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第25話
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慧は月曜日にインフルになったため土曜日までは会えない。その間は"もう一度君の笑顔を"と"僕らのYell"を同時進行で覚えることにした。月島さんは動画を見て振り付けを覚えて俺らに教えてくれる。やっぱり1曲目の時のように振りを覚えるのが早かった。今日はマンツーマンで教えてもらえるから前の時よりも覚えが早いといいな。曲調が真逆と言っていいほど違うこの2曲。それでも月島さんはこの2曲どちらとも歌もダンスも淡々とこなしていく。
休憩中、ふと月島さんの顔を見るとなんとなく表情が暗い気がした。やっぱりまだ体調万全じゃないのかもと思い、月島さんが求めている言葉を一生懸命探した。
「月島さんもやっぱり慧がいないと寂しい?笑」
月島さんは鼻で笑った。
「なんか優真ってさ、たまに"お兄ちゃん"って感じするんだよな。そういう意地悪な聞き方も。上手いよなぁ」
「やっぱり寂しいんだぁ」
「まぁね。前はもっと落ち込んでたよ。寝る時以外ずっと爽一郎か篠宮に背中さすってもらってた。今は優真がいるからさ」
一瞬心臓がドキッとした。ずるいなぁ月島さんは。俺が求めていた言葉のはずなのにいざ言われると喜びより照れが勝つ。
「おーい紫織ー!阿部先生から電話ー」
「は、待って。最悪。だる」
月島さんの家に電話がかかってきているということは俺の家にもかかってきているんじゃないかと不安になった。前期にも3人で休んだし、やっぱりサボっているのがバレてるのかも。
「3人で休み過ぎだとよ。今回は慧がインフルで診断書ももらってるからいいけどこのメンバーで休み過ぎると生徒指導がうるさくて阿部ちゃんが怒られるんだって」
「阿部先生は怒ってなかったの?」
「え?怒るわけないじゃん笑 阿部ちゃんはうちらがサボってんの知ってるよ。うちが単位ギリギリでほとんど登校してなかったから登校日数が多くなってるだけで十分らしい。ただ阿部ちゃんの強敵"生徒指導"がいるから今後はサボるの禁止だな」
「月島さん阿部先生のことは信頼してるんだね」
「かっこよくない?阿部ちゃん」
あれ……これどっちの意味だろう。好きの方なのか尊敬の方なのか。もし好きの方なら篠宮さんのことはどう思っているのか全く想像もつかない。慧も俺も月島さんは篠宮さんのことが好きだと思っていた。
「かっこいいって?」
「んー分かんないけど。紳士的じゃない?」
"紳士的"…これ好きな人にしか使わない言葉だよね!?阿部先生は俺らの7個上。絶対に俺恋愛対象じゃないじゃん。月島さんは年上が好きなのか。なんとなく分かっていたものの、いざ直接言われると胸がズキズキと痛む。
「おう!今日は2人とも来てくれたか」
「阿部ちゃんおっはよー!」
来て"くれたか"か……阿部先生のこういう所に月島さんは心惹かれたのかな。なんか月島さんの周りって爽やかな笑顔の人多くない?慧も爽一郎さんも篠宮さんも阿部先生も。多いって言うか月島さんと仲のいい人全員そうじゃん。なんだよ。俺だけ爽やかじゃないってか?ハァー何にキレているんだ俺は。というか阿部先生に嫉妬し過ぎだよな。阿部先生が月島さんを好きだったらそれはなんかヤバそうだし、月島さんも頭良いから付き合えないことくらい分かっているだろうに好きなのか?そもそもまだ好きと決まった訳ではないが……
「あ!今日真佑ちゃん貸してくんね?帰りはちゃんと篠宮と家まで送るから。な?お願い!」
「いいけど…2人で何するの!」
「それは教えないよ。女子同士の同盟だもん」
女子同士の同盟って何なんだろうか。まあ俺の他に頼れる人ができてくれたのは嬉しい。少しだけ不安だったから。中学生はまだまだ子どもだろと思っていたが、思いのほか好きな人や彼氏ができたとかお洒落なカフェに行きたいとか、たまに普通の高校生よりも大人びた事をしたりしていた。俺は全くついていけないが、月島さんならそういう事に詳しいため、友達になってくれて本当に感謝している。
休憩中、ふと月島さんの顔を見るとなんとなく表情が暗い気がした。やっぱりまだ体調万全じゃないのかもと思い、月島さんが求めている言葉を一生懸命探した。
「月島さんもやっぱり慧がいないと寂しい?笑」
月島さんは鼻で笑った。
「なんか優真ってさ、たまに"お兄ちゃん"って感じするんだよな。そういう意地悪な聞き方も。上手いよなぁ」
「やっぱり寂しいんだぁ」
「まぁね。前はもっと落ち込んでたよ。寝る時以外ずっと爽一郎か篠宮に背中さすってもらってた。今は優真がいるからさ」
一瞬心臓がドキッとした。ずるいなぁ月島さんは。俺が求めていた言葉のはずなのにいざ言われると喜びより照れが勝つ。
「おーい紫織ー!阿部先生から電話ー」
「は、待って。最悪。だる」
月島さんの家に電話がかかってきているということは俺の家にもかかってきているんじゃないかと不安になった。前期にも3人で休んだし、やっぱりサボっているのがバレてるのかも。
「3人で休み過ぎだとよ。今回は慧がインフルで診断書ももらってるからいいけどこのメンバーで休み過ぎると生徒指導がうるさくて阿部ちゃんが怒られるんだって」
「阿部先生は怒ってなかったの?」
「え?怒るわけないじゃん笑 阿部ちゃんはうちらがサボってんの知ってるよ。うちが単位ギリギリでほとんど登校してなかったから登校日数が多くなってるだけで十分らしい。ただ阿部ちゃんの強敵"生徒指導"がいるから今後はサボるの禁止だな」
「月島さん阿部先生のことは信頼してるんだね」
「かっこよくない?阿部ちゃん」
あれ……これどっちの意味だろう。好きの方なのか尊敬の方なのか。もし好きの方なら篠宮さんのことはどう思っているのか全く想像もつかない。慧も俺も月島さんは篠宮さんのことが好きだと思っていた。
「かっこいいって?」
「んー分かんないけど。紳士的じゃない?」
"紳士的"…これ好きな人にしか使わない言葉だよね!?阿部先生は俺らの7個上。絶対に俺恋愛対象じゃないじゃん。月島さんは年上が好きなのか。なんとなく分かっていたものの、いざ直接言われると胸がズキズキと痛む。
「おう!今日は2人とも来てくれたか」
「阿部ちゃんおっはよー!」
来て"くれたか"か……阿部先生のこういう所に月島さんは心惹かれたのかな。なんか月島さんの周りって爽やかな笑顔の人多くない?慧も爽一郎さんも篠宮さんも阿部先生も。多いって言うか月島さんと仲のいい人全員そうじゃん。なんだよ。俺だけ爽やかじゃないってか?ハァー何にキレているんだ俺は。というか阿部先生に嫉妬し過ぎだよな。阿部先生が月島さんを好きだったらそれはなんかヤバそうだし、月島さんも頭良いから付き合えないことくらい分かっているだろうに好きなのか?そもそもまだ好きと決まった訳ではないが……
「あ!今日真佑ちゃん貸してくんね?帰りはちゃんと篠宮と家まで送るから。な?お願い!」
「いいけど…2人で何するの!」
「それは教えないよ。女子同士の同盟だもん」
女子同士の同盟って何なんだろうか。まあ俺の他に頼れる人ができてくれたのは嬉しい。少しだけ不安だったから。中学生はまだまだ子どもだろと思っていたが、思いのほか好きな人や彼氏ができたとかお洒落なカフェに行きたいとか、たまに普通の高校生よりも大人びた事をしたりしていた。俺は全くついていけないが、月島さんならそういう事に詳しいため、友達になってくれて本当に感謝している。
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