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第4話

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「なんで最近うちらに関わろうとしなかったの。慧の誘い断ったり、席で隣になったのに1回も話しかけてこなかったじゃん。あからさま過ぎね?」
執事の篠宮さんが飲み物やお菓子を持ってきてくれた後、3人になった。俺は慧と月島さんに全てを話そうと思った。
「俺さ、実は家めっちゃ貧乏で親は基本的に家にいないんだよ。夜働きにでて昼は遊んでご飯も買ってきてくれない。行き当たりばったりでヤって子ども産んだら俺に任せて。だからお父さん一緒の兄弟いないんだよ。あっ。俺は中1、小3、小2の妹と、さっきの5歳と3歳の弟がいるんだ。当時の家の大家さんに手伝ってもらったりして面倒みてきてさ。前の家は老朽化で取り壊しが決定して家賃も高くなるから引越そうと思ってここに来たんだよ。」
「でもこの辺割と物価高くね?大丈夫なの?」
「物価が高い分時給も高いし、家賃も前の家とほぼ変わんないから。あとは学校だね。訳ありな子たちが通ってる学校だって大家さんが教えてくれた。」
「俺と紫織は家が近くて勉強にも力入れてるからっていう理由で入ったんだけどさ、子どもがいるとか、小松みたいに他の学校が受け入れてくれないくらい中学でやらかしてたとか、不登校だったとか訳ありかどうかは分かんないけどそういう子多いよ。」
「いつみんなにこの事を言ったらいいのか分かんなくてみんなを裏切る形になっちゃった。まあでも俺には本当の友達って言える人はいないんだって分かったから、夏休み前に知れて良かったなと……」
「うちらも本当の友達じゃないんだ。」
思ってもない事が口から出た瞬間、月島さんはそう言った。そう言ってくれた。
「こんな俺が2人の間に入るなんてできなかった。俺がいると2人には迷惑かけちゃうから。」
「馬鹿言うなよ笑 友達なんて迷惑かけてなんぼだろ。明日3人で学校サボるかー!弟たち保育園預けた後、みんなでどっか行こうぜ。」
「紫織はなんでそんな学校サボりたがるんだよ笑 優真と一緒に学校行けばいいだろ。お前もしかして自分がサボりたいんじゃね?」
「は?当たり前だろ!?学校はサボるためにあんだよ」
「いや、ごめん。バイト先シフトあんまり入れてくれなくて今はお金ないからサボる選択肢はないかな…」
「バイト辞めれば?うちでバイトしろよ。」
一瞬何を言っているのか分からなかった。さっきの爽一郎さんは社長さんなのか?まあこんだけお金持ちなら社長さんでもおかしくないが、若すぎやしないか?俺の事を教えたから次は月島さんの番だよと言い、色々聞いてみた。
「親は海外にいて、医者やってる。お金持ちな理由はまた別にあって忍者の末裔だからっていう…。まあ信じなくてもいいんだけど。爽一郎は弁護士をやってて、爽一郎の1個下に涼太郎っていう弟がいるんだけどパイロットやってるから一緒には住んでない。喧嘩が強かったのは家系的に武術をやらされていたから。とりあえず今執事足りないからうち来なよ。ちょっとしたお料理とかお掃除とか…休みたい時は休みな。うちが変わるから。あとこれからは バイトの日の夜ご飯は兄弟全員連れてきてうちで食べなよ。賄いってやつだな。部屋はないから泊まることはできないけどな。」
彼女は微笑みながら話してくれた。詳しい話は爽一郎さんに聞いた。明日はみんなで学校サボって執事の職場体験をすることになった。月島さんは学校サボっても職場体験なら意味ねぇじゃねえかと爽一郎さんに泣きながらすがりついていた。

今日の保育園の送り迎えには篠宮さんもついてきてくれた。篠宮さんは本当に子どもの扱い方が上手い。朝駄々を捏ねていた弟たちを笑顔にして保育園に送り出した。大変な生活を4人で分散できているようで肩の荷が下りる。その後は月島さん家でお掃除をした。やっぱり家が広いから大変だ。でもみんなでやってれば楽しかった。あっという間に夕方になり、職場体験も終わった。慧と月島さんは俺を屋上テラスへと連れて行ってくれた。昨日は夜で気づかなかった海が見える。地平線に沈む夕日がとても綺麗でそれに照らされる2人の顔はもっと綺麗で美しかった。かっこよかった。
「明日は3人で学校行こうね」
「優真が言うならしょうがねぇな。行くか。」
だるそうに月島さんが言う。それにみんなで大笑いしたが、俺は初めて名前を呼んでくれた事に照れて顔が赤くなった。まあ夕日に照らされているからバレてないだろう。
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