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 ……私が……エリートを壊す……?
 男は下を向き、目の前で苦し気に喘ぐ匠の顔を見た。

 ついさっき自分の中に芽生えた初めて感情……。
 男を抱きたい……。
 そしてそれを滅茶苦茶にしてやりたい……。
 しかし本当にそんな事が……。
 
 グッと耐えるように唇を噛む男を見つめながら、ハルはクスリと笑った。
 匠の体から自身を引き抜くと、溢れた精がゆるりと零れ落ちる。

「こっちへ来い」
 その言葉に男はハッと顔を上げた。

「早くしろ」
「……は……はい……」

 男が押さえ付けていた脚を放すと、匠はその苦しい体勢からやっと解放され、呻きながら刺された左腕を押さえた。
 陵辱された体の痛みで身を捩り、自由になった脚で、熱で灼けそうな背中をわずかに持ち上げる。
 ハァハァと匠の苦しい息遣いが響く部屋で、男はハルに呼ばれるまま、おずおずとベッドへと上がった。

「ほうほう……。
 このお堅い男が初めて男を抱くか……。
 これもまた一興……。お前さんも、いい玩具だな……」

 老人は嬉しそうに匠の体を何度か撫でた後、瓶から直接酒をあおり、緩んだ口元をクッと袖で拭った。


「お前、女は抱いた事があるのだろうな?
 男の体は女のように柔らかくは無いぞ」

 ハルは男の手首を掴むと、匠の胸へと持って行きその突起を触らせる。
 老人の薬とかされたばかりの体で、匠の反応は敏感だった。

「……んっ……!」
 小さな声を上げ体が跳ねる。
 
 その反応に驚いたように、男は咄嗟に手を引こうとしたが、ハルの手が掴んで離さなかった。

「どうだ……?
 タクミは敏感だ。可愛いだろう?
 もっと虐めてみたいなら、構わない、やってみろ」
 冷たいハルの嗤うような声だった。


 躊躇する男の手にハルは自分の手を重ね、匠の体をゆっくりと撫で回した。
 ハルの手で勝手に動かされながらも、男はその匠の肌に、言いようの無い昂ぶりを抑えきれなくなっていく。

「……いい体だ……」
 ハルの声に、自分でも気が付かぬうちに頷いていた。

 たった今、目の前で見たこの二人の交わる姿が頭から離れなかった。
 同じように支配して、この目の前の美しい男を自分の体で……。
 同じように陵辱して、この昂ぶりを思い切り吐き出せたら……。
 早まる鼓動が苦しい程に男の体を締め付ける。


 浅葱の手でもなく、ハルでも老人でもないゴツゴツと硬い無骨な手が、自分の体を撫で回していた。
 その手は下腹部から更に下がり、ゆっくりと自分のモノを包み込む。
 加減を知らない荒々しい手で、それは握り締められ、ぎこちなく動き始める。

「……んっ! ……や……やめろ……」
 匠が声を上げた。

「口でやってみろ」
 匠の声を無視し、ハルは男の頭を押さえ、匠の脚間にその顔を近付けさせる。

 ……!!
 男は驚き、一瞬ハルの方を振り返った。

「……やれ……」
 冷たく笑うハルは、顎で男にそう言った。
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