刻印

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 “どんなお前でも……”
 その声に顔を上げると、目の前に真っ直ぐ自分を見つめる浅葱の顔があった。

 この人なら……。
 どんな自分でも受け入れてくれる……。
 

 蘇る忌まわしい地下室の “記憶”
 あの記憶は一生消える事はない……何一つとして。
 この体の刻印も、あの屈辱も、あの痛みも……。
 でもこの人なら……この人の前でなら、それを取り繕う必要はない……。

 どんな体の自分でも、
 どんなに惨めな自分でも……、
 どんなに穢された自分でも……。
 この人の前では、どんなに乱れようとも……ありのままで……。

 ……浅葱さん……。



 匠は、浅葱の肩に手を置き、足に力を入れて自らの体を動かし始めた。
 膝にも力が入らず、その動きはぎこちなかったが、それでもわずかに上下すると自分の中で浅葱のモノも動いた。

「ぁ……んっ……!! ぁあああっ……!!」
 狭い場所を窮屈そうに擦り動く浅葱のモノが、体に巣食う屈辱という痛みを一枚ずつ剥がし取ってくれるようだった。
 それはまるで、穢れた自分を浅葱の与えてくれる痛みで浄化させる……そんな儀式のようにも思えた。

 もっと……
 もっと……

「ぁ……ぁっっんっっ……。 
 ……浅葱さ……ん……」
 閉じてしまいそうになる瞳を薄く開け、浅葱にしがみ付くようにして、匠が甘い声で呟く。

「お前の好きなように動いてみろ。自分の感じるところで……」
「……ん……」

 浅葱の体から少しだけ腕を外し、わずかに体を反らせると、その刺激は違う部位へと移った。

「……ぁあっ!!! ……んっぁ……ぃぃ……」
 それはまた新たな熱で匠を襲う。

「ん……。上手いぞ、匠……。……ン……っ……」
 耳元でずっと聞える浅葱の押し殺した小さな声も、匠を昂ぶらせていた。
 浅葱さんも感じてくれている……。
 そう思うだけで嬉しかった。

 これが、体を繋ぐと言うこと……。
 一つになると言うこと……。
 犯されるのとは全く違う快感と至福……。


「ぁっ……! ん……ん……ぁぁっ!!
 ……そこ……っ……」
 体を仰け反らせ身悶えながら、匠の恥ずかしそうな声は、浅葱を求め続けた。

「ここが良いのか? ……匠……」
 浅葱が匠の体を強く抱きしめる。

「……ん、そこがいい……ぁぁっ……!
 …………浅葱さ…………。
 そんなに……強く抱いたら……動けない……」
 匠がそう言って視線を合わせてくる。

「……ああ、そうだな……」
 匠の瞳を見つめながら、フッと笑むような浅葱の優しい声。

 もっと中で動かして欲しい……。
 浅葱さんと……イキたい……。

 その想いはどんどん大きくなった。
 だが、匠の動きはまだ拙い。

「……いかせて……このまま……。
 俺の中……浅葱さんだけを、感じたい……」
 そう言って匠は浅葱を抱きしめた。

「……わかった」

 浅葱は匠の体を抱いたまま、下から体を動かし始める。

「ぁぁあああああっ……ん……んっ……!!!
 ……いいっ…………」
 恐怖ではない匠の声が耳元で聞えた。

「浅葱……さん……もっと名前……呼んで……」
 
 その声に浅葱は、匠の目の前へ顔を近付け、額と額をコツンと合わせた。
 匠の瞳が真っ直ぐに浅葱を見つめていた。

「……匠……、…………匠…………」
「……ん……」
 浅葱の声に匠が微笑んだ。
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