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匠はそのまま目を閉じ顔を背けた。
飲まされた薬のせいで勝手に火照り始めた体に、声を上げまいと耐え、グッと唇を噛み締める。
「……誰だ……。
タクミ……誰に抱かれた……」
ハルの声は静かだった。
いつもの笑うような、戯る様子はまるで無く、ただただ冷たく静かだった。
まるで蒼炎を纏うその静けさに、匠の腕を押さえる秘書の男は恐怖さえ感じ、背中が総毛立つ感覚にゾクリと身を震わせた。
ハルの手が伸び、顔を背けた匠の顎を掴んで正面を向かせると、真っ直ぐにその顔を見据える。
「……言え……」
だが匠は目を閉じ、硬く唇を結んだまま、何も話そうとはしない。
黙り込み、完全にハルの存在を無視しようとするその姿に、ハルは目を伏せ、大きく溜息のような息を吐いた。
そして、再び全裸の匠の上に馬乗りになった途端、ハルの手の甲が匠の頬を激しく打ち据えていた。
「……ンッッ!」
指にはめられた指輪で頬が切れ、ゆっくりと血が滲む。
「……答えろ。
答えろ、タクミ……」
ハルは何度も平手で打ち続けた。
匠はまるで翻弄される人形のように、されるがまま、ただ苦しそうに息をする。
飲まされた薬が急速に体に回っていく。
「もう苦しいのだろう?
もう私が欲しくてたまらないのだろう?
ならば言え……誰がお前を抱いた……。
……お前は一生私だけのモノだ。
この刻印は、私の印だ。
私が欲しいと……その口で、その声で言え。
懇願し、くださいと乞い願え……」
ハルの手が匠のモノを強く掴む。
「……んっぁっぁ……ッ……!」
薬で敏感に研ぎ澄まされたその感覚に、匠は思わず声をあげ、腰を浮かせ身を捩った。
「これほど自身を昂ぶらせておいて、まだ言わないのか……。
素直に言えば、すぐに楽にしてやる」
「誰が……お前なんか……に……」
匠が小さく呟くと、ハルの目が静かな怒りに満ちた。
馬乗りになったまま、側の果物ナイフを逆手に握り取ると、押さえ付けられている匠の左上腕に、何の躊躇も無くグサリと突き立てた。
「……ンッグッ!!」
衝撃で匠の体が跳ね上がる。
だがハルを睨み返したまま、声さえ上げようとしない。
小さな果物ナイフは、そのハルの力で、柄の付近まで腕に突き刺さり、溢れた鮮血が白いシーツをジワリと真紅に染めていく。
腕を押さえていた男も驚き、その手が一瞬緩んでいた。
「……手を離すな!」
それまでの静かなハルからは想像できない程の声だった。
「申し訳ありません……!」
男が慌てて、再び匠を押さえ込もうとする。
「腕はもういい。もうどうせ動きはしない。
そこからタクミの脚を持ち上げろ」
ハルはじっと匠の顔を見つめたまま、無表情にその体から降りるとそう告げた。
「……っ……あ……はい」
頭側に立っていた男が体を伸ばし、覆いかぶさり匠の脚まで手を伸ばす。
そのまま下からすくうように膝下に手を差し入れ、頭の方へと引き上げた。
「……ンッッ……! ……クッ……ッ……!」
体を丸めた格好で膝を持ち上げられた匠は、後ろを露わにされたまま、刺された腕と、背中が引き攣る痛みに思わず声を上げた。
「そのままだ、じっとしていろ。
本当に誰かに抱かれたのか……確かめてやる」
飲まされた薬のせいで勝手に火照り始めた体に、声を上げまいと耐え、グッと唇を噛み締める。
「……誰だ……。
タクミ……誰に抱かれた……」
ハルの声は静かだった。
いつもの笑うような、戯る様子はまるで無く、ただただ冷たく静かだった。
まるで蒼炎を纏うその静けさに、匠の腕を押さえる秘書の男は恐怖さえ感じ、背中が総毛立つ感覚にゾクリと身を震わせた。
ハルの手が伸び、顔を背けた匠の顎を掴んで正面を向かせると、真っ直ぐにその顔を見据える。
「……言え……」
だが匠は目を閉じ、硬く唇を結んだまま、何も話そうとはしない。
黙り込み、完全にハルの存在を無視しようとするその姿に、ハルは目を伏せ、大きく溜息のような息を吐いた。
そして、再び全裸の匠の上に馬乗りになった途端、ハルの手の甲が匠の頬を激しく打ち据えていた。
「……ンッッ!」
指にはめられた指輪で頬が切れ、ゆっくりと血が滲む。
「……答えろ。
答えろ、タクミ……」
ハルは何度も平手で打ち続けた。
匠はまるで翻弄される人形のように、されるがまま、ただ苦しそうに息をする。
飲まされた薬が急速に体に回っていく。
「もう苦しいのだろう?
もう私が欲しくてたまらないのだろう?
ならば言え……誰がお前を抱いた……。
……お前は一生私だけのモノだ。
この刻印は、私の印だ。
私が欲しいと……その口で、その声で言え。
懇願し、くださいと乞い願え……」
ハルの手が匠のモノを強く掴む。
「……んっぁっぁ……ッ……!」
薬で敏感に研ぎ澄まされたその感覚に、匠は思わず声をあげ、腰を浮かせ身を捩った。
「これほど自身を昂ぶらせておいて、まだ言わないのか……。
素直に言えば、すぐに楽にしてやる」
「誰が……お前なんか……に……」
匠が小さく呟くと、ハルの目が静かな怒りに満ちた。
馬乗りになったまま、側の果物ナイフを逆手に握り取ると、押さえ付けられている匠の左上腕に、何の躊躇も無くグサリと突き立てた。
「……ンッグッ!!」
衝撃で匠の体が跳ね上がる。
だがハルを睨み返したまま、声さえ上げようとしない。
小さな果物ナイフは、そのハルの力で、柄の付近まで腕に突き刺さり、溢れた鮮血が白いシーツをジワリと真紅に染めていく。
腕を押さえていた男も驚き、その手が一瞬緩んでいた。
「……手を離すな!」
それまでの静かなハルからは想像できない程の声だった。
「申し訳ありません……!」
男が慌てて、再び匠を押さえ込もうとする。
「腕はもういい。もうどうせ動きはしない。
そこからタクミの脚を持ち上げろ」
ハルはじっと匠の顔を見つめたまま、無表情にその体から降りるとそう告げた。
「……っ……あ……はい」
頭側に立っていた男が体を伸ばし、覆いかぶさり匠の脚まで手を伸ばす。
そのまま下からすくうように膝下に手を差し入れ、頭の方へと引き上げた。
「……ンッッ……! ……クッ……ッ……!」
体を丸めた格好で膝を持ち上げられた匠は、後ろを露わにされたまま、刺された腕と、背中が引き攣る痛みに思わず声を上げた。
「そのままだ、じっとしていろ。
本当に誰かに抱かれたのか……確かめてやる」
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