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玄関の扉がパタン―― と静かに閉まる音がした。
匠は浅葱の隣で俯いたままだったが、二人が出て行った音に目を閉じ、震える指でもう一度、自分のタグを握り締めた。
浅葱の指が、その匠の顎をクッと持ち上げ、自分の方へ向けさせる。
「……匠……」
その声に匠が瞳を開く。
「少々、乱暴に抱くぞ。
あの地下室で、お前が受けた痛みと同じように……。
お前が何を言っても止めはしない。
傷が痛んでも……だ。
……それでいいんだな?」
「はい……。
そうでないと……痛みを伴わないと……意味がない……」
「……わかった。
目を閉じるなよ。
ちゃんと目を開けて、側にいるのはこの俺だと、認識し続けるんだ。
……いいな?」
それだけ言うと、匠の顎を持つ手に力が入る。
グッと顔を上げさせ、唇を塞いだ。
「……んっ……!」
唇を覆われるその感覚は以前と同じだった。
だがあの甘い感情は、そこには無かった。
顎を下へ引かれ、わずかに開いた唇を割り込んで、浅葱の舌が入ってくる。
「……っ……んっ……。……ん…………っ……」
顎を掴まれたまま、口を閉じる事ができず匠は小さな息を漏らす。
浅葱の舌が、その柔らかな口内を確かめるようにゆっくり動き回り、匠の舌を強く絡み取っていく。
いつもとは違う浅葱に戸惑いながらも、匠はそれを受け入れていた。
顎を押さえられたままで息苦しく、目を閉じそうになるのを必死で耐え、正面の浅葱の顔を見つめる。
……浅葱さ……ん……。
「……ん……ぁっ……」
わずかに喘ぐ匠から、浅葱の唇がフッと離される。
その小さく開いた口に、浅葱の指が挿し込まれ、匠の舌を誘うように動き始める。
その指の動きで、匠の脳裏にあの男の影と、
……タクミ……舌を出せ……
愉しそうに冷笑する声が響き始めていた。
「……!! ……や……やめっ…………!」
頭の中の男の声に、思わずベッドの端を握り締め、首を振って目を閉じた。
……だめだ……
……目を……目を閉じ……るな……
……あの男じゃ……ない…………
自ら、その幻像を打ち消すように、無理矢理に瞳を開いた。
目の前には、まだハッキリ見る事ができない浅葱の顔があった。
浅葱もまた、匠の深く吸い込むような瞳を見つめている。
確認するように浅葱の頬に手で触れ、その体温を感じると少しだけ安堵した。
そしてその指の求めるまま、口を開け、震える舌を差し出した。
「そうだ……。それでいい……」
浅葱の静かな声がし、そこに唇が触れ、舌を誘い、自分の口中へと招き入れる。
「ぁ……ぁっ……んっっ……」
解放してもらえないその行為に、息ができなくなっていく。
ハァ……ハァ……
ハァ……ハァ……
何度も舌を絡ませ唇を合わせた後、匠の息が上がり始めるのを見ると、浅葱の唇は匠の顎から下へと降りていった。
「ん……ぁっ……」
背中の傷にゾクゾクと何かが這う感覚がする。
ベッドの端に座ったまま、両腕を後ろについて体を支え、顔を上に向けて天を仰いだ。
その無防備な首筋に、浅葱はゆっくりと唇を這わせ始めた。
匠は浅葱の隣で俯いたままだったが、二人が出て行った音に目を閉じ、震える指でもう一度、自分のタグを握り締めた。
浅葱の指が、その匠の顎をクッと持ち上げ、自分の方へ向けさせる。
「……匠……」
その声に匠が瞳を開く。
「少々、乱暴に抱くぞ。
あの地下室で、お前が受けた痛みと同じように……。
お前が何を言っても止めはしない。
傷が痛んでも……だ。
……それでいいんだな?」
「はい……。
そうでないと……痛みを伴わないと……意味がない……」
「……わかった。
目を閉じるなよ。
ちゃんと目を開けて、側にいるのはこの俺だと、認識し続けるんだ。
……いいな?」
それだけ言うと、匠の顎を持つ手に力が入る。
グッと顔を上げさせ、唇を塞いだ。
「……んっ……!」
唇を覆われるその感覚は以前と同じだった。
だがあの甘い感情は、そこには無かった。
顎を下へ引かれ、わずかに開いた唇を割り込んで、浅葱の舌が入ってくる。
「……っ……んっ……。……ん…………っ……」
顎を掴まれたまま、口を閉じる事ができず匠は小さな息を漏らす。
浅葱の舌が、その柔らかな口内を確かめるようにゆっくり動き回り、匠の舌を強く絡み取っていく。
いつもとは違う浅葱に戸惑いながらも、匠はそれを受け入れていた。
顎を押さえられたままで息苦しく、目を閉じそうになるのを必死で耐え、正面の浅葱の顔を見つめる。
……浅葱さ……ん……。
「……ん……ぁっ……」
わずかに喘ぐ匠から、浅葱の唇がフッと離される。
その小さく開いた口に、浅葱の指が挿し込まれ、匠の舌を誘うように動き始める。
その指の動きで、匠の脳裏にあの男の影と、
……タクミ……舌を出せ……
愉しそうに冷笑する声が響き始めていた。
「……!! ……や……やめっ…………!」
頭の中の男の声に、思わずベッドの端を握り締め、首を振って目を閉じた。
……だめだ……
……目を……目を閉じ……るな……
……あの男じゃ……ない…………
自ら、その幻像を打ち消すように、無理矢理に瞳を開いた。
目の前には、まだハッキリ見る事ができない浅葱の顔があった。
浅葱もまた、匠の深く吸い込むような瞳を見つめている。
確認するように浅葱の頬に手で触れ、その体温を感じると少しだけ安堵した。
そしてその指の求めるまま、口を開け、震える舌を差し出した。
「そうだ……。それでいい……」
浅葱の静かな声がし、そこに唇が触れ、舌を誘い、自分の口中へと招き入れる。
「ぁ……ぁっ……んっっ……」
解放してもらえないその行為に、息ができなくなっていく。
ハァ……ハァ……
ハァ……ハァ……
何度も舌を絡ませ唇を合わせた後、匠の息が上がり始めるのを見ると、浅葱の唇は匠の顎から下へと降りていった。
「ん……ぁっ……」
背中の傷にゾクゾクと何かが這う感覚がする。
ベッドの端に座ったまま、両腕を後ろについて体を支え、顔を上に向けて天を仰いだ。
その無防備な首筋に、浅葱はゆっくりと唇を這わせ始めた。
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