり得ない。
ぷっくりと突き出ている様があまりにはしたなくてすぐに両腕で隠す。しかし手首を掴まれ強引に押し開かれてしまった。

「今さらなんだ。いつも学校中の男に見せて歩いているだろう」
「見せてないっ‪!」
「ベルがそんなつもりなくても、奴らの劣情は募る一方だ。思い余ってまた人生を狂わされる男が出るかもしれない」
「ど、どっちの心配をしてるんだよ!?」
「わかったら胸当てをしろ」

言いながら、服越しにこれでもかと揉みしだいてくる。豆皿‪……‬よりはもう少し育った。小さめのお椀くらいかな。しかし年頃の男子らを刺激するには十分すぎる大きさのようだ。うう、全然自覚していなかった‪……‬。

「‪……‬でも、こんな男だらけの国で胸当てなんて売ってないし‪……‬」
「ウチにならあるぞ」
「ウッ‪……‬さ、サイズまだ変わるし‪……‬」
「サイズも豊富にある。およそ3ヶ月ごとに一人産まれてるからな」
「で、でもさあ」
「まだだだをこねるのか」

すり。気付いたらシャツのボタンを外されていた。すかさずインナーの中に手を入れられる。直接触られて‪、僕の身体は歓喜に湧いた。
ジャオの手がぴったりと僕の胸を包んで、サイズを確かめるようにじっくりと揉みしだいてくる。見下ろすと、僕の胸元がジャオの手の分だけ膨らみを増して、いやらしく動いていて‪……‬卑猥だ。

「こんなに育ってるじゃないか‪……‬乳首も大きくなってる」

中で突起をピンピン弾かれる。無理やり自覚させられてるみたいだ。僕の胸はこんなにも性的で、反応が良くて、男に狙われて然るべきものだと‪‬。

「学校の奴ら皆お前のムネをジロジロと見ている‪。気が気じゃないんだ‪‬」
「お前にしか、こんなことさせないっ‪……‬」
「わかってる。だが奴らの頭の中では確実にお前が穢されてる‪……‬この乳首を、指で乱暴に扱いたり、舐めまわしたり‪……‬そういう妄想でいっぱいなんだぞ」
「っ‪……‬」
「何感じてる?‪ ……‬お仕置きだ」

インナーまで脱がされた。開け放されたシャツの真ん中で、興奮しきった胸元がさらけ出されている。ジャオは前に回って僕を抱っこする。ジャオの顔が、僕の胸にぱふっと収まった。恥ずかしい。思っても勝手に甘い声が漏れる。

「ああっ……」
「こんなに柔らかいのに‪……‬乳首だけいやらしく勃起していてカチカチだな」

顔を離したジャオが今度はふーと息を吹きかけてきた。びびび、と足の指先まで痺れてのけ反る。まさか。思っても僕は抵抗できない。だんだん近づいてきて口を開けるジャオを、期待に満ちた眼差しで見つめることしかできない‪……‬。

「あ‪……‬!」

舌が、触れる。
挑戦的な瞳で僕を見上げて目を合わせたまま、レロレロと舌先で乳首を弄んでいる‪……‬!

「‪……‬胸当てをしないと人前に出られないような身体にしてやる」
「いや‪……‬ジャオ‪……‬やめてぇ~」
「そんな嬉しそうな顔をしてよく言うな」

……‬僕、いったいどんな顔をしているのだろう‪……‬。
両手で覆って隠すと、ジャオがついに唇でかぶりついてきた。胸全体をジュッジュツと吸い上げられて「あーーー」「あーーー」と声が出る。これをずっとやって欲しいって妄想してたから、いざ本当にされると‪……‬嬉しさが暴走して、余計に気持ち良くなる‪……‬!

「ン‪……‬ふきか? これ」
「そこで‪……‬喋るなあッ‪……‬!」

考えるような間が少し開いて、ジャオはふたたび僕の胸にかぶりつく。口の中で乳首に舌をゆるゆると巻き付けて愛撫されると僕はいよいよ人語を喋れなくなった。「あー」「うー」「あー」黙ってればいいのに声が止まらない。
突然ジュジュッ! と舌で吸い付かれて喉がしゃくり上げる。胸で感じすぎて死ぬ。本気でそう思った。

「ずいぶん感じやすいんだな‪……‬」
「ああっ、ううう」

小休止の間も爪で先端をカリカリしてきて、僕だけ休憩させてもらえない。気持ちいい。気持ちいいけど拷問だ、こんなの。

「もしかして……一人でスる時に、ここ、触ってるのか?」

ピシッ。手に覆われた顔面の筋肉が一瞬にして硬直した。そんなこともわかっちゃうの? えなんで? 普通はこんなに感じないということか? ‪……‬そうだよな‪。僕だって男の時は自慰で胸なんて触ったことなかった‪。

「ベル、自分で胸を弄るところ見せてくれ」
「へ!? い、いや‪……‬」
「少しでいいから」
「そんなこと、言われたって‪……‬」

強引に手を顔から外されて胸元に置かれてしまった。ジャオの意地悪な笑みが広がる。紅い眼光が無様な僕を照らす。

「言う通りにしたらたっぷりご褒美やるぞ」
「ご褒美‪……て‬」
「イくまで乳首を俺の指と舌で弄ってやる」

……今、内股がキュンッてした。
言葉に感じて咄嗟に脚を閉じたの、ジャオにはバレていませんように……。

ジャオの長い舌が見せつけるように目の前に差し出される。その舌は僕の頬を舐め上げ、口の端に移動して、やがて口の中に入ってきた。舌を吸う時に乳首と同じような吸われ方をされて、直接触られたわけじゃない胸元がピクンピクンと反応してしまう。

「ほら、お前のいやらしい姿、見せてくれ」
「うう‪……‬」

目を逸らして恥辱に耐えた。もう諦めるしかない。ジャオは僕のはしたない部分を何度も見てきている。隠そうとするなんて今さらだ。
僕はジャオとは絶対に目を合わせないままに、己の乳首を人差し指と親指で摘まんだ。控えめに捏ねはじめる。ジャオのめらめらと燃える視線に焦がされて‪……‬僕の身体もじりじりと熱を溜めていく‪……‬。

「あ‪……‬あんっ‪……‬はあ‪……‬はぁんっ」

自分で引っ張っただけで腰が跳ねる。なんてザマだ。もうこれで十分だろうと言いたいのに、ジャオが止めないから、じっと見つめてくるから‪……‬僕はやめるタイミングを見失ってしまう‪……‬。

「あっあっ‪……‬しゅご、いぃ‪……‬はっはっ‪……‬」

目を閉じて感じ入る。ジャオの前でこんなことしてるなんて‪……‬これが夢か現実かもわからなくなる‪……‬僕は舌を出しっぱなしにして、一人きり風呂場にいるような錯覚に陥っていた。

「あっこれしゅき‪……‬ジャオ‪……‬ベルこれしゅきなのぉ‪~ッ‪……‬」

ジャオの吐息が顔にかかる。もう間近まできている。これすら自分の都合のいい妄想が五感に移ったのだと思い込み、乳首を引っ張り続ける。

「しゅごいぃ、もぉ、もおダメだよおジャオ、こわれちゃうよお~~ッ」

そう言いながら自分で限界まで乳首を伸ばす。ジャオにこんなふうにされたことはない。でも妄想の中では何度もやられた。今だって、僕は現実よりも意地悪で乱暴なジャオに、迫られているんだ。

「イく、イくぅ、ジャオ、ごめんなしゃいぃ、イっちゃう、ぼく、おっぱい痛めつけられてイっちゃうとこ見てぇええ」

カクン。一気に全身の力が抜けた。股からは何も出ない。だけど確実に僕の身体は達したのだ。薄目を開けてジャオの目を見る。これが現実だということを思い出すと、瞬時に羞恥で顔が爆発した。

「ち、ちがう‪……‬! 今のは」
「ベル」

ググっ。手首を掴まれてしまった。今までで一番強い。ジャオの八重歯が、今にも己の唇を食い破りそうなほどに食い込んでいる。苦しそうなのに、嬉しそうに、笑っている。

「もう我慢できない。犯す」
「へ!?」
「お前がこれ以上自分一人で覚えていくのが耐えられない」
「うあっ‪……‬」

カプッ。首筋に歯を立てられて僕は小動物のように死を覚悟した。しかし実際にジャオがズボンを下ろしているのが見えると、耐え難い恐怖に全身が支配され、腰で後ずさる。
ジャオが覆い被さったままついてくる。僕の下半身をむき出しにして擦り付けてくる。ち、力が抜けて‪……‬ヤバい。

「ジャオ、まだ、入らないからっ‪……‬」
「ぶち抜きたい。俺ので」
「こわいこと言うなっ‪……‬! あ、ああ、ダメってっ‪……‬」

僕の穴らしき場所を先端がつぷつぷとノックしてくる。やだ、本気でやだ。指なら挿入るけど、こんな凶悪的なサイズ……出血したらどうしてくれるんだ……!
身体を硬くして本気で暴れる。するとジャオは不服そうな顔つきで、拘束を解いてくれた。
二人の股の間でジャオのがヒクヒクと揺れている……。

「ジャオ、ごめん‪……‬つらい、よな‪……‬?」
「‪……‬キスしてくれ」
「え‪……‬?」
「ベルとキスしながら出したい‪……‬」
「わ、わかった‪……‬」

ここまできて断れない。僕は起き上がり、目もつむらずに待つジャオに唇を寄せて、そして気付いた。

キス、僕からするのはじめてだ。
緊張する。うまくできるのかな‪……‬。

チュッ。まずは触れて弾く。触れるだけでは‪……‬物足りないよな。いつもジャオがしてくれるみたいにチュッチュってしたい‪……‬。
気持ちだけが先立って、ペロペロとジャオの唇を舐める。いかん、これじゃ仔犬だ。もっとジャオの中のほうを舐めたい‪。

「ジャオ。口開けて‪……‬?」

後頭部に手をまわして髪に手を入れる。ジャオの身体が少し震えた‪……‬ような気がする。だけど今度は、薄目を開けて舌を出しながら待つジャオのかっこよさとエロさに僕のほうがアテられてしまった。

「かっこいい、ジャオ‪……‬」

思わず本音が漏れてしまう。今日はなんだかヤバい。
その国宝級の顔面を両手で包んで、ゆっくりと唇を重ねた。ジャオが下のほうで扱いている振動が伝わってくる。僕はやっぱりリードできなくて、ジャオが舌を絡めてくれたから、それに必死に応えているだけ。
ジャオの息が弾んでいるのがわかる‪……‬そんな気持ち良さそうな呼吸されたら、僕まで感じちゃう‪……‬。
ハアハアって吐息を交換し合って、舌先をつけたままジャオが僕を見つめる。唾液が垂れ落ちて離れると、額がコツンとぶつかる。

「ハア、ベルっ‪……‬イくっ」
「うん‪……‬イって‪……‬?」
「クッ‪……‬!」

発射と同時に僕のほうからジャオの唇を奪った。のに、またあっけなく絡め取られて、頭を抱き寄せられ骨抜きにされる。
射精してるジャオの息、熱くて気持ちいいよぉ‪……‬呼吸も乱れていつもとちがう、色っぽい‪……‬好き、好き、好き‪……‬。

「ハァ‪……‬‪……‬」
「ベル」

ドサッ。また押し倒されてしまった。
なんで。今出したばっかだろ?

「ご褒美がまだだったな?」
「え? あ‪……‬?」

胸を開かれてジャオの顔が埋められるまで、一秒。思い出す前に始まってしまった。
ジュルジュルジュル‪……‬チュクチュク‪……‬ヂュウッ‪……‬乳首を吸われる卑猥な水音に顔を隠して感じ入る。
どうしよう。いやらしいことが終わらない。なまじ本番で発散できないだけに、僕もジャオも身体に燻った熱を持て余してしまっているようだ。

「ジャオ、ああっ‪……‬ジャオお‪……‬」
「胸当てするよな? そうすれば遠慮なくこれからここを育ててやれるぞ」

育てる、って‪……‬。
ゴクリと唾を飲む。よりいっそう胸にたくさん愛撫をしてもらえる‪……‬もっと乳首が大きくなって胸が張っちゃうようなこと‪……‬シてもらえるってこと‪か……‬?
胸に満ちた甘い期待が、僕の声を高く、媚びるような響きに変化させる。

それから小一時間は、ジャオは僕の胸を味わっていた。
美味しそうに味わう合間に唾を飲み下す喉の動きがセクシーで……見つめている僕まで、生唾が出てしまう。だけど愛撫に感じるのに夢中で、飲み込めなくて……首元がダラダラと濡れていく。ジャオはそれすら喜んで舐め取った。キスもいっぱいしてもらって、幸せだった。

城に戻ってもしばらく余韻が抜けず、疼く乳首から意識が離れなくて、僕は…………その日は一日中、ジャオのことが頭から離れなかった。

胸当て、しないとな……だってもっともっと、ジャオに乳首、してほしいから……。
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