刻印

文字の大きさ
上 下
205 / 232

-204※

しおりを挟む
 ハルの言葉に、匠の首筋をヌメヌメと撫でていた老人は嬉しそうに顔を上げた。

「そちらの男に……?
 本当によろしいんで……?
 でしたら、まだまだ試したい物がたくさん……」

 老人は、匠に飲ませた薬が入っていた自分の鞄を手元に引き寄せると、中にあった器具や薬瓶、注射器をバラバラとベッドの上に広げて見せた。
 その数を見て思わずハルも苦笑う。

「先生もお好きですね。
 いや、研究熱心と言うべきでしょうか。
 しかし、この男の頭脳、殺すには惜しいですから、死なない程度なら何をしても構いませんよ」

「死なない程度……ですか。
 ……でしたら……」

 まるでトランプでも選ぶように手を動かしながら、老人は楽しそうに薬を選び始めた。
 そして、しばらくカチャカチャと音を立てていたが、
「では、こんなもので……」と、数本の注射器や薬瓶を選び出し、掌に並べて見せた。

「ええ、どうぞお好きに」
「……本当に!? ありがとうございます。
 では早速……」

 老人が嬉々としてその顔を綻ばせた時、薬が並べられていたその皺だらけ手を、匠の右手がグイッ!と掴んだ。

「やめろ……。
 流さんには……絶対に触れさせない……。
 薬が試したいなら……俺の体でやれ……!!」

 蒼白の肌に血の気の引いた冷たい手。
 いきなり手を掴まれた老人の体が跳ね上がった。

「……ヒィ……!! ……や……やめぃ……!!
 離せっ……こらっ!」

 老人は自分の手を掴む匠の腕を、鞄から転がり出ていた金属のケースで何度も殴りつけた。
 だが匠は手を離そうとはしない。

「ほう……。
 まだそんな力があったのか」

 ハルは感心したように匠の顔を覗き込むと、その背中に手を置き爪を立て、刻印を鷲掴んだ。

「……ンッっ……!」
 匠が痛みに体を震わせる。


「おい、どうした。
 タクミはまだまだ物足らないと言ってるぞ?
 もう終わりか?」
 ハルは匠の体を貫く男に振り返り、そう言って笑った。

「クッ……」
 男は、それが匠の虚勢であり、ハルの挑発であるとわかっていても、そう言わせた事が悔しかった。
 これだけ激しく犯しながら、まだ反抗的に口を利く匠に怒りさえ覚えた。

 二度とそんな口がきけないようにしてやる……!
 
 男の動きが激しくなった。
 熱く太いモノが匠の内膜を擦り上げ、力任せに抽挿を繰り返し湿った音を立てる。

「ンッグッ……! ……っぁあああああっっ!!!」
 声を上げる匠の背中が大きく仰け反った。

 意識を失うわけにはいかなかった。
 今、この手を離してしまったら……流さんは……。
 左手で強くタグを握り締めた。
 複雑な形の龍のタグが掌に食い込む。
 その痛みで遠退きそうになる意識を食い止めていた。
 それでも背後の男の動きは止まらない……。

「クっ……んっぁああっ!!
 ……んっんっんぁあっあっ!!!」

 匠の悲痛な喘ぎと淫猥な音をさせながら、男は何度も匠の体を突き上げ犯し続けた。
 匠の声も徐々に掠れ、力弱くなっていく。

「もう、もう……やめろっーーー!」
 深月は目の前の光景に、弱っていく匠の姿に耐え切れず叫び続けた。


 長い長い時間だった。
 グッと一段強く匠の腰を掴み体を密着させると、男が「クッ」と小さな声をあげ、眉間にシワを寄せた。

 動きが止まった。
 匠の体内で男のモノがビクビクと波打つように脈動する。

 ハァハァ……
 ハァハァ……
 
 男も息を上げ、匠の体を抱えたまま、いつまでもその欲望を吐き出し続けた。
 匠は強く目を閉じタグを握り締める。
 老人の手を掴む右手も震えていた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

父のチンポが気になって仕方ない息子の夜這い!

ミクリ21
BL
父に夜這いする息子の話。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

処理中です...