刻印

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 うつ伏せのまま、縛られた両腕で上半身を支え、腰だけを高く突き上げた匠。
 その背中にはハッキリと刻印が見える。
 浅葱はその姿を見下ろしながら、自らも服を脱いだ。

 匠の腰を掴むと、今まで指が入っていた場所に、すでに勃ち上がっている自分のモノをあてがい、そのまま力を入れて、匠の体を引き寄せる。
 まだ硬かったはずの匠の後ろにそれを押し付けると、ググッ……と先が呑み込まれた。

「……!!…………んっぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
 匠の叫びが響いた。

「ンッァッッ……!
 ……やめ……ッ……や…………イヤだッ……!!」
 悲痛なその声は、浅葱の顔を曇らせた。

 ……匠……。
 こんな辛い痛みを……。
 無理矢理、犯すような事を……。
 浅葱は悔しさに唇を噛んだ。


「……痛いっ……んッ……!!
 ……いやッ……!! ……やめろっ!! ……!」

 腰を掴まれ腕に顔を埋めたまま、匠は手元のシーツを握り締める。
 それでも浅葱は、必死に逃れようとする匠の体を押さえ付けたまま、止めようとしなかった。
 繋がったモノを更に奥へと圧し込んでいく。

「ぁ……ァアッ……!
 ……んッん……ぁあああああッっ…………んっっっぁあッッ……!」
 
 痛みと挿入の感覚で匠の背中が大きく仰け反る。
 肩で激しく息をし、体を震わせると、背中の刻印は、まるで生きているかのように蠢き、龍蛇はその鎌首を持ち上げ、浅葱を威嚇した。

 匠は、自分の中にあの男がいると言った。
 まさにこの蛇は、匠の中に巣食うあいつそのものだ。
 この体には、既に所有者がいるのだと……。
 この体に手を触れるなと……そう背中の蛇が睨みつけ、侵入者を狩り、喰らい尽くそうとする。

 この刻印は、まさにこういう行為のために創られたのだと、浅葱は匠を組み伏せて、改めて強くその心意を思い知らされていた。

 だが浅葱は怯まなかった。
 背中の蛇を片手で押さえ付け、自分のモノを根元まで強引に呑み込ませた。
 挑んでくる蛇を屈服させるために、腰を掴んで匠の体を何度も突き上げた。

「ンッぁあッ……ぁあッ……!!
 ……イヤッ……抜いて……! 
 ……いや、いや……い……やだッ……!!」
 匠は暴れ、叫び続ける。

 しかし背中に刻印を灼きつけられ、男達のモノを無理矢理にでも受け入れ続けてきた匠の体は、嫌がり泣き叫ぶ声とは全く別の生き物のように、覚醒しようとしていた。
 背中の龍蛇は次第に艶かしく淫靡な姿へと変わっていき、浅葱のモノを貪欲に、深く深く呑み込んでいく。
 まるで本物の蛇にでも呑まれるように、浅葱のモノを強く包み、絡めとり淫猥に締め上げてくる。
 そして匠自身も大きく昂ぶっていた。

 これが、匠の体……。

 匠の体はすばらしい――
 そう言ったハルの言葉を思い出していた。

 それでも嫌がる匠の叫びは止まらなかった。
 ただひたすらに「痛い」「嫌だ」「やめろ」と泣き叫んでいる。
 きっとあの地下室でも、こうして一人、叫び耐えていたのだ。
 そう思うと浅葱の胸は苦しく締めつけられた。


「……あ……あさぎ……さん……。
 ……あさぎ…………」

 不意に名前を呼ばれ我に返ると、組み伏せられた匠が、必死に前方へと手を伸ばそうとしていた。

「あ……さぎさ…………たすけ……て……」

 まだよく見えない目で自分を探し求めていた。
 それは今、自分と繋がっているのが浅葱だと……自分だと認識できずにいる証拠。

「匠! 俺は後ろだ!!」
 そう言って体を繋いだまま叫んだ。
 それでも匠は、必死に前へと助けを求めるように手を伸ばす。

「あさぎ……さ…………。……どこ……」

 やはり見えていないのだ……。
 理解できていない……。
 自分がここにいると……。
 お前の中にいるのは、この俺だと……。

 うつ伏せた方が背中に負担をかけない事はわかっていた。
 だがこの痛みは、自分が与えた物だと認識させなければ意味がない。

「俺を見ろ!」
 浅葱は体を繋いだまま、匠を振り返らせ、強引に体を仰向けた。
 それは前後に挿抽される感覚とはまた違う痛みだった。

「ぁあああぁっ……! 
 やめっ……痛っ……!!! ……いや……っっ!!!」
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